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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

エーテルミス世界英雄譚集

強国に生まれた一人の皇子の物語

掲載日:2014/01/06

えっと、一応このまえがき。見ているということは興味を持ってくれたひとですね。

誠にありがとうございます


えっとですね、今からいうことをよく聞いて下さいね?あっ、聞くっていっても僕の声は聞こえないので読むってことでお願いします


やってしまいました!

最初の文体は一人称なのに途中からだんだん違う文体にすり替わります!

それでもいい方は読んでね?

 昔、誰かが言った。

「ねぇ、正義って何なんだろうね」と。

 その時俺は、分からない、と一言言った。

 そして、その時の誰かは言った。

「じゃあさ、誰がその正義を肯定するんだろうね」と。

 その時俺は、また、分からない。知らないと言った。

 けど、今なら答えれる。

 最初の問いには…………………………と。

 二つ目の問いには…………………………と。


「一般人が盾をつくなァ!」

 道路から聞こえてくる怒号。

 声の主は、帝国兵。

 帝国というのは最近、力を得てきた大国のウィルバス。

「なあ、あんたらの正義って何だ?」

「愚問だな、正義は力だ。力無き者は正義を言う資格なんて無いんだよ!」

 軍用サーベルを振りかざす。

 帝国兵は全員、その場で死刑を執行する権利を持つ。

 それがゆえに、帝国兵は恐れられている。

「そうか、それがあんたらの正義か……つまんないな、力で成り立つ正義は俺の正義じゃないな」

 実につまらない。

「じゃあ、問答は終わりにしよう」

「一般人が偉そうにぃ‼」

 こっちも剣を抜く。

 すると、あちらは剣を見て驚いている。

「残念だけれど、俺は一般人ではない。俺は、ウィルバス第十二皇位継承者、クラウド・シクエル・ウィルバス。俺は正式な貴族だ。まあ、今は違うけど、でも疑いようはないだろ?」

「貴様が、その、御剣を持っているという事は、ほ、本物⁉あ、あの逆賊と成り下がった、断罪公……。し、しかし、貴様はもう皇位継承権は剥奪され、指名手配もされている。何故ここに戻ってきた‼⁉」

「何故?……ふっ、愚問だな。母国に戻って何が悪い。俺はただ己の正義を執行したいだけだよ……」

 そう、この腐った国の断罪を執行したいだけ。

 俺はそのためにこの何年もの月日を費やしたんだ。

「こ、この逆賊めがァァ‼」

 帝国兵がサーベルを振りかざす。

 だから、こういう時はクールにならなきゃな。

 剣でサーベルを流し、そのまま袈裟斬りにする。

「雑魚だが断罪はさせてもらったよ。あと、確かにあんたらの正義はつまらない、しかし、手段としては合理的だよ」

「ぎ、ぎさまぁぁぁ!」

 うるさいな。

 首をはねる。帝国兵は頭と胴体が切り離され、首から鮮血が噴き上がる。

「さて、俺の正義を皇帝陛下に見せつけてやろうかな」


 闇夜に響く、靴底が地面を蹴る音。歩く者以外には周りに誰も居ない。

 俺だけが道を歩いている。

 どうやら俺は、近隣諸国から『断罪公』などと呼ばれているらしい名乗った覚えなどないんだけれどな。

 俺が向かう先はただ一つ、我が父であらせられる皇帝陛下の元。

「おい、そこのお前!こんな時間に何故歩いている!」

 おっと、さっきの言葉は撤回しなきゃな。

 また、帝国兵だよ。

「歩いているだけ拘束か?随分と偉いんだな帝国兵様は」

 歩みを止めることなく、逆に歩みを速め、すれ違いざまに首を切り伏せる。


「皇帝陛下、先の戦の勝利。誠におめでとうございます」

 皇帝陛下と呼ばれた男は玉座から立ち上がった。

「ああ、そうだな。これでまた、我が悲願、世界統一の道が一歩進んだ。しかし、それはまだ先の話だ。そういえばトラフィズは何処におる?」

 皇帝の第三皇子を呼んだ。

 すると、扉の奥から、金髪の見るからに高貴な人が入ってきた。

「父上、遅れて申し訳ありませんでした」

 皇帝はトラフィズを一瞥するも叱咤することはなかった。

「別によい、トラフィズよ。貴様が此度の戦の敵大将を討ったと聞いたが首は持ってきたのか?」

 トラフィズは持参した袋を、皇帝に差し出す。

 皇帝はそれを受け取り中身を確認した。

「この顔は確かに敵の首よな。ふ、ふははははッ!良いぞ良いぞ!……おっと忘れておった。トラフィズよ。此度の戦には我が軍にノルマを課していたがノルマを達成していなかった腰抜け兵はおったか?」

 ニヤリと笑いながら聞く皇帝。

 トラフィズは指を鳴らす。

 すると拘束された兵士が歩いてきた。

「敵の兵士の首を十個持って来なかった者です父上」

 皇帝はさらに口角を吊り上げて笑みをこぼす。

「やはりおったか。おい、そこの兵よ。何故、我がこのノルマを課したと思う?それはな、敵国に恐怖を植え付ける為だ。恐怖を植え付けられれば抵抗することもない。逆らったら殺されるという恐怖。それを植え付けるという役目を君は負っているんだぞ?それを放棄するなど……」

