七
ぶ、ブックマーク数が恐ろしいことに...!?
思ってもみない数に、動悸が止まりません....
読んで下さってありがとうございますm(__)m
その頃学園では、エドワーズ王子とルカが相変わらずマリーにつきまとわれていた。
今までは、近寄ってくるマリーを嬉しく感じていたが、あの事件以来マリーをうっとおしく感じていた。
エドワーズ王子もルカも、今までの自分の行いが恥ずかしく、なかなかクロエと向かい合うことができなかった。
(よし、シナリオ通りよ!)
マリーは二人のそんな様子に気付かず、シナリオ通りに進んでいた。
エドワーズ王子と、氷祭りに行くのだ。
炎天下の中、魔術で作られた氷のオブジェが展示されている。
中でも、氷でできたタワーが一番人気で、実際中に入れる、手の混みようだった。
「来年もエドワーズと参加したいわ。」
と、マリーが言った。
来年、この氷でできたタワーの作り手が隣国で氷フェスティバルを行うのだ。
これがエドワーズ王子と結ばれる最後の選択だった。
(この後エンドロールが流れるのよね...)
マリーはやり切った喜びでいっぱいだった。
「ああ、うん。」
エドワーズ王子の返事ははっきりしないものだったが、
(クロエにいじめられるイベントを飛ばしたからかな?)
マリーはイイコトを思いついた。
それからクロエの悪い噂が流れるようになる。なんでも、マリーを階段から突き飛ばしただとか、服を破いただとか、水をかけただとか。
(どうしてこんなことになったのかしら...)
クロエには全く身に覚えがなかった。
そもそも、魔術が使えるようになってからも忙しくて学園へ行けていないというのに。
クロエはため息をついた。
「大丈夫ですか?お嬢様。」
クロエが魔術を使えるようになったことを、使用人一同で喜んだのもつかの間、ため息をつくクロエに、
(憂いを帯びた顔をなさるクロエ様も麗しい...)と、一応心配していた。
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私はパーティーの準備に浮かれていた。
あんなに嫌だと思っていたパーティーが、リヒトと行くことを考えただけで急に素敵なものに思えたのだ。
リヒトはフードで見た目が分からない。
せめて、髪や目の色だけでも分かれば、ドレスの色を合わせられたのに...
それでも、初めてリヒトの姿を見れることに、気分は上昇していた。
しかし、当日なぜか迎えがきた。
迎えの馬車に乗っていたのは、リヒトではなく、なぜか騎士のペンバーだった。
「早く乗れ。」
そっぽを向いたままぶっきらぼうに言ったペンバーを、
「誰だっけこいつ...」と不思議に思ったが、その装いをみてマリーの取り巻きの騎士のことを思い出した。
クロエは、迎えを喜んだ両親に押され、しぶしぶ馬車に乗り込んだ。
長い沈黙が続く。
それを破ったのはペンバーだった。
「マリーを傷つけたな...!」
「は?」
ペンバーはその返事を聞いて驚いたような表情を見せた。
エドワーズ王子に恋していた頃のクロエでは、考えられない口の聞き方だった。
ペンバーの知るクロエとはなんだか印象が違う気もしたが、今日のペンバーは使命感に駆られ、それどころではなかった。
私は、リヒトとの楽しい一日を、ペンバーに邪魔されたような気分だった。
じろじろと見てくるペンバーの方は、決して向かないようにした。
そんなクロエのことをペンバーは、(久しぶりに男に会ったことで緊張しているのだろう....)と、あらぬ理由で納得していたが、この馬車という密接な空間でも平然と話すクロエに驚きを隠せなかった。
ペンバーが違和感でその後一言も発せないまま、馬車は王城に着いた。
一人でさっさと降りてしまったクロエをみて、ペンバーはまた驚くこととなった。
一方リヒトも、王家の家紋がついた馬車からクロエが降りてきたことに驚いていた。
そこで、クロエが昔王子と婚約していたらしい、という噂を思い出した。
もしかしたら、また婚約者となったのではないか。
リヒトの頭に不安がよぎった。
私はキョロキョロと辺りを見回した。
リヒトは普段フードで顔が見えない。
私もリヒトの顔は見たことがなかった。
フードは全身を隠すもので、リヒトの特徴も知らなかった。
「リヒトーー?」
リヒトは驚いていた。
クロエが一人で馬車からおりてきたからだ。
パートナーと馬車に乗っていれば、その男にエスコートされているはず。
リヒトの目は、ドレス姿のクロエへ釘付けになった。
そのせいでリヒトはその後から降りてくるペンバーに気づかず、クロエの元に近寄った。
リヒトが一歩早かった。
暗闇から、クロエの前に姿を現した。
ペンバーは暗闇の中一人で降りて行ったクロエに驚き、身動きがとれなかった。
「り、リヒト....?」
リヒトの頭には耳がついていた。
....犬のような耳が。
クロエの瞳から、ぽろり、と涙がこぼれた。
チラッとしか出てなかったので、忘れてらっしゃる方が多いかと...
ペンバーもマリーの攻略対象の一人です。