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呪われた転校生  作者: にごう
1章:新瀬典貴
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14話 佐久野の過去

『佐久野が前の学校から転校してきた理由は、彼女の周りで不幸な出来事ばかり起こっていたからなのは先生も聞いている』

『知っていたんですか!?』

『親御さんから聞いたよ。自分のせいで死なせてしまった人がいるから転校したいと言い出したそうだ』

例の男の子ことだ。俺は突然彼のことを知りたくなった。恐らく同じことを考えていた人物を知りたくなったに違いない。

『その子の名前とかってわからないですか?』

『………』

伊瀬は黙って何かを考え出した。


そして、少ししてから口を開いた。

『このことはここだけの秘密だぞ』

そう言って伊瀬は俺の目を真っ直ぐ見つめた。俺はそれに答えるように真っ直ぐ伊瀬の目を見て、

『はい』

と答えた。伊瀬は軽く頷いた。

『碇君だそうだ』

『下の名前は?』

『すまない。それは聞けてないんだ』

『どういうことですか?』

『先生も聞いたんだが、どうやら教えられない理由があるらしい』

『そうですか…』

少しがっかりした。でも、何故フルネームを教えてくれないのだろう。もしかしたら呪いを解く鍵なのか?いや、それなら教えるだろう…

ここは単に知られたくないだけと考えるのが妥当だろう。


『他に佐久野さんの過去で知ってることはないんですか?』

『あるが、ここで話すには少し場所が悪い。放課後人が少ない場所で話そう。それでも構わないか?』

放課後に予定はない。俺は佐久野の呪いについて少しでも情報がほしかったので、はいと答えた。

そのまま俺は職員室を後にした。


そして放課後、俺は伊瀬に連れられて隣の校舎にやってきた。今は一部の授業を除き、ほとんど使われていない校舎で、普段は生徒の出入りが禁止されている。ここなら他の人に話を聞かれる心配はなさそうだ。

伊瀬は足を止めて振り向くと、先程のように俺を真っ直ぐ見つめて、

『いいか?』

と尋ねた。俺は唾をごくりと飲み込んで頷いた。

『誰も近付かなくなった佐久野と唯一会話を交わしていたのが碇君だそうだ』

そのことは佐久野が言っていたから知っている。俺は何も言わずに話を聞き続けた。

『だから彼は佐久野の唯一の支えだったんだ。しかし彼には次々と不幸が起こった。その姿に佐久野は段々と耐えられなくなったそうだ』

伊瀬は振り向いて俺に背を向けた。

『そして、佐久野は学校に行くことを拒んだ。彼を呪いから守る為に。それから佐久野は不登校になった』

『不登校!?どれくらいの期間ですか?』

思わず口を挟んでしまった。

『まぁ慌てるな。ちゃんと話す』

そういうと伊瀬は再びこちらを向いた。

『二ヶ月間佐久野は不登校だった。そして佐久野を心配した碇君は家を訪ねて来たそうだ。当然佐久野は彼に会おうとはしなかった。しかし、彼の必死の呼びかけで会うことにした。でも佐久野は彼にきつく当たり追い返そうとした。すると、彼は佐久野を抱きしめてこう言ったそうだ。俺はどんなことがあっても絶対君を幸せにする。だから俺のことは心配しないで学校においでと。彼がそう言うと、佐久野はその場に座りこんで泣き出してしまったそうだ。そして彼は佐久野の家を後にした』


そして伊瀬は一息ついた。俺は早く続きが知りたかった。

『それでどうなったんですか?』

『うん…その帰り彼は亡くなったそうだ。交通事故にあって』

『え!?』

その場が一瞬沈黙した。そして伊瀬が再び口を開く。

『それから佐久野は部屋に篭って泣き続けたそうだ。そして自分の人生を恨み自殺しようとしたこともあったそうだ。でも親御さんの説得で自殺はしなくなったが、佐久野が部屋から出てくることはなくなった。しかし、ある日突然部屋を出てきて転校したいと言ったそうだ』

『それで今に至る訳ですか…』

『そうだ。これが先生の知ってる全てだ』

『ありがとうございました』


そして俺と伊瀬はいつもの校舎に戻ろうとした。その時伊瀬が再び話しかけてきた。

『それと新瀬。佐久野と関わること決めたのは感謝する。でも無理はするな!』

『はい、ありがとうございます。でも大丈夫です。絶対彼女を救ってみせます』

伊瀬は軽く頷きながら

『よしわかった。お前がそこまで覚悟してるなら先生も応援する。相談したいことがあったら何でも言ってくれ!』

『はい!』

俺は嬉しかった。絶対佐久野を救ってやる。そう思った。


そして伊瀬と別れると、俺は学校を出た。

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ブログ にごうきち Twitter @nigo_do_vi
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