 皇帝は拘束された兵士をまるで物を見るような感じで見る。

 拘束された兵士は恐怖のあまり暴れだし拘束を解いた。

 すると兵士は皇帝の前に跪き、声を出した。

「皇帝陛下!わ、私はノルマを達成することは出来ませんでしたが九個は持ってきました!ど、とうか処罰は……!」

 皇帝は目線を兵士からトラフィズに移す。

「トラフィズよ。その話は真か?」

「はっ!真にございます父上」

 そうか、と皇帝は再び兵士に目線を移す。

「立つがいい」

 皇帝がそう言うと兵士は立ち上がり安堵感を露わにする。

 恐らく、助かったと思ったのだろう。

 しかし、安堵感の次に来たのは視界の暗転だった。

 皇帝が剣を抜き、兵士の首を切ったのだ。

「良かったな、名を知らぬ兵士よ。君の首を足して、ノルマは達成されたではないか」

 首を切ったことにより、切り口から鮮血が噴き上がる。

 皇帝は鮮血を浴びた。

 しかし、何もなかったかのように玉座へと戻った。

「さすが、私の父上。『鮮血皇帝ヴラド・エル・ウィルバス』ですね」

「トラフィズよ、もう下がってよいぞ」

 トラフィズは一礼をすると部屋から出ていった。


 父上は相変わらず、鮮血皇帝として君臨しているらしい。

 力ね……。

 結局の所、俺は今ウィルバスの隣国シクサードまで戻っていた。

 理由は簡単。

 城まで来たはいいもの警備が硬かったからだ。

 しかも、我が兄上の第三皇位後継者トラフィズ・ジザ・ウィルバスが帰国していた。

 トラフィズは敵国から凶剣皇子と言われるくらい、腕も立ち、性格は常に冷静。

 出来るならば相手にはしたくない。

「坊主、着いたぞ」

「ああ、ありがとう。暗殺ギルドの人。代金はお前の命な」

 馬車の中が血で染まる。

 ふぅ。命を狙われるってのは面倒いな。

 さて、約束の場所に行くか。

「遅いぞ!クラウド。お前が呼んだんだろ」

 約束の場所に行くと一人の女が立っていた。そいつは俺の部下でファルっていう。

「部下が吠えるなよ。遅くなったのは理由があってだな。暗殺ギルドに襲われたんだって」

 知るかと一言。

「で、お前が来たってことは他の奴らも」

 頷くファル。

 俺はある組織の代表だ。

 それは、打倒ウィルバスを掲げる

 レジスタンス「断罪公と愉快な仲間達」。

「おそらく、次にウィルバスが狙うとしたらこの国だ。資源が豊富だからな」

「また、戦か。何年経っても人間は変わらないんだよね……」

「ああ、人間は誰かを殺し、犯し、壊すことをやめない。だからこそ、人間は平和を望む。矛盾しているけれど、人間は誰かを壊したいと思うと同時に誰かを守りたいとも思う。みんなの守りたいものが全部一緒だったら良かったのにな……」

 でも、そんなことは無理なのは分かってる。


「父上、次は何処を攻めるので?」

「次はシクサードを攻めるとしよう。我が息子もおるらしいではないか。久しぶりに我も出向くとしよう」

 皇帝は笑みをこぼした。

「戦の準備を」

 皇帝が命令を下す。

 部屋にいる全ての文武官、皇子、皇女が跪く。

「御意‼‼‼」


 シクサード王室間。

「汝が断罪公か」

 シクサード国王『アーサー・ドラコ・シクサード』が目の前に居る。

「断罪公とは名乗った覚えはありませぬが私に間違いありません」

 これが騎士王か。

 父上と変わらないほどの威圧感。

 若い時には一人で千の敵を切ったと言われる。

「一つ問いたい。汝はウィルバスの皇子でありながら何故、逆賊になったなのだ?」

「理由は一つです。私の父上の罪を裁くことのみ」

 騎士王はじっと俺を見つめる。

 いや、俺を見ているのではなく、俺の目の奥。心を見ているのだろう。

 見つめるのをやめると騎士王は頷き、和やかに笑う。

「そうか。汝の働きを期待しておるぞ。ではもう下がってよいぞ」

 騎士王に一礼して部屋を出る。

「どうだった?」

 外で待っていたファルが聞いてくる。

「どうって、別に普通だった。騎士王って呼ばれるだけあって風格はあったぞ」

 俺とファルはレジスタンスが集まっている場所に移動した。

「旦那ぁ!」

 俺の姿を見るや否や、仲間が集まってくる。

 風貌は様々、白人に黒人、黄人。男に女、はたまた男の娘までよりどりみどりだ。

「おっしゃ、みんな揃ったな。それじゃ、説明するぞ」

 ばっちこいや!と口走る人がいた。べ、別に身構えなくてもいいんだけど。

 まあ、いいや。

「今回、俺たち断罪公と愉快な仲間達はシクサード国軍の左翼を任された。本隊はアーサー・ドラコ・シクサードが総指揮を取る。

 右翼はシクサード国軍最強の将軍レインが指揮を取る。だからといって簡単にウィルバスは倒せんからな。今、ウィルバスには凶剣皇子ことトラフィズ皇子、槍の扱いに長けたアヴァル公、そして鮮血皇帝として恐れられているヴラド・エル・ウィルバス。それに加えまだまだ、名のある者達がいる。絶対に気を抜くなよ。いいな!それでは解散!」

