人狼ゲーム…罰ゲームは女子からのお尻百叩き
彩花:あー…。疲れた。なんかもう、指一本動かしたくないー。
千夏:お疲れー。ていうか、わかる。私も今日、一日中ふわふわしてた。昨日アドレナリン出すぎた。
明日香:あんたはしゃぎすぎ。昨日、一番声デカかったよ、千夏。
千夏:だって、あんな面白いこと、そうそうないじゃん!
彩花:ふふ…。私も、最初はびっくりしましたけど…結果的に、すごく楽しかったです。
明日香:楽しかった。いろんな意味で。
千夏:ねー! まさか、あの普通の飲み会が、あんな人狼大会になるとは思わなかったよね。
明日香:そもそも、あの男、何だったの。いきなり「じゃあ、そろそろ王様ゲームしよっか!」とか言い出して。空気読めなさすぎでしょ。
彩花:私、ああいうの苦手で…。どうしようって、固まっちゃいました。
千夏:わかる。昭和かよって。しかも目がマジだったし。絶対ロクでもない命令する気満々だったよね、あれ。
明日香:でしょ? だから、潰してやろうと思って。ああいうのは先手必勝。
千夏:さすが明日香! あの『あ、王様ゲームって今どき流行らないですよ。それより、もっと面白いゲームしません?』って言った瞬間、空気変わったもんね。
彩花:あの人、顔、青ざめてましたよね。「え、あ、そうなの?」みたいな。
明日香:で、すかさず「罰ゲーム付きの人狼ゲームやりませんか?」って。
彩花:罰ゲームってきいて、怖かったです。人狼ゲームってあんまりやったことなくて、ルールもよくわからなかったから、ちょっと不安でした。
千夏:まあ、彩花はああいうの、できなくてもいいポジションだから。
彩花:えー? どういう意味ですか?
千夏:そんで、肝心なのは罰ゲームよ。ホントに完璧な流れだったと思う。
明日香:だよね。完璧なルール設定だった。
彩花:もう、最初聞いたとき、びっくりしましたよ。「負けた陣営の男子は、勝った陣営の女子から、お尻百叩きされる」って。
千夏:そうそう! 考えといてよかったよね。
明日香:だって、王様ゲームで変な命令されるより、こっちが主導権握ったほうが絶対いいでしょ。男子が女子を叩くのはナシ。絶対。
千夏:でも、男子から「それ、理不尽じゃない?女子が負けてもなにもないじゃん」だってさ。そこで、私がすかさず「え、ていうか、男子が女子のお尻叩くとか、普通にセクハラじゃね?」って援護射撃したわけよ。我ながらナイスアシスト。
彩花:私、なんか怖くなっちゃって…「負けたら男子から叩かれることになるんですか? 私、そういうの怖いです…」って、本気で怯えちゃいました。
明日香:彩花のあれは、100点満点の反応。あの怯え方見たら、男子は「女子を叩く」っていう選択肢はなくなる。
千夏:で、とどめが明日香の「あー、じゃあ、雰囲気悪くなってもあれだし。今日はもう解散にします?」だよね。あれは効いた。
明日香:帰るそぶり見せたら、食いつくと思った。案の定、あの二人、「いや、面白そうだからやろうよ!」だって。
彩花:もう一人の人は、なんか「え、でも、明日香さんと千夏さんの罰ゲームって…なんかヤバそう…」って、ボソボソ言ってましたけど。
千夏:そいつ、見る目あるよね。私、やるからには本気でいくつもりだったし。
明日香:で、結局「女子は叩かれない」「負けた男子だけが、勝った女子に叩かれる」っていう、超理不尽ルールのままゲームスタートしたわけだ。
彩花:今思うと、あの人たち、なんであのルール飲んだんでしょうね…。
千夏:そりゃ、うちらとまだ遊びたかったからでしょ。あと、ぶっちゃけ、ドMだったんじゃないの?
