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ランドオブデッド・最も危険な夜 -ようこそ、リアル・ゾンビゲームへ-  作者: 明鏡止水


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8

 煌汰が、ナイフを振るって舞い、2人3人と切り裂く。

ローレアが、時折体を捻って振り向きながら、続けて拳銃の引き金を引く。


メグが銃を構え、引き金を3度に渡って引く。

ラヴィナが剣を振るい、1人の腹を刺し貫き、2人の首を切り落とす。

そして、キャルシィが斧を振り上げる。


最後にメレーヌが短剣を手にして舞い、一気に数人を切り刻む。


 戦っているうちに、皆は自然と距離を取っていた。

だが、むしろそのほうが有利だ。

なぜならば、味方に邪魔されず、自由に舞えるからだ。


 1人との切り合いを制したキャルシィは、斧を横に向かって投げた。

それはラヴィナの手に渡った。


彼女は左手で剣、右手で斧を持ち、スケート選手の如く回った。

そして斧を投げ、次に託した。


それを掴んだローレアは、銃で周囲のゾンビを撃ち抜いた後、左足を軸に回転して背後から来ていたものを切った。


 そうして投げられた斧は、次はメレーヌの手に渡った。

メレーヌは短剣を上に放り投げ、斧を振り回してゾンビたちの頭や胸を叩き割り、首や腹を切り裂き、舞い踊った。


 煌汰は斧を受け取らず、2本のナイフだけを持って舞い続けた。

やがて前方から襲ってきた2体を切った後、その背後から来ていた2体の胸目掛けてナイフを投げた。


そして、そこを狙ったかのように横から来ていたゾンビの引っ掻きを上手く躱し、隠し持っていたカランビットでその首を掻き切った。



 その時、背後から静かにゾンビが迫ってきていた。

煌汰は振り向いたが、その際ちょうどゾンビの正拳突きを食らい…


「!!」

メグがマグナムを撃ち、奇襲してきたゾンビを横から撃ち抜いた。

それにより、他の者たちも気がついた。


 煌汰は倒れ、目を閉じたまま動かなかった。


「煌汰…!」

キャルシィが近づこうとしたが、メグはその肩を掴んだ。


「やめなさい。あなたが危ないわ」


「…」


 短い間とはいえ、共に戦った仲間。

それを、こんな形で失うなんて。


「ああ、やっちゃった…でもすぐにはならないよね。せめて、今のうちに離れよう」


「それがいいな。お二人さんも、さっさとここを離れようぜ」


「え、ええ…」

キャルシィは元より、ローレアやラヴィナ、メレーヌたちも辛いものを感じた。

だが、自分たちが生き残るためには、仕方がない。



「煌汰…ごめんなさい」

 倒れた煌汰を後ろにしたキャルシィは、最後に悲痛な面持ちで、悲しげに言って足を進めた。








「…!」

煌汰は、目を覚ました。

左頬にわずかな痛みを感じたが、血は出ていない。

また、骨が折れたような感覚もない。


煌汰は、死んではいなかった。

不意の攻撃で、意識を失っていただけであったようだ。


「僕は…」


 その時、足元に何か光るものが見えた。

それは、月光を反射するカランビットだった。


「そうか、不意打ちを食らったんだった…」


あたりを見渡すと、先ほど投げた2本のナイフがゾンビの死体に刺さったままになっていた。

這って近づいてそれらを拾い上げ、薬で傷を回復し、煌汰は立ち上がった。


 なんだか、妙に空が明るくなってきている。

もしかしてと思い時間を確認すると、なんと6時前を指していた。


ゲーム終了時刻は、7時だ。

つまり、あと1時間。1時間、生き残れば…。


「残り1時間か。…残ってやる、絶対に」

日が昇りつつある空を見上げ、彼は手を強く握った。







 それから、10分が経った。

煌汰は、島の中央に向かって歩いている。

なんとなくだが、そのほうがいいような気がしたのだ。


 島の中央には、時計台がある。

そこはこの島で最も高い建造物であると同時に、島で唯一のヘリポートがある場所でもある。


ここはゲームの終了時、生き残った選手を回収するためのヘリが着陸するポイントにもなっている。

従って、ここまで生き残った者たちがここに集まるのは自然なことなのだ。


 かねてよりここに留まっていた者たちもいる。

だが、彼らはいずれも、ヘリの来る時間まで持ちこたえることはできなかった。


時計台の入り口から内部まで至る所に散乱している、かつて自身の仲間たちであったかもしれない死体たち。

それらを見下ろしながら、煌汰は進んでいく。




 二階へ続く階段を登ろうとした時、背後から声をかけられた。

振り向くと、1人の男と少女がいた。


男の方は日本人風の顔で、少女の方は西洋系の顔立ちだった。

男は刀を携え、少女は弓を携えている。


「あんた達は?」


「お前と同じ、生き残りだ。あともうちょいだと思ったら、なんかここに来たくなってな」


「そうか…僕もそうなんだ」


「そりゃ、奇遇だな。俺は龍神、この子はアレイだ」


「僕は煌汰。…やられたと思ったけど、気絶しただけで済んでたみたいだ」


「それは、幸運でしたね」

アレイと呼ばれた少女が言った。


「私も何人か、他の参加者の方に会ってきたんですが、みんな…。1人で歩いていた時に、この人に助けてもらいました」


「群れるのは好きじゃないが、1人や2人くらいなら味方がいてもいい。この子は弓持ちみたいだし、遠距離を任せようと思ってな」


 確かに、彼女は弓を持っている。

銃よりは連射性能は低いだろうが、それでも頼りにはなる。


何より、その実力は確かなものだろう。

でなければ、ここまで生き残ってこられたはずがないのだから。


「弓か。それなら遠距離をこの子に任せて、僕らで近距離をやればいいか」


「そうだな。一応剣を持ってるみたいだが…それでも基本的には、遠距離だ」


そんな会話を終えた後、3人は上への階段を上がった。




 途中で、ふと思ったのだが。

この龍神という男の顔、見覚えがある。

面識があるわけではないが。


煌汰はしばらく考えていたが、やがてわかった。

こいつは、ガソリンスタンドにいた男だ。


 狭い屋内でゾンビの群れに襲われても、刀1本でそれら全てを切り倒して出てきたのを、煌汰はしっかり見ていた。

よもや、ここまで生き残っていたとは。


だがいずれにせよ、貴重かつ心強い味方であるのは間違いない。

どうか、この3人で終わらせられますように。


 祈りながら、煌汰は階段を登ってゆく。

アレイ

出身 スペイン

年齢 14歳

性別 女

使用武器 弓、剣

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