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兵器な少女  作者: 哀上
23/27

23話 お風呂

23話 お風呂

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 お風呂に逃げ込んだ私は、とりあえず先にシャワーを浴びることにした。

 これだけ耳元で水音が鳴っていれば、布の擦れるような些細な音なんて気にならない。

 余計なことは何も考えない様に、無心で……


「ひゃっ」


 突然背中に何か柔らかいものが当たった。

 変な声出ちゃったじゃん。

 ヴィーナが入って来たみたいだ。


 後ろから抱きつくように、腕が私の腰に回されている。

 あれ?

 と言うことは、私の背中に当たってるのってヴィーナの……?


「ちょ、何してるの?」


「リーリアちゃんが、私のこと半裸の状態で放置して先に行っちゃったからお仕置き」


「ちょ、言い方」


 確かに状況だけ羅列したらそうなるけどさ。

 その言い方だとなんか、その……


「一緒に入るって言ったでしょ」


「ごめん」


 まぁ、服脱がせるって息巻いて途中で逃げ出した私が悪いのかもしれないけど。

 でも、ちょっとあれは予想外だったから。

 冷静になってしまった後だと、いくら同性でも流石に下着に手をかける勇気は出なかった。


 というか、ヴィーナは何の抵抗も無さそうにあっという間に私のこと脱がせてたけど。

 やっぱ大人っぽくない体型だからだろうか?

 手を引かれたりとか、ずっと子供扱いされてる気がする。


「ほら、洗ってあげるから」


「……うん」


 ヴィーナにびっくりして立ち上がりかけたのをまた座らせられる。

 一緒に入ることになった時点で、洗われることぐらいは覚悟できてる。

 想定外なのは、その時の想像よりもだいぶ裸同士と言うのが恥ずかしいということだ。


「どこか痒いとこありませんか〜?」


 鏡を見ると、準備万端とばかりに大量の泡を持ったヴィーナが。

 初めてみたレベルの満面の笑みだ。

 絶対良くないことを考えてる気がする。


「お、お手柔らかに」


「もちろん」


 いい返事だ。

 でも、全く信用に足らない返事だ。


「ちょ、そんなとこ触らないで」


「ちゃんと隅々まで洗わないとダメだよ」


「でも、」


 分かっていたけど、こうなった。

 恥ずかしいけど、結構楽しいかもしれない。

 こうやってわちゃわちゃするの。


 意外なことに、ヴィーナは洗うのがうまい。

 お嬢様なんだからそういうのメイドさんとかにやらせてる物だと思ってたけど、逆に普段プロのを受けてるから上手くなったのかもしれない。

 今日はかなり疲れてたから、癒される。


 でも、油断してると変なところに手を伸ばして来るから全く気は休まらない。

 不思議な気分だ。

 癒されていく側から疲れが溜まっていく。


 と言うか、ヴィーナ。

 少し合わない間にセクハラおじさん化してない?

 いや、今日会ったばかりなんだけどさ。


「次は私の番!」


「えー、リーリアちゃん出来るの? さっきは恥ずかしくなって逃げちゃったくせに」


「う、うるさい。よゆーだから」


 このままされるがままになっているといつまでも終わらない気がしたので、区切りがついていそうなとこで攻守交代。

 さっきは逃げちゃったけど、もう流石に大丈夫。

 ヴィーナの裸も多少は見て耐性付いたから。


「えい!」


 反撃とばかりにヴィーナの方に手を伸ばした。

 ヴィーナは私を洗うために膝をついていて、手を伸ばしたらちょうど目の前にそれがあるわけで、


 むにっ


 私の手にやわらかな触感が伝わる。

 すべすべしてて、張りがあって、


「んっ……。リーリアちゃんったら、大胆」


 少々の沈黙が流れた。


 でも、今回こそは逃げるわけにはいかない。

 私もやられるだけじゃないってとこ、ヴィーナに見せなければ。

 大丈夫、別にいけないことをしてるわけじゃない。


 ただ、体を洗ってるだけ。

 しかも、女の子同士だし。


「ど、どうよ!」


 ヴィーナと視線が合い無言で見つめ合う。

 そっと胸から手を離し、私が座ってた椅子にヴィーナを座らせる。

 しゃかしゃかとソープを泡立てる。


 ……


「リーリアちゃん、やっぱり恥ずかしい?」


「違うもん、私の番だから普通に洗ってあげるだけだから」


 そう、初めからそのつもりだったから。

 一箇所を洗い続ける意味もないしね。

 だから離しただけで、別にそう言うんじゃないから。


「そっか(……まだ早いかな)」


「ヴィーナ、今何か言った?」


「何でもない」


 泡だらけにした手でヴィーナのことを洗う。

 後ろから見ても、やっぱり女性らしい体つきをしてる。

 胸以外も。


 マシュマロボディと言うのだったか。

 ふにふにとしていて、触っていて気持ちがいい。

 別に太っているとかではなく、成熟した女性は皮下脂肪が付きやすくなるらしい。


 成熟した女性、つまり妊娠するための準備が整っているってことだ。

 まだしばらくは先だろうけど、ヴィーナもいつかママになるのかな?