 この場から去ろうとするとファルがついてきた。

「なんだ?」

「戦う前に聞きたいことがある。クラウドは幼少の頃何があった、何故逆賊になったんだ?」

 騎士王と同じような質問だな。

 騎士王に言った解答じゃ、満足してくれなさそうだ。

「場所を変えて話す」

 そして、俺の部屋に来た。

「ここならいいか。俺は昔、ウィルバスの皇位後継者の一人だった。周りには家族もいた。母さんと血を分けた兄弟の兄さん。兄さんは何でも出来る人だった」


「お兄ちゃん!蝶々捕まえたよ!」

 幼少期のクラウドが言った。

 手には蝶々。

「よく捕まえたなぁ!クラウド。でもすぐに帰してあげろよ」

 はぁいとクラウドは蝶々を放す。

「ねぇねぇお兄ちゃん」

 ん?とクラウドの兄はクラウドに顔を向ける。

「なんでお父上は戦ばかりするの?」

「さあな。父上のことなど知りたくない。そんなことはいいから遊んでおいで」

 わぁーと庭を走り回るクラウド。

 そして、数日後。

「いいか、クラウド。今日は記念すべき日になるぞ!」

 兄は言うがクラウドにはさっぱりと分からない。

 兄は何か決心したような顔でクラウドの元からどこかへ消えた。

 クラウドが一人遊びをしている時だった。

「クラウド様。お父上が呼んでいます。すぐにお父上の元に来てください」

 クラウドに招集がかかった。

 何がなんだか分からず、頭は真っ白だった。

「お父上、入りますよ」

 クラウドが扉を開ける。

 すると目に入ったのは自分の母親と兄が、拘束されている姿。

 二人とも目は虚ろ。

「息子よ。よくぞ来た。この者どもは我にクーデターを仕掛けようとしておった。これは許されることではないことくらいは理解出来るな?」

 クラウドは何がなんだか分からない。

「咎人には罰を与えねばな」

 皇帝は立ち上がり、剣を抜く。

 次の瞬間、皇帝は剣を横に薙ぎ、二人の首をとばした。

 クラウドの前で。

 切った際に出た血がクラウドの顔にべっとりと着く。

「ち、父上!な、何故⁉何故母上と兄上を殺したのですか!」

「さっきも言っただろう。クーデターを企んでいたからだ。助かったな息子よ。無知な息子よ」

「それでは国外追放などに処すれば良かったではありませんか!」

「我が国に、力なき者は要らぬ。奴らは我になんと言ったと思う?『父上の正義は世界を滅ぼす!』などとほざきよった。我が正義は力なり。力がないものには正義などない!」

「力と正義が同じなわけがないでしょう!」

 クラウドは目を見開き、犬歯を剥き出しにし、激昂する。

「ふん、やはり。貴様は所詮あやつの子か。つまらぬな、もうよい、下がれ」

 皇帝は冷たい目線をクラウドに送る。

「もし、我に貴様の正義とやらを認めさせたくば力をつけろ。復讐を。断罪をと思いながら生きるがよい」

 クラウドはついに感情が爆発し、皇帝に襲いかかる。

 しかし、クラウドの拳が届く前に衛兵により止められてしまった。

「おい、こやつを国外追放しろ」

 クラウドは部屋から強制排除される直前まで絶対に父上を殺す!と叫び、皇帝は和やかに笑っていた。


「とまあ、こんな感じだな」

 やっぱり説明するには紙芝居がピッタリだな。

「ごめん。嫌なことを思い出させてしまって」

 お、珍しい。ファルがそんな女の子らしい顔をみせるなんて。

「気にするな。あと戦ではそんな女の子してると死んじゃいますぜ?」

 ファルは真っ赤に紅潮しそっぽを向いた。

「女の子してるって私女の子!女の子するのは当たり前でしょ!」

 その日の雑談は楽しかった。


「父上、戦の準備整いました」

 皇帝は玉座から立ち上がる。

「では()くとするか。久しぶりの戦よ。愉しませてもらおうか」

 皇帝は真紅の絨毯を歩く。

 噂ではその絨毯は元から赤かったわけではなく、戦で獲得した捕虜の血で赤く染まったという。

 この噂も鮮血皇帝と言われるがゆえの噂。

 皇帝は馬に跨り、進軍を開始した。

 この頃、シクサード国も着々と戦の準備をしていた。

「旦那ぁ!アルゴス隊、フィスコ隊、マルフォイ隊、全三隊準備完了しやした!」

 アルゴスが報告に来た。

 ふぅ、ついにか。

 前方、五百メートルにはウィルバス軍が陣を張っている。

 旗から推測すると、父上が居るみたいだ。

 それに、トラフィズ、アヴァル、メフィストも居る。

 あと数分後かに戦が始まるだろうな。

「クラウド、憶えてる?」

 ファルがいきなり話しかけてきた。

「何を」

「初めてあんたと私が出会った時の質問だよ」

「ああ、あれか。正義がうんぬんってやつ」

「そう、今一度、その質問をしようかなって」

 正義か。

「あん時は答えれなかったが今は答えれる。正義は人の願いだ。人はそれぞれの願いを持ってる。願いはやがて信念となる。その信念、正義が自分とは違う正義とぶつかった時、戦争を起こす。信念なき正義はただの暴力にすぎない。そして、二つ目の答え。つまり誰がその正義を肯定するかってやつだけど。そんなのは決まってるだろ。肯定するのは俺だ。自分の正義、信念を信じなくてどうするよ」

