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第六話 「交情」

誰も知らない森の奥深く、大樹に囲まれた神秘の泉。夕暮れが近づき朱に染まりかけた柔らかな木漏れ日がそのほとりに立つ一人の男と一匹の妖精を照らしていた。この一瞬を絵画にでも起こすことが出来たら一体どれほどの人を魅了するであろうか。


そう思わずにはいられないほど美しい光景であった。



二人の会話を聞かなければの話であったが。



「あなたが普通じゃないのは分かりました。だけどその力ははっきり言って脅威です。この森にいる以上二度と暴走させるわけにはいきません。」

「俺だって森を壊すつもりはなかったんだよ…もっと安全な練習方法はないかな?」

「そうですね…あなたの場合はまずは瞑想からですね。」

「め、瞑想っすか?」

「はい、瞑想です。さっきのを見た感じではアレはまだはあなたの体に馴染んでいませんよね?まずは暴走させないように体内で完璧にコントロールできるようになる必要があります。」

「ん~、確かにアレの流れはわかったけど、流れがぎこちないのを力づくで集めたって感じだったもんなぁ。」

「100%間違いなくそれが原因です!はぁ、何故そんな無茶なことを…」

「し、仕方ないじゃん、あんなことになるなんて思わなかったし…」

「とにかくまずは完璧にコントロールできるようになってください。これは本来であれば魔力操作の修行です。あなたのアレはどうやら魔力とは別物っぽいんですが多分原理は同じだと思うのでそれで大分改善されるはずです。」



そうして俺は結局ルナの監修のもと、新たな修行を始めるのであった。






どうやらこの世界にもちゃんと夜はあるらしい。当たり前か。

大樹の根元に腰を下ろし、ひたすらに内なる力の流れを確認しながら、辺りが暗く染まっていくのを眺めていた。


ただ月らしきものが二つある分、元の世界よりは明るいのかな?

夜の森だというのに薄く月明かりに照らされて周辺の様子は視覚できる。


この世界にきてまだ何時間程度だろうが、さすがに精神は疲れていた。

瞑想を終えて立ち上がり、一つ伸びをしてからルナを探す。



「成果はありましたか?」



上から不意に声をかけられ頭上を確認すると大樹の枝に腰を掛けたルナが俺を見つめて微笑んでいた。


空には満天の星が瞬いていた。



「まぁ、ぼちぼちかな」

「ふふ、嘘ばっかり。そんなにすぐ出来るようになるものではありませんよ」



クスクスと笑いながらふわりと俺の下へと舞い降りた彼女は俺の額に軽く手を触れさせ、優しく俺を癒してくれた。



「はい、お疲れ様でした。今日はもう休みますか?」

「あぁ、ありがとう。そうだね、なんだかすごく疲れた気がするよ。休む前にこの泉の水、浴びてもいい?」

「良いですよ。特別な泉ですからね、心して浴びてくださいね。」



冗談を交えつつ、お互いに笑い合えるルナとの関係に暖かなものを感じながら泉の水で体を清めた。

火照った体に清涼な水は確かに気持ちよかった。




「周囲は私が見ておきますのでゆっくり休んでくださいね。」



落ち葉を集めただけの寝床だったが、ルナの言葉に安心し横になって目を閉じるとすぐに、俺の意識はまどろみに中に落ちていき、夜に溶けていくのだった…


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