ゴシック
父はいつまで待っても帰って来なかった。
「暇だな」
十二単は重かったらしく、俺が有事のために買っておいたゴスロリの服を着て、テレビを見ていた神様が、ぐずりだした。
「俺はすごく楽しいですね」
「それでも私は楽しくない。もういいじゃないか、相談事を聞いてくれ、解決してくれとは言わないから」
「……聞くだけなら」
「腹が減るんだ」
「なにか食べます?」
そういえば、もう夕食を取ってもいい時間だった。
「いや、いい。だが、なにか美味があるなら食べるが」
レトルトカレーを温めることにした。台所でお湯を沸かす。
「お腹が減っているのなら、言ってくれればいいのに」
「そうではない、神は腹が減らないことになっているんだ」
とことこと後を付いてくる幼女に、少し感動していると、神様はそう言って、腹を見せてきた。俺は変態ではないので、露出してくれるのならば、最初の方の女の人の姿でして欲しかったと思う。
「腹の中になにか異変があるはずなんだ。ちょっと見てくれ」
「すいません。幼女には触ってはいけない人種なので」
「変なやつだな。見た目を成熟した女にしようか?」
「いや、出来うるならそのままで。というか、俺は医者じゃない」
「解らないか。なにか方法はないだろうか。稲荷山とかに相談しに行けば、治るのであろうが、貸し借りは余り作りたくはないし、ぶっちゃけ嫌いなのだ」
神様と神様の仲はいいと聞いたことがあったが、神様それぞれなのだろう。それと、神様が何か、病気になるなんて聞いたことがない。
「カレー食べますか」
「うむ」
向い合って、カレーを食べていると、神様は腹が減るようになった経緯を話し始めた。
「本当に唐突だった。昼寝から起きるとだな、腹が減っていたんだ。私は神に成ったものだから、力を失ったのかもとも思ったが、そんなことはない。それどころか、最近はなにやらアニメ効果というやつで、一気に力が増した」
「成った?」
「ん、それは聞くんじゃない。神の正体をばらそうとするなど、言語道断だ。他の神にそういうことを言うと、切って捨てられるから気をつけろ、なにげに血の気が多いからな」