 ファルは、ふっ、と笑う。

 やっぱりクラウドは楽しいやつだと。

「クラウド、もう始まるみたい」

 そんじゃ、気合を入れて行くとしますかね。

 身体の向きを変え、後方を見る。

 数百の武装した仲間がいた。

「おっしゃ!てめぇら!戦が始まるんで気合入れて行けよ!俺からの命令は一つ。絶対に生き残れ!無理だったとしても魂を置いて行け!」

 仲間たちの大声が大地にこだまする。

 ウィルバス軍が進撃を開始する。

 騎士王から俺の軍に合図が送られた。

「行くぞ!」

 数百の人間の足が大地を踏みつける。ここに自分がいたのだと大地に刻みつける。

 敵が近づく。

 そして、相対の時。

 鮮血が噴き出す。

 まずは一人。

 煌めく剣先、軋む身体、これが戦。死神の仕事場。

「アルゴス隊は右に展開し逃げ場をなくせ!フィスコ隊は俺に続き進軍!マルフォイ隊はアルゴス隊の援護!」

 迫り来る敵。

 大地が震え、空気も震え、辺りは戦っているものか死んでいるものかに別れた。

 各々が剣や槍を手に自分の正義を武器に込める。

 ある者は家族を守るための正義。ある者は誰かを殺したいという暴力に成り果てた正義。

 人の正義の種類は千差万別だ。

 人の数だけ正義が存在する。


「戦はやはり血肉が沸き躍るぞ!」

 皇帝は高笑いをしながら敵兵の首を切る。

 皇帝自ら戦場に立ち、剣を振るい敵を倒すのは変わっていると?

 皇帝が目指すは騎士王の元。

 自らの剣によって騎士王を殺したいと。

「父上、油断して首を取られないでくださいよ?」

 トラフィズが心配するがそんなことは気にせず切り込む皇帝だった。


 クラウドは我流の剣術で敵兵を切り伏せてゆく。

「ちっ、そう簡単に囲わせてくれないか。……アルゴス隊、マルフォイ隊‼一旦戻れ!」

 戦力差は僅かにウィルバス軍が上回っている。

「これはこれは、坊っちゃん。お久しぶりにございますね。まさか敵として会うことになるとは」

「……爺や」

「昔から坊っちゃんを見てきたからといって、情けなどかけませぬぞ?今の坊っちゃんはクラウド・シクエル・ウィルバスにあらず、そう坊っちゃんは逆賊クラウドなのですから」