明日香:まあ、そうだろうけど。で、最初のゲームが、まさかの私と彩花が人狼。
彩花:私、いつバレるのかと、ずっとドキドキしてて。
千夏:私は占い師だったんだけど、男の村人を占って「あ、こいつ白だ」とばかりだったわ。
明日香:私の占い騙りにまんまと騙されて、初日で千夏噛みが通って、結局、議論もぐちゃぐちゃになって、うまいこと村人を一人ずつ吊っていって、私と彩花の人狼陣営の勝ち。
千夏:騎士が私を護衛しなかったのが悪い。罰ゲームに値する。
彩花:あの時、千夏ちゃんは村人陣営だったから、負けちゃいましたね。
千夏:そう! 負けたのは私と男子三人。ちくしょう! 私、叩けなかった。
明日香:そう。で、罰ゲームタイムになった瞬間、ウケたよね。
彩花:ふふ…。なんか、男子三人とも、私のとこに来ようとしてましたよね。「彩花ちゃんのお尻ペンペンがいい」みたいな感じで。
千夏:あいつら、完全に彩花のこと「安全地帯」だと思ってたろ! 叩かれても痛くなさそう、みたいな。
明日香:だから、私、王様ゲームを提案してきたやつの腕掴んで、「君は、こっちだよね?」って圧かけといた。
彩花:明日香先輩、あの時、目が本気でしたよ。怖かった…。
千夏:私はそれ見て爆笑してた! 「いいなー! 私も叩きたいなー!」って、負け組の席で叫んでた。
明日香:あの彼、泣きそうな顔でこっち来て、彩花ちゃんがいい。なんなら、200発でもいいって言ってたけど、「私が百叩きしてあげる。王様ゲームなんて、提案するからこんなことになるんだよ。」って言っといた。
彩花: 私、あとの二人をぺちぺちやってる間に、そんなことが…。
千夏:あいつ可哀想だった! でも超ウケる!横で見ててめっちゃ笑えた!
明日香:まあ、あれはジャブよ。私的にハイライトは、あのゲーム。
千夏:あー! あれね! 私と明日香が人狼だった回!
彩花:私、あれ、本気で悔しかったです! 私、村人だったのに!
明日香:あのゲームは、盛り上がった。私と千夏が人狼だった。
千夏:私は早々に吊られたけどね。「こいつ、うるさいから人狼だ」とかいう雑な理由で。
明日香:千夏が吊られて、私は(あ、これヤバいかも)って思ったけど、なんとか潜伏して。で、騎士→占い師とうまいこと始末して…。
彩花:で、最終日、残ったのが、明日香先輩と、私と、あの…真面目そうな人。
明日香:そう。私(人狼)、彩花(村人)、彼(村人)。この時点で、村人陣営はあと一人人狼を見つければ勝ち。私は、どっちかを吊らせれば勝ち。
千夏:あの時の議論、白熱したよねー!
彩花:私、必死に「私は絶対に村人です! 信じてください。もし、私が人狼でもお尻ペンペンは手加減しますから!」って訴えたのに!
明日香:私は冷静に言った。「彩花は、そうやってか弱そうに見せて人を騙すのが得意なんだよね。占い師視点で、君は村人だから、私視点は彩花が人狼。でも、罰ゲームを引き合いに出すっていゥメタ発言なしだとおもうんだよね。私は罰ゲームを手加減するとか言わないけどら千夏に霊能が黒出してるから、どっちにしろ千夏は手加減してくれないよ。千夏が私と彩花のどちら側で動いていたのかが、私の主張かな。あとはどっちを信じるかは考えて」って。
千夏:うわー、性格悪っ!人狼ってホントに性格でるわ。
明日香:こらっ!ゲームの世界のことを現実に持ち出さないの
彩花:そしたら、彼、すっごい悩んで…。で、私を指差して「…彩花さんを、吊ります」って。
明日香:勝った、と思ったね。で、彩花が吊られて、スマホのゲームマスターから「吊られた彩花さんは、村人でした。よって、人狼陣営、明日香さんと千夏さんの勝利です」って。
千夏:あの時の彩花の顔! 「だーかーら! 言ったじゃないですかー!」って言いながら、プンスカしてた。
彩花:だって、もうくやしいじゃないですかー!
明日香:で、罰ゲームタイム。負けたのは、村人陣営の彩花と、男子三人。勝ったのは、人狼陣営の私と千夏。
千夏:よっしゃー! 待ってました!って感じ。
明日香:で、私はあの彼に言ったの。「最終日まで残った好敵手には、私自らが罰ゲームしてあげる。感謝しなさい」って。
千夏:キャー! 明日香様ー!
