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兵器な少女  作者: 哀上
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25話 恋の病

25話 恋の病

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 先生が教室に入ってくる。

 頭の整理もつかないまま、授業が始まってしまった。


 今日の授業は、さっき読んでた昨日の授業でやった小説の続きの部分。

 つまりは、マイケルの恋云々のお話だ。

 先生が登場人物の気持ちをどうたらこうたらと黒板に書きながら説明していく。


 うぅ……

 やめて、詳しく解説しないで。


 そんなの分かるけど、

 分かりたくないって言うか、

 恥ずかしいって言うか、


 昨日とは違って理解は出来る。

 マイケルの気持ちには共感出来る。

 だからこそ、マイケルの恋について説明されるとまるで自分のことを話されてるようで直視できない。


 私のヴィーナに向ける気持ちって何?

 マイケルの友達が言ってたみたいに、恋なの?

 でも、そんな訳……


 昨日以上に授業に集中できていない。

 やめて、死んじゃうから。

 恥ずかしくて、死んじゃうから。


 先生が板書の手を止め、振り返る。

 え?

 なに?


「じゃあここ、ヴィーナさん分かる?」


「はい」


 ヴィーナが指される。

 今度はヴィーナがマイケルのことを解説していく。

 マイケルの恋について、ヴィーナの口から。


 ひゅう〜


 もう無理。

 ギブ。

 ギブアップ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「リーリアちゃん」


「ひゃい!」


 肩を叩かれ、目が覚めた。

 顔を上げると、心配そうな顔をしたヴィーナが。

 あれ、何で?


 あたりを見回すと、いつの間にか授業は終わってたみたいだ。

 さっきの授業、途中から記憶がない。

 ヴィーナが先生に指されて、恥ずかしいことを話し始めてあたりまでは覚えてるんだけど……


 もしかして、私気絶しちゃった?

 そんなバカな。

 至近距離でスタングレネード食らっても平気だったこの私が?


 でも、それでよかったかもしれない。

 もしヴィーナの話を全部聞いちゃってたりしたら、しばらくは悶え苦しむ羽目になっていたことだろう。

 今でもヴィーナとちょっと目が合わせられないのに。


 国語の授業、やっと意味理解できるようになったのに今度は内容で攻めてくるなんて。

 やっぱり鬼門だ。

 というか、テストとかほんとにどうしよう。


「大丈夫?」


 ヴィーナが覗き込む様にして、私と視線を合わせる。

 ヴィーナと目があっている、それだけで……


 私、ヴィーナのこと好きなのかな?

 よく分からない。

 そりゃ嫌いでは無いけど、好きって何だろう。


 別に私とヴィーナの子供が欲しい訳じゃない。

 だから、好きじゃないと思う。

 でも、今日の授業でやったマイケルの恋の話はそう言うのじゃなくて。


 ……


 マイケルに当て嵌めて考えたらそうなんだろうけど、男と女で考え方って違うよね?

 第一、学校の教科書用の小説だし内容がそんな正しいかって言うと。

 でも、じゃあ好きじゃないのかって聞かれると、分からない。


 ヴィーナは私のことどう思ってるんだろう?

 嫌われては無いと思う。

 むしろ好かれてる方だと思う。


 でも、それってそう言う意味の好きじゃないよね?

 子供扱いされちゃってるし。

 そもそも、同性だし。


 もし、私がヴィーナを好きだったとしてその後どうなるんだろう。

 気持ちを伝えたら前に進めるのかな?

 好き同士になって、恋人みたいに……


 いや、もしもの話だけどね。


 女の子同士って、きっと一般的では無いよね。

 告白したところで、どうせ振られちゃうんだろうな。

 ……振られるだけならいいほうか。


 もしかしたら気持ち悪いって思われちゃうかもしれない。

 ただのクラスメイトならともかく、ルームメイトが自分のことを好きなんて。

 そんなの嫌だよね。


 だってずっと同じ部屋で生活する事になるんだもん。

 そんな相手が、自分のことをそういう目で見てるってすっごくストレスだ。

 気が休まる暇がない。


 しかも、出会ってまだ2日だし。

 そんなの困っちゃうよ。

 あんまり、いい結果は想像できそうに無いな。


 うん、考えても仕方ないか。

 きっと今無理に答えを出したところで良い未来にはならないから。

 自然に答えが出たら、その時考えよう。


「リーリアちゃん、今日学校来てから様子変だよ? 本当に大丈夫なの?」


「だ、大丈夫!」


 か、顔が近いよ。

 私の心音とか聞こえてないよね?

 大丈夫だよね?


 覗き込むような体制だからか、制服の隙間から胸元が……

 昨日一緒にお風呂に入った時の記憶が蘇る。

 あの、柔らかい感触が。


 やばい。

 どうしよう。

 こんなこと考えちゃダメだって分かってるのに。


 ヴィーナはただ私のことを心配してくれてるだけなんだ。

 勝手に変なこと考えて、頭が空回ってるバカな私のことを。

 なのに、そんなことばっかり考えて。


 頭から全然離れてくれない。

 それもこれも、全てマイケルのせいだ。

 おのれマイケルめ。


 昨日といい。

 今日といい。


「そ、そっか。じゃあ、そろそろ呼ばれたから行かないと」


「え?」


 呼ばれた?

 何の話?


「聞いてなかったの? 今放送で、私とリーリアちゃんに職員室に来る様にって」


「あ、そうなんだ。ありがとう」


 全然聞いてなかった。

 そんな放送流れてたんだ。

 結構ちゃんと意識失ってたんだ、私。


 でも、何の用だろう?

 心当たりといえば、昨日の一件だけど。

 私だけならともかく、ヴィーナも?


 そりゃ一緒にいたし、関係者ではあるだろうけど。

 でも、それを一緒には呼ばないよね。

 朝イチじゃないのも判断に困る。


 普通に学園来てまだ2日目だし、それ関連とか?

 一応、ヴィーナも同じ部屋だし。


 ……


 って、そうじゃん。

 昨日、私たちの部屋に警察来たじゃん。

 それ関連なんじゃない?


 博士の話じゃ、昨日の諸々は上手くやってくれるってことだったけど。

 どうなったのかは詳しく知らないし。

 朝イチじゃないのも、直前まで色々調整していたのだとしたら納得だ。


 どう言う話になったとしても、昨日警察が来たのは変わらない訳だし。

 それの表向きの呼び出しってこと?

 本当のことを知ってるのなんて数人ぐらいだろうし、他の教師からしたら不自然極まりないもんね。


「ほら、ぼーっとしてないで行こう?」


「う、うん」


 手を差し出される。

 私は、それを自然に

 自然に……


 恐る恐る、顔を真っ赤にしながら握った。


「? 変なリーリアちゃん」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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