 燕尾服に似たような甲冑を身につけている元クラウドの執事。

 年を重ねているにもかかわらず俊敏な動き。

 武装はレイピア。

 執事の一閃。

 その剣先はクラウドを捉えることができなかった。クラウドに届こうとしていた時にはもう執事の右腕が飛んでしたのだ。

 クラウドの動きは一分のズレもない。洗練された剣術。

「な、に……⁉」

「爺や、あんたの老いた身体で俺を止められると思ったのか?皇宮から追放されてから俺が何もせずに怠惰な生活をしていたと思ったのか?」

 何かを言おうとしていたのか執事は口を開いたが言葉にする前に絶命した。

 執事の死体をクラウドは一瞥し、踏み越えた。

 執事を倒したからといって戦が終わるわけではない。

 右から兵士が襲ってきた。

「逆賊め‼」

 両手で剣を振るう。

 クラウドに剣先が届こうとした時だった。

 クラウドの背後から一本の矢が放たれ、兵士の喉元に深々と突き刺さる。

「クラウド!大丈夫だったか?」

 矢を放ったのはファルだった。

「ああ、助かった。あと頼まれてくれるか?」

「何を?」

 クラウドはファルをじっと見つめる。

 それがこっぱずかしかったのかファルが紅くなる。

「これからの指揮を頼む。俺は父上を殺しに行く。父上が死ねばウィルバス軍の士気は必ず下がる。そうすれば戦が有利になる」

 ファルが止めようと手を伸ばすがクラウドは本陣へと走っていった。

 鮮血皇帝が居ない本陣へと。

「待って!クラウドあんた死ぬk……」

 クラウドがその声に反応し、振り向いた時だった。

 ファルの喉元に剣が背後から突き立てられていた。

 クラウドは一瞬にして感情が昂ぶったがこれからのことを考えて感情を押し殺した。

 そして、敵本陣に着いた。

「な、んだと……」

 敵本陣に居たのは鮮血皇帝ヴラドではなく、トラフィズだった。

「やあ、遅かったじゃないかクラウド。途中何かあったのかい?」

 涼しげな顔で挨拶をする。

「あ、兄上。父上は何処に?」

「父上かい?父上は今頃、騎士王の首でも取ってる頃じゃないかな?父上が出陣する時は必ずこうなんだ。まあ、父上は強いし、性格上、ね」

 トラフィズはまるで他人事かのように話を進める。

 一方クラウドは、頭が真っ白だった。

 ファルは死んだ。そして自分はファルを置いていき、本陣に着いた。しかし、皇帝の姿はなかった。

 遠くからウィルバス兵の歓喜の声が聞こえる。恐らく、騎士王が死んだのだろう。

「所詮は騎士王もおじいさんだったね。まあ、父上もあまり変わらないけど」

 騎士王が倒れ、シクサード兵の士気が一気に下がった。

 敬愛していた騎士王がなくなったショック、そして目の前にある死の恐怖に押し潰され、逃げ惑う者の後が絶たない。

 ここからは戦という名の虐殺だった。

 天才将軍のレインは勝てる戦ではないと判断し、残存兵に撤退を命じる。

 しかし、その命令が届かない場所では虐殺だった。

 戦意を無くした兵が数人がかりで斬り殺される。

 クラウドの軍も健闘をしていたがウィルバス兵の勢いには勝てなかった。

 そして、戦が終わり、クラウドは捕虜となり皇帝の前に跪いていた。

「我が息子よ。此度の戦で全て失ったな。誠に愉快よな」

 クラウドの目は焦点が定まっていない。

 もう、彼は廃人と化していた。

「俺の人生は。一体……。俺のせいでみんな死んだ。わからない。俺の正義は何だ。わからない。わからない。わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない」

 独り言をブツブツと言う彼に皇帝は興ざめだと戦場跡の真ん中に置いてこいと命令した。

「陛下、よろしいのですか?此奴は逆賊なのですよ?」

 側付きが言う。

「別に構わん。そこの逆賊はもう死んだも同然!なれば再び殺す必要などない。今のそやつは生かすほうが酷であろう」

 御意に、と部下の一人がクラウドを手荒く扱い歩かせ、先ほどまで戦場だった場所のど真ん中に座らせた。

「命拾いしたと思うなよ逆賊めが。まあ、今の貴様には聞こえていないだろうがな」

 部下は皇帝の元へと戻っていった。



 そして、数刻後クラウドはずっと一人で座っていた。

「ファルも、あの騎士王も死んだ。俺の部下も死んだ。俺は一体……。なあ、俺はどうすればいい。死にたいのに、何故か死にたくないんだよ」

 すると遠くから足音が聞こえてきた。

 クラウドはその方向を虚な目で見る。歩いてくる人の姿は古びた布を被り背丈は大きい。

 そして、背中に紫色の水晶鉄でできた槍があった。

 さらに近づいてきて見えたのが左腕が根元から無かった。

 布を被った男が話しかけてきた。

「どうしたんだいこんな所で?」

 声の第一印象は優しい声。

 その声を聞くと何故か安心してしまうような声だった。

「お、俺は……」

 布を被った男はクラウドの目を見て、そして、周りを見渡す。

「どうやら、君は生き残ったみたいだね。途中、レインにも会ったし、そして、大切な人たちを失ったのかな?」

 ゆっくりと頷くクラウド。

「そうか。あと君の容姿から見るにあのヴラド皇帝の一族だね。しかし、君はウィルバス軍ではなくシクサード軍についていた辺りから思うにヴラド皇帝を恨んでいると、そして独断でヴラド皇帝のいる本陣へと突っ込む際に君の大切な人がそれを止めようとした時にその大切な人が死んだというわけだね」

「なん、で……わかる?」

「いやね、僕さ。結構推察思考とか観察眼とか持ってるからなんとなく分かるんだよ」

 クラウドはその声をじっと、ただじっとしながら聞く。

「その様子じゃ、もう君は死んだも同然だね。それじゃ、君を生き返らせてあげようか」

 その言葉に反応し、古びた布を被った男に顔を向ける。

 そして、クラウドは座っているため男を下から見上げる形となった。

 クラウドは驚愕した。

 男の顔は傷だらけだった。

 その驚きに気づいたのか男は布を脱ぐ。切り傷、刺し傷が身体中にたくさんある。

「僕の事が気になるようだけど今、僕の事は関係ないから置いとくね。それじゃ、君に質問だ。君にとって正義とはなんだい?」

 クラウドの心臓が跳ね上がり。そして汗が止まらなくなってくる。

「俺にとっての……正義……は………………人の願い……」

 クラウドの答えに拍手をする男。

「なんだ。分かってるじゃないですか。だったらなんでそんなに死んでるんだい?……あっ、そうか。君は自分の願いが分からないんだね、そしてその正義を誰が肯定するのかも」

「俺の願い……肯定。人。復讐」

「肯定する人は自分。って思ってたんだよね?それは違うなぁ~。肯定するのは自分以外の人なんだよ。まあ、僕の場合は僕が強すぎたから周りはあんまり理解してくれなかったけどそれでもちゃんと理解してくれた人が居たよ。余談なんだけどね。その理解者の一人はね。普段はおちゃらけてるのに趣味は小説を書くことなんだよ」

