ホムンクルスを売る魔女 ~実験を行う研究生~
心が芽生える瞬間を知りたい。
そう思った人物が、とある研究をスタートさせた。
その人物は、心のようなものを作ろう。
と、そう思って、たくさんのプログラムを作った。
色々な方法を試したけれど、心が芽生える瞬間は見られなかった。
このままでは、研究が頓挫してしまう。
そう思ったその人は、オカルトに手を出した。
あやしげな老婆の魔女に接触して、小銭三枚で人間を買った。
その人物は驚く。
本当に存在するとは思わなかった。
こんな事がありえるなんて。
寝て起きたら夢だったのではないかとすら思っていた。
けれど、夢ではなかった。
人間を手に入れた。
魂のない人間を。
これで新しい研究ができる。
その人物は喜んだ。
その人物は、その人間に様々な事をした。
命令をして、やってほしい事を一つずつ覚えさせた。
人間は従順にそれを行った。
けれど、あらかじめ言い渡した事以外の事はいっさいしなかった。
これは心あるものではない。
心あるものは、ルールや規則、言われた事いがいの事をするものだ。
だからその人物は、様々な矛盾する命令を与えた。
走れ。
走るな。
喋ろ。
喋るな。
食べろ。
食べるな。
そんな事を繰り返していたからだろうか。
人間は壊れて、二度と動かなくなった。
心がないくせに、どうして壊れるんだ。
また老婆を見つけて、人間を買おうかと思ったが、もう二度と見つからなかった。