 お嬢様だし、きっとそうだよね。


 ……子供か。


 私って子供とか出来るのかな?

 いや、恋愛的な意味じゃなくって。

 物理的な、生体的な機能としての話。


 私たちは普通の生まれじゃない。

 そして博士の話によると、普通の生まれじゃない私たちの中でも私はさらに特殊だ。

 その機能が生きているのか少し疑問だ。


 生理はあった。

 一回だけで、軍事行動に邪魔だからって理由で博士に止められたけど。

 調整も受けてないし、生理もそのうち戻るのかな?


 よく分からない。

 博士に聞けば簡単に分かるだろうけど、こんな話聞きたくもない。

 子供欲しいのかと変態的な実験にでも付き合わされたら最悪だ。


「よし、おっけー」


「終わった? リーリアちゃんありがとー。気持ちよかったよ」


「本当?」


 ヴィーナにこうやって褒めてもらうと、結構嬉しい。

 お世辞かもしれないけど。

 でも、嬉しいものは嬉しいからいいのだ。


「じゃあ、リーリアちゃんもう一回座って」


「え、さっき洗ってくれたからもう大丈夫だよ?」


 まさか、またもみくちゃにされるのだろうか?

 楽しかったけど、流石に今日これ以上は。

 まだ初日だし、出来れば明日以降にしていただけると……


「まだ髪が終わってないでしょ」


「もうシャンプーしたよ」


「リンスは?」


「? そんなの別にいいじゃん」


 そう言うものがあるのは知ってる。


 でも、いまいち詳しくない。

 とりあえず汚れを落とすための物ではないという知識しかない。

 汚れ落とす物じゃないなら、いらないよね?


「ダメだよ。もしかして、使ったことないの!?」


「……うん」


「髪長いんだから、ちゃんとお手入れしないと今は良くても後々傷んじゃうよ」


 そう言う物なんだ。

 でも、傷んだら切ればいいんじゃないの?

 それに、私の体丈夫だし髪も傷みにくそう。


 何よりも、


「めんどくさい」


「もう、私がやってあげるから」


 そうやって再び座らされた。

 ほんのりヴィーナの温もりが残ってる気がする。

 ……やめよう、これより先は考えてはいけない。


 ヴィーナは、髪をとくようにしながらリンスとやらを私の髪に馴染ませていく。

 体を洗われてた時の、ほぐれて疲れが取れるようなのとは違う。

 でも、どこか落ち着いた心地よさがある。


 そういえば、昔は私も誰かに洗ってもらってたりしたんだろうか?

 覚えていないけど、初めから1人でお風呂に入るのは無理だし。

 博士か、それとも他の姉妹か、


 まさか機械で全自動って事は無いよね?

 うん、無いと信じたい。


「どうしたの?」


「うんん、今日は色々あったから」


「そうだね、激動の一日だったよ」


 学園に来て初日だったのに。

 授業やら同級生やらの対応ですでに色々あってへとへとだったのに、放課後になってからの方が忙しいってどうよ。

 多分、軍にいた頃よりもよっぽど忙しくて大変だった。


 こんなのが毎日とかだったら、流石の私も持たないよ。

 まぁ、そんな事ないだろうけどね。


「リーリアちゃん、今日は本当にありがとね。リーリアちゃんが居なかったらきっと私……」


「私が勝手にやった事だから」


 そう、私が勝手にやった事だ。

 それに、お礼を言わないといけないのはきっと私の方だ。


 私がいまこうしていられてるのが、ヴィーナとヴィーナのお父さんのおかげだからって言うのももちろんある。

 でも、それ以上にヴィーナ個人に感謝してるんだ。

 きっとヴィーナに出会わなかったら、私は生きる意味とやらを見つけることが出来なかっただろうから。


 ただ、理由もなく生きていただけだったのに。

 いつの間にか生に執着している自分がいた、死にたくないと考えている自分がいた。

 今では生きるのがこんなにも楽しい。


「……でも、私の為でももうあんなことしないで。会えなくなっちゃうかもって心配したんだから」


 怒られちゃった。


「ごめんね」


「私と、約束できる?」


「うん、ヴィーナとの約束」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 お風呂から上がると、私の荷物が諸々なかった。

 直接お風呂に入っちゃたから気が付かなかった。

 どうやら、警察が持っていっちゃったらしい。


「私の着替え……」


 裸で寝ろって事か?

 と言うか、ベットはあるけど私の布団は?


「はい、これ。リーリアちゃんの」


「え? これヴィーナのパジャマじゃないの?」


「お揃い」


 ヴィーナが私に渡したのと同じものを取り出す。

 何着も持っているみたいだ。

 当然か、洗濯とかあるしね。


 ヴィーナの服、あと下着も……

 ちょっとだけ悩んだ。

 悩んだけど、私は裸族ではないので裸のまま寝る勇気も出ずありがたくお借りした。


「おやすみ」


「……うん」


 私は、警察に空き巣に入られ部屋の中で身一つの状態と化したわけで。

 ヴィーナの服を着て、ヴィーナのベットに入り、そのまま2人1つのベットで眠りについた。


 ……そういえば、寝具にも予備があるんじゃ?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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