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彼の為に何かしてあげたい私は? “ずっと夢だった仕事を辞めて彼の傍に居る事を選んだ!” 

作者: 七瀬




彼の為に何かしてあげたい私は? “ずっと夢だった仕事を辞めて

彼の傍に居る事を選んだ!”




私はずっと夢だった仕事にやっと就いて、3年付き合っている彼とも

順調にいっていた。


・・・でも? ある日、彼から私に大事な話があると言われて、

“私は彼から別れ話を切り出されるんだとずっと想っていたのだが、”

彼の話は、私の想っていた答えではなかった。



『“実は? 俺さ、もう長くないみたいなんだ、”』

『えぇ!?』

『前からずっと体調が悪くて、だから病院で診てもらったら? 

大腸がんで、医者は末期だと言ったんだ! もう治らないって、

俺さ、あと3ヶ月ぐらいしか生きれないんだって、笑えるだろう、』

『なんでそんな大切な話、直ぐに私に話さないのよ!』

『・・・ご、ごめん、だからさ、俺と別れてもいいよ、それは千香が

決めればいいから、』

『“こんな事で、別れる訳ないじゃない!”』

『・・・で、でも? 俺はもう一人じゃ生きれないんだ、24時間

人の助けがないと、ダメなんだよ。』

『だから、何?』

『やっと千香は、夢だった仕事に就けたんだろう! だったら仕事に

もっと集中して、俺なんかとはもう別れてさ、』

『“じゃあ、私! 仕事辞める!”』

『えぇ!?』

『確かにずっと夢だった仕事に就けた事は嬉しいけど、私にとって隆哉の

方がずっと大事なんだよ!』

『・・・で、でもさ、』

『“もう決めた事だから、もう何も言わないで、、、!”』

『・・・チ、千香、』





私は遂、興奮してこんな事を言ってしまった!

でも? “やっぱり私は仕事より彼の方が大事だと想っている!”

一度! 夢だった仕事に就けたなら? またいつか仕事に就けるかも

しれない!

だけど彼は違う! 彼の命は、“もう僅かしかない!”

短い時間だからこそ、私は彼と最後まで一緒に居たいの!

誰がなんて言おうが、私はやっぱりこの考え方を変えたりしないわ!




『本当にごめん、仕事辞めさせたりなんかしてさ、俺は罪な男だな、』

『そうよ、だから少しでも長く生きてね!』

『・・・ううん、』



普段、弱気な顔をしない彼が病気になってからはいつも自信なさげで、、、。

この時も、私の前で涙目になっていたわ。

私は彼と付き合って3年! 彼の涙を目の前で見た事がなかったから、

私まで彼の涙を見て、もらい泣きしてしまったじゃない!





 *





その後、彼は抗がん剤治療や赤外線治療をしながらガン剤細胞を

小さくしながら頑張っているのだが、、、。

体重は日に日に落ちていき、体は骨が見えるほどにやせ細っていって。

それに抗がん剤治療のせいで、嘔吐を繰り返し彼の辛い姿を目のあたりに

見ているのが辛く、何度も私は心が折れそうになった。

でも? “絶対に彼の目の前では涙を流さないと心に決めて、”私は笑顔で

彼に接していたわ。

彼の弱音も、私は前向きに跳ね除け、彼を前向きに考えるように誘導も

していったの!



・・・ただただ、みるみるうちに弱っていく彼を見て!

“もう健康な体に戻る事はないんだと私はそう思っていたわ。”

そうは思いたくなくても、そう思うしかないほど彼の容態も悪化して

いったのよ。



たまに私はふとこんな事を思ってしまう。

“彼が私に病気の事を告げ、別れてもいいと言ってくれた時、”

私はあの時、別れていた方が良かったのか?

こんなに彼の看病が辛いなら、こんな選択はしなかったんじゃないのか?

でも? あの時、彼と別れていたら? 私は後悔していたんじゃないの!

いろいろ頭の中で私は考えたくない事まで考えてしまう。


“彼に一日でも、長く生きてほしい!”



ただただ、私は自分の夢であった仕事を辞め彼の看病をすると

心に決めたの!

彼と最後の最後まで、笑っていられるような強い女でありたい!

すべては彼の為に......。



・・・この日、彼は一時的に家に帰る事が出来て、

私も彼と一緒に居て看病をしていたのだが、彼が急に病状が悪化して

病院に救急車で運ばれた。

そしてそのまま、彼は亡くなってしまったの。

あっけなく私の目の前で、彼の心臓が止まり亡くなったのよ。

私は頭の中か真っ白になり、少しの間直ぐには動けなかったわ。

その1時間後、彼の両親が病院に着いて私にこう言ったの!



『“千香さん、本当にありがとう! それとお疲れ様。隆哉は本当に

幸せ者だったと思う! こんなに大好きな千香さんが最後まで傍に居て

看取ってもらえたなんて、隆哉は幸せ者よ。でも今日はもう家に帰って

ゆっくり休んで! 後はわたし達家族がするわ!”』

『“・・・で、でも? お母さん!”』

『お葬式の日が決まったらまた電話するわね。』

『・・・あぁ、はい、』

『本当にありがとう。』

『・・・・・・』






私は彼が亡くなって1年間は何もできず、家に籠っていた。

余りにも彼が亡くなった事がショックで、私は立ち直るのに

時間がかかってしまったの!

でも? “ふと彼の言葉を思い出したわ!”

私が夢である仕事に就けた時、彼は物凄く自分の事のように喜んでくれた事!

“これからは自分の為に生きてほしい”という最後の彼の言葉。



だから私はまた、“夢だった仕事に就けるように頑張ろうと思う!”

彼の分も、精一杯生きるわ。

彼もそんな私を天国で見て! 喜んでくれると思うから、、、。



・・・だから私、頑張るね!


最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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