あらしの夜に
「すごい雨だね」
「うん、すごいね」
小さな洞窟の中から、仲良しのオオカミとヤギが外を見ていました。外はすごい雨でした。
「大きな川だね」
「さすがに泳げないね」
雨は川になって、洞窟の前を流れていました。
「お家に帰れないね」
「明日になったら泳げるようになるよ」
気弱なオオカミと強気なヤギは体を寄せ合って眠りました。
「雨、止まないね」
「明日にはきっと止むよ」
二人は疲れ果てていました。
「お腹すいたね」
「美味しくないけどコケは食べれるよ」
オオカミはコケを口に入れましたが、すぐに吐き出してしまいました。
「僕はね、君の仲間を食べるけど、君だけは絶対に食べないよ。友達だからね」
そう言うと、オオカミは空腹に耐えるように目をつぶりました。
お腹のすいたオオカミは横になったまま聞きました。
「外の様子はどう?」
入り口の近くに座っているヤギは少し顔を上げて答えました。
「雨は止んだけど、川は泳げそうにはないよ」
二人はまた目をつぶりました。眠くないけど眠ろうとしました。
「――ねえ」
オオカミの声にヤギは顔を上げました。
「一本だけなら、足を一本だけなら、食べても大丈夫かな?」
その声は小さく、やっと聴こえるような声でした。
「一本だけなら、大丈夫だよ」
オオカミは後ろ足を一本食べ、眠りました。
疲れ果てたオオカミは横になったまま聞きました。
「川は泳げそう?」
ヤギは顔を上げ、答えました。
「まだ流れてるよ。明日になったらきっと渡れるよ」
ヤギは目をつぶりましたが、オオカミはヤギを見ていました。
「――もう一本ぐらいなら大丈夫かな?」
ヤギは目を薄く開け、答えました。
「前足ならたぶん大丈夫だよ」
オオカミは前足を食べ、眠りました。
すっかり細くなったオオカミは横になったまま聞きました。
「今日は渡れそう?」
ヤギは立ち上がり、答えました。
「もう渡れるよ」
オオカミは嬉しそうに立ち上がりましたが、すぐにこけてしまいました。
二本足では上手く立つことが出来ません。
その様子を見て、ヤギは言いました。
「僕は嘘をついたんだ。川なんてとっくに無くなってたんだ」
オオカミはヤギの言っていることがわかりませんでした。
「僕のお父さんとお母さん、いなくなっちゃったんだ」
そう言うと、ヤギは洞窟を飛び出しました。
一人で帰り道を歩くヤギは、悲しくなりました。帰り道がとても長く、とてもとても寂しく感じました。
やっとの思いで帰った家は静かでした。ヤギは泣きました。大きな声で泣きました。
すると、見たこともないオオカミが家に入ってきました。オオカミはヤギを見つけるとすぐに飛び掛ってきました。
いつもなら助けてくれる友達も、もういません。
「食べるなら、足から一本ずつ食べてください」
なにも知らないオオカミは、言われたとおりにヤギを食べてしまいましたとさ。
元作品、まだ読んでないや。
救われない話が好き過ぎるので、よくラストを修正するのですが、これは突っ走りました。