 クラウドは後半の話は右耳から左耳へと聞き流し、自分の願い、そしてその正義を誰が肯定するのかを改めて考えていた。

「でねぇ。そいつさ。僕の運が強いからってポーカーでイカサマやったって言…………」

(俺の願いは父上を殺す事。そしてその正義を肯定するのは自分だけで、でもその正義はもう壊れた。いや、本当に俺の願いは父上を殺す事だったのか?いやでも最初の願いは父上を殺す事だった。でもあいつらに出会って変わった。あいつらの事を守りたいと願うようになった。そして、その事を言うとみんな笑顔で頼みますよと言ってくれて、あっ、そうか。その時点で俺の正義は肯定されてたんだ。なんで気づかなかったんだよ……。気づいていれば……。俺にせめてできることがあるならば、ウィルバスを滅ぼす事……やってやる……もう、俺の正義を肯定してくれる人は居ないけれど俺は俺の正義を信じていく)

 クラウドの表情に人間味が戻ってくる。

 その眼はガラス玉からまるで炎のように、その肌は土色から肌色にと。

 クラウドは立て膝をつきながら立ち上がり、男を見つめる。

「誰か知らないけどありがとうな」

 男は笑みを浮かべる。どうやら何かあるように見える。

「生き返ったみたいだね。でもどうするんだい?ヴラド皇帝を殺しに行っても皇帝の元に着く前に死んじゃうよ?」

 男はクラウドの心のうちを見透かして言う。するとクラウドは笑みを浮かべなんとかするさと言った。

「別に一人で行くのは構わないけど行く前に僕とポーカーをしないかい?」

 男は懐からトランプを取り出してシャッフルし、地面に置き五枚引いた。

 男の準備は終わり、クラウドは仕方なしにポーカーに付き合う事になった。


 結果、十戦零勝十敗でクラウドが負けた。

 男の役はすべてロイヤルストレートフラッシュでクラウドは本当に男がイカサマをしたのではないかと思ってしまった。

「驚いたでしょ?僕は運がとても良くてね。と言うわけで僕のお願いを聞いてくれるかい?」

「それはお願い次第」

 男はふふっ、と笑いながらそんなに難しいお願いじゃないさ、むしろ君は何もしなくていいんだと言う。

 クラウドはわけがわからず首を傾げた。

「僕のお願いは、君の今から行くところについて行かせてくれないかい?」

 はっ?と少しばかりクラウドは男が何を言いたいのか理解できず、理解した頃には、空いた口が塞がらなかった。

「まあ、君が断ってもついて行くんだけどね」

「死んでも知りませんよ」

 クラウドがそう忠告すると男は、不敵に笑い、大丈夫僕は強いからと言った。

 そして二人はウィルバス領内へと入り、皇帝の元へ歩みを進める。

「なあ、なんでおれについて来たんだ?」

 皇宮の無機質な大理石でできた廊下を歩き、何気なくクラウドが男に聞いた。

「ん?ただ君はまだ死んではいけない人だと思ったからさ。おっと、お喋りの時間はおしまいのようだね」

 男の声音は優しいままだが目線は前方を捉え、鋭い刃を感じさせていた。

 そして男が見つめている先から足音が聞こえる。

「さすが、八年前の戦争の英雄殿ですね」

 男が察知した気配とはウィルバス第三皇位継承者、凶剣皇子ことトラフィズ・ジザ・ウィルバスだった。

 トラフィズは右手に長剣を携え、まさに貴族と言わんばかりの装飾が施されている服を着て現れた。

「兄上……」

 トラフィズはクラウドを見るが何も言わずにまた視線を男に戻した。

「ふーん、君は僕の正体を知っているみたいだね。クラウドは先に行ってくれるかな。僕はこの人を殺さなきゃいけなくなったし、多分この人はクラウドが皇帝の元へ向かったとしても手は出さないと思うよ」

 クラウドは男が促した通りに皇帝の元へと向かったがトラフィズは何も手出しをしなかった。

 クラウドの姿が見えなくなるのを確認すると男はトラフィズを見つめながら口を開いた。

「僕の正体を知りながらここに来て、僕と戦うということは死を覚悟しているってことだね?」

 トラフィズは口角を吊り上げにやける。

「死を覚悟?はっ!するわけがない。八年前の貴方は最強かもしれなかったが今の貴方は片腕を無くし、そして歳も取って衰えている。負けるはずがない。まあ、私の夢はいつか貴方をこの手で殺すこと」

