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依頼文とはじまりの予感
依 頼 文
先日、妹が庭先にて倒れ、高熱を発っしました。
霊か、はたまた鬼か。
妹は夜な夜な、女の姿を見るのです。
女は自分を脅し、自分を襲おうとするのだと。
首無事件の似顔絵を、折込紙で拝見いたしました。
近隣の地区に配られたものです。
その顔が妹を襲う女の特徴に酷似しておるのです。
思い返すと妹が倒れたその翌日、
事件は起きている次第。
もし鬼の仕業であるのなら、
妹の身が心配でなりません。
是非に、腕利きの陰陽師をば
派遣下さりますよう願います。
木辻、七条大路 明陽街 通称「西洋館」
小野家当主 小野秀晴
陰陽堂様
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栄華を極めた、平成の世。
新世代は其の世に憧れ、平成の復興を画策す。
其れは瞬く間に時の流れに侵入し、京の一角を陣取る。
右京の七条大路、其の周辺に兆す第三次文明開化。
時の輝沙羅希天皇も、それを容認。
人は其の地を、『明陽街』と称す。
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