明日香:で、「残りの二人の雑魚は千夏よろしくね」って。
千夏:任せろ!って。もう、あの二人は羽交い締めにして、きっちり百叩きずつ、やっといた。途中から手が痛かったから、靴べらかしもらって、もう無心で叩いてた。
彩花:あの二人、今日絶対、講義の椅子座れなかったですよ…。かわいそう…。
明日香:でもさ、あの彼、ちょっといいなって思ったんだよね。
千夏:は? どのへんが? 結局あんたに騙されて、彩花吊ったアホじゃん。
明日香:違うよ。あの状況、よく考えてみて。彼からしたら、人狼は私か彩花。
彩花:そうですね。
明日香:もし、あそこで彩花を吊っていたら、彩花が人狼なら、そのまま勝ち。仮に私が人狼だったとしても、罰ゲームは彩花と千夏からのお尻ペンペンになるから、最悪の状況はまぬがれる。
千夏:あー、そうか。なるほど
明日香:彼は、罰ゲームを軽く済ませる道もあったのに、罰ゲームがどうとかじゃなく、純粋に「人狼を当てる」っていう勝負をしにきたんだ。
彩花:ふふ…。
明日香:…やっぱり、ちょっとかっこいいかも。私を信じきって、彩花を吊った、あの真剣な顔。
千夏:いや、明日香からお尻ペンペンされたいだけのドMの可能性もある…。うわー。明日香、ちょっと顔が、ゆるんでる。
明日香:違うし。絶対違う。
彩花:私は、どっちかっていうと、罰ゲームのたびに、私のところに逃げてこようとする男子たちが、なんか可愛かったです。
千夏:出た、彩花の「安全地帯」ムーブ。
彩花:だって、本気で叩いたら可哀想じゃないですか。だから、私はいつも「ほら、いきますよー、ぺち、ぺち」って。
千夏:なのに、何回か明日香に捕まって、連行されてたよね。
明日香:「彩花のとこは定員オーバー。こっち来なさい」って。
千夏:マジ鬼。ま、私は別に、男がどうとかはいいかな。でも、あの罰ゲームは楽しかった。スカッとした。なんか、ストレス発散になったかも。
明日香:それは同意。またやりたいね、あの理不尽人狼。
千夏:ねー。でも、あそこまでボコボコにして、また誘ってくるかな、あいつら。
明日香:まあ、これでまた誘ってきたら、それはそれで、あいつらも本気で楽しかったってことでしょ。
彩花:…あ。
(ピコン、と静かな部屋に通知音が響く)
千夏:ん? 彩花?
彩花:あ、えっと…。昨日の、あのいつも私にお尻ペンペンされてた幹事…真面目そうな人から…。
明日香:…なんて?
彩花:「昨日はありがとうございました。すごく楽しかったです。もしよかったら、今度二人で、ご飯でもどうですか」って…。
千夏:ブッフォ!! マジか!
明日香:…へえ。
彩花:ど、どうしよう…。
千夏:どうしようって、行きたいんでしょ?
明日香:行くかい?行っちゃえ!
彩花:え、えーっと…。二人きりは、まだ、ちょっと…。
(彩花がスマホを操作する)
明日香:なんて返すの?
彩花:えっと…。「昨日はありがとうございました。私も楽しかったです。あの、もしよかったら、二人きりじゃなくて…また、みんなでゲームしませんか?」って。
明日香:…………。
千夏:…………。
明日香・千夏:アッハハハハハハ!!!
千夏:彩花、お前!
明日香:あんたが一番タチ悪いわ!
彩花:えええ!? なんでですか!?
千夏:「二人きりはまだちょっと」とか、どの口が言うの!
明日香:散々、男子たちを弄んでおいて。
彩花:そ、そんなつもりは…!
千夏:「またみんなでゲームしませんか?」って、それ、またお尻ペンペン大会やろうって言ってるのと同じじゃん!
明日香:しかも、自分は「安全地帯」で、高みの見物決め込むくせに。
彩花:だ、だって、お尻ペンペン、見てるの楽しかったし…。
千夏:うわー! 悪女! こいつ悪女だ!
明日香:あんた、そういうとこあるよね。レポートとかも、にこにこしながら一番エグいテーマ選んだりするし。
彩花:そ、そんなことないですー!
千夏:いやー、しかし、そう来たか。
明日香:さて、男子たちは、どうするかな。
千夏:この誘いに乗ってきたら、あいつら、本物のドMってことだね!
彩花:もう、千夏ちゃん!
明日香:ま、どっちでもいいけど。あー、なんかお腹空いた。ピザでも頼む?
千夏:賛成! いっぱい話してたら、めっちゃエネルギー使ったわ。
彩花:あ、私、ポテトも食べたいです!
あとがき
お尻百叩きってやる方も疲れますよね(笑)
なんか叩く棒ないかなーって探しちゃいます。
あ、この物語はもちろんフィクションです(笑)
人狼側が大分有利なルールですが、ぜひ合コンなどでやってみてください。