 それを聞くと男は残念そうにため息をつき、槍を構えた。

「それではお願いしますよ?八年前の戦争の英雄『エドワード・ルイス・ハイレn「ちょっとお喋りがすぎるね」」

 トラフィズの言葉を遮り、一瞬間に距離を詰め、槍で突きを繰り出す男。

 しかし、トラフィズには命中せず空を切った。

「それが貴方の本気ですか?だったら幻滅した。この程度で最強と呼ばれたのですか!」

 トラフィズは男の顎を目掛けて蹴る。男は難なく避けるが蹴った所から空を切られる音がする。

 今の蹴りをまともに食らえば即死に違いなかった。

 男はバックステップで距離を取り態勢を立て直す。

「おいおい、言っておくけど僕はそんなにおじいちゃんじゃないよ?まだピチピチの二十六歳だって」


「大丈夫か、あの人」

 その頃クラウドは長い階段を走っていた。額には汗が滲み出ている。

 ただ心の中はもうすぐ自分の戦争が終わるという気持ち。

 長い階段を駆け上がり、上に着いた。

 奥の方を見ると、玉座に座っている皇帝がいた。


 男とトラフィズはずっと打ち合いをしていた。

「この程度ですか!」

 鉄と鉄がぶつかり合う音と布が擦り合う音、それとトラフィズのこの程度か!と言う声がこの空間の音を支配していた。

「もう、この程度か!この程度か!以外も言おうよ。もうこの先、この程度か!とか言えないと思うけどね」

 トラフィズが感じ取ったのは圧倒的な殺気だった。常人ならばこの殺気に当てられただけで気絶してしまうような鬼神のような殺気。

 思わずトラフィズは後ろにたじろぐ。

「遂に本気ですか。相手に不足なし!私も本気で行かせてもらおうか‼」

 トラフィズは長剣の柄の下半分を180度回転させると長剣の刃の部分が鞭状に変化した。

『剣節鞭』、それを扱うにはかなりの修練並びに才能が必要になるがゆえに使う者は僅かしかいないという武器である。

「特異な武器を使うんだね。まあ、どんな武器でも僕の勝利そして君の死は変わらないんだけどね」

 槍を構えながらに言う男。

 トラフィズは腕を振るう。

 すると剣節鞭は蛇のようにしなり

 男を襲い、頬を切り裂き少量ではあるが出血した。

「ふふ、間違っても掴むんじゃないぞ?掴むと貴方の手が切れてしまいますよ?」

 次々と襲いかかる剣戟を紙一重で避ける男。

「ほらほらっ‼」

 剣節鞭の刃の鋭さに大理石でできた床や壁が抉れる。

「もう、君の攻撃は読めたよ」

 今まで防戦一方だった男は一気に攻撃へと転じた。

 男は身を屈め、大理石の床をしっかりと踏みしめ、全身の神経を足に収束し駆け出す。

 距離はあっという間に詰まる。

「近づいてしまえば怖くないよ」

 紫色の鉄が光に反射し、そして高速移動をしているので残像が見えた。

「なっ⁉何なんだお前は⁉あの距離を一瞬で詰めるだと⁉や、やめてくれ、私はまだ死にたくない!…………とでも言うと思ったか?嵌ったな!」

 トラフィズは狂気的な笑みを浮かべてあらかじめ仕込んでおいたのかは知らないが左手の甲の辺りから剣が生えるような形で出てきた。

 トラフィズに向かってくる男に向かってトラフィズも剣を構え走る。

「猿芝居に付き合うつもりはない」

 完全に虚を突かれたはずの男は動じない。それどころか距離を取らず槍で突きを繰り出す。

 それにトラフィズは驚く、しかし冷静に身体を屈めて、溜めを作り全身のバネを使い、仕込み剣で男の顔面を狙い、突いた。

 トラフィズは決まったと思った。

 男の返り血を自分の全身で浴びて勝利を感じるつもりだった。

 しかし、返り血を浴びることはなかった。

 トラフィズの目の前で信じ難い事が起こったのだ。

「な、んだと……⁉確かに顔面を貫いたはずだ!」

 そして、次にトラフィズが感じたのはわき腹から奔る痛み。

「ぐ、ぁぁ……」

 トラフィズが視線をわき腹に移すと紫色の鉄でできた槍の穂先が後ろから前へと貫通していた。

「一体……」

「僕の戦いでの信条はね。誰よりも速くなんだよ。僕が扱う武器は槍だ。槍とはどんな物よりも速く扱わなくてはならない。そして体移動も速く……ね。まあ、言ってしまうと君ごとき、僕にかかれば一瞬だよ。あと君は僕が最強だったのは八年前だって言ったよね。

 それは合ってるよ。今の僕は片腕ないし、現在の剣聖の称号を持つ人と戦えって言っても勝てない。だからと言って弱くなったなんて一言も言ってないよ」

 トラフィズは血を吐きながらに言う。

「ふっ、ほんとに貴方は化け物ですね。あと何故止めを刺さないので?」

「化け物か……今となっては僕にとって最高の褒め言葉だよ。あと理由は君が僕に何か聞きたそうだからね」

「それもお見通しだったとは……では死ぬ前に聞いておこう。貴方は八年前の戦で右腕を無くし、全身に傷を負ったというのにどうやって生き延びたのですか?」

 男はトラフィズの前にあぐらをかいた。

「そうだね。普通に考えたら死んじゃうよね。実際、僕もあの時は死ぬと思ったし、僕が助かったのはある女商人のおかげなんだ。とまあ、そういうわけで生き延びたということでいいかな?」

 男は和やかにトラフィズに言う。

 そのトラフィズは、虚ろな目と口元で笑うとそのまま息を引き取った。

「君は僕が優しい人だと思ったかい?それは違う、確かに僕は優しいかもしれないけど良い人なんかじゃないんだよ。それじゃね。『凶剣皇子』中々楽しめたよ」

 そう言って男は立ち上がると皇帝とクラウドが居る部屋へと歩みを進めた。


 二人の決着が着く少し前、クラウド自身も自分の過去と対峙していた。

「父上、あなたには今日をもって死んでもらう‼」

 クラウドは剣を抜く。

 そして、飛びかかろうとした時だった、突然皇帝は笑い出したのだ。

「我が息子よ、何故(なにゆえ)我の命を狙う?復讐か?」

 復讐という単語に反応するクラウド。

「最初は復讐だったさ。でも今は違う。俺はこれから父上が戦で流すだろう命を助ける。それが俺の復讐のせいで死んでいったあいつらへの償いだ」

「実に愉快、良いだろう殺せるものなら殺してみるがよい‼」

 遂に皇帝が剣を抜いた。

 そして、二人は同時に切りかかり、鍔迫り合いになる。

 鍔迫り合いは単にぶつけ合っているわけではなく、後の行動を何手も先を見越してやっている。

「御老体なのによくできますね。でもあなたの剣戟は軽い」

 クラウドが力で皇帝を押し返し、その少しの隙を突いて、一閃、皇帝を袈裟斬りにした。

「ぐはっ……‼」

 皇帝は倒れこんだ。

「父上、一つ聞きたいことがある。父上は母上と兄上を愛していましたか……?」

 皇帝は自力で立ち上がるが全身の震えが止まらず、今にも倒れそうだった。

「グラディアとソルドことか……ふっ、愛していた時期もあったかもしれんな……」

 そうですかと一言言ってクラウドは皇帝の喉元に剣を突き立てた。

「終わった、全部終わった」

 クラウドが皇帝の前に立ち尽くしていたとき、男が入ってきた。

 男は皇帝の姿を見ると、皇帝の前で手のひらを合わせ、一礼をした。

「終わったみたいだね。だったらここから速く出なきゃ」

 男はクラウドの腕を掴み、走り出した。

 廊下を走ると死体がいくつも転がっている。

「あのなんで死体が?俺たち兵士は誰も殺してないですよ?」

「あれは僕の雇い主の仕業だよ。僕がお願いしといたんだ、詳しい話は逃走用の馬車に着いてからにしてくれるかい?」

 クラウドは無言で頷き、一心不乱に走りそして、ウィルバス国の街外れまで来た。

 すると森の入り口付近に馬車があった。

 二人は急いでそれに乗り込む。

 すると馬車の運転席から声が聞こえた。

「遅いよ。私が誰かに襲われたらどうするのよ、私の騎士様ぁー」

 てんで間伸びた声だ。

 声を聞くだけで癒されそうな声。

「ごめんよ。これでも急いだほうなんだ」

 男が謝る。

 クラウドはポツンと取り残されている。しかし、不意に前の女性が馬車を発進させながら話しかけてきた。

「で、君が私の騎士様が助けた男の子ね。よろしくぅー、私、あなたの隣らへんにいる男の雇い主のアルベリア・ラルフ・クラリスよ。あなたが見た皇宮の死体は私がやったの。こう見えても私強いのよ?まあこう見えてって言っても、今あなたには私が見えないでしょうけど」

 馬車はガタガタと揺れる。

 馬車の中をよく見ると生活用品、食糧、そして多種多様な武器が転がっていた。

「君はこの先どうするんだい?僕たちは商業ギルドに所属しているからそのギルドの拠点に戻る予定だけど、良かったら来るかい?」

 男がクラウドを誘ったがクラウドは首を縦ではなく横に振った。

「いいです、確かこの道の先の十字路はシクサードに繋がってたからそこで降ろして下さい。俺はまだウィルバス国を滅ぼしてませんから」

 そうかい……と男は残念そうに言った。

「ねぇ、君が言った十字路にもう着いたよ?シクサードまで送ってあげようか?」

 男の雇い主はそう提案したがクラウドは別にいいですよ、今は歩きたい気分です、さっき散々走ったので次は歩くって感じでと言ってクラウドはシクサードを目指し、歩き出したのだった。

 もちろん、最初の一歩目は右足からですよ?

 そして、去り際に男がクラウドに向かって言った。


「もし、君の正義がまた根底から壊されたときに今から言う言葉を思い出して、どんな時も僕は君の正義を信念を肯定するよ、誰も信じなくても僕だけは信じるから!」


 男がそう言うとクラウドは一礼をして去っていった。

 そして、馬車内。


「私の騎士様、あなたって悪い人ね」


「ふふ、そうかな?でも間違いなく今の言葉に彼は元気付けられたと思うけどな」


「そう、やっぱりあなたは悪い人ね」


 二人が乗った馬車は月夜に照らされながらどこかに消えていった。


はい、また会いましたね。

ここまで来たということは最後まで読んだってことですね!

ありがとうございます!

よく、途中から文体が変わっているのに読んでくださいました。

もう一度ありがとうございます

それではどうでしたか?

いきなりなんだっ!って話ですよね。

それではどうでしたか?って言われてもですよね。

ただ感想が聞きたいだけ的な?

まあ、書かなくても書いても貴方がこの話を読んでくれたという事実は変わりません!

そして三度目のありがとうございました!


あと気づきましたか?

物語後半から出てきた布を被った男、あれはですね。

前書いた短編小説、『強すぎるがゆえに嫌われた英雄の物語』の主人公くんです!

なんで出したって?

い、やですね……話し上ね……必要で。

まあ、その男が気になる人は‼

『強すぎるがゆえに嫌われた英雄の物語』

を読んでくださいね?

また、それではー

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― 新着の感想 ―
[一言] これだけストーリーがしっかりしているのなら、連載でもいいような気がします…。
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