表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兵器な少女  作者: 哀上
22/27

22話 脱がせっこ

22話 脱がせっこ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ヴィーナが私を抱きしめたままなかなか離してくれない。

 いきなり抱きつかれた時は、私も恥ずかしさとか忘れて抱き返せた。

 けど、流石に時間がたって頭が冷静になってくるとちょっと恥ずかしさの方が上回って来ると言うか。


「あの……」


「ん?」


 私の声に、ヴィーナが視線を合わせて首を傾げる。

 抱きしめられたままの状態なので、めちゃくちゃ至近距離だ。

 少し近づいたら唇が触れ合ってしまいそうなぐらい。


「そろそろ、離してもらっても……」


「だーめ、リーリアちゃんは私とずっと一緒なの」


 ダメだそうだ。

 しばらくは離してくれそうにない。


 別にヴィーナに抱きしめられるのは嫌じゃない。

 まだ会って1日しか経ってないけど、私もヴィーナのことは好きだ。

 もう会えないと覚悟していたのにまた会えて嬉しい気持ちはある。


 でも、


「ほら、私まだお風呂入ってないし。朝からずっとこの制服だったから、汚いよ」


「リーリアちゃんに汚いところなんてないよ」


「いや、でも。お風呂入りたいかなって」


 普段だったらこんなのあんまり気にしない。

 1日や2日お風呂に入らなかったところで、それがどうしたって感じだ。

 スナイパーとして敵陣近くに潜伏する時なんて、数週間ぐらい体を洗えないこともざらだ。


 でも、ヴィーナとこんな至近距離にいると少し気になってしまう。

 ヴィーナはすでにお風呂に入った後なのか、ふんわりとシャンプーの香りを漂わせている。

 服も部屋着に着替えてて、その服からもなんか良い匂いがする。


 これで気にならない方がおかしい。

 私の女子力は低い方だとは思うが、女という自覚がないわけではない。

 臭いとか思われるのは、あまりよろしくない。


 特にヴィーナには思われたくない。


「じゃあ、私も一緒に入る!」


「……」


 恥ずかしい。

 恥ずかしいけど、まぁ別にいっか。

 そうでもしないと離してくれそうにないし。


 結局ヴィーナに助けて貰った様な物だし、私に叶えられるお願いなら聞くのもやぶさかではない。

 一緒にお風呂に入るぐらい、なんてことはない。

 ……いや、恥ずかしいことは恥ずかしいけどね?


「分かった。じゃあ、一緒に入ろ」


「うん!」


 ヴィーナは抱きついたまま私の後ろに回り込むという器用な事をして、そのまま私のことをお風呂場へと押していった。


「ほら、万歳して」


「いや、服ぐらい自分で脱げるから」


「いいから、いいから」


 いいからって、何がいいのか分からない。

 でも、そう文句を言いながらも言われた通りに手を上げてされるがままだ。

 なぜかヴィーナには強く出れないんだよね。


 勝手におねぇちゃんっぽいなんて思っているからかもしれない。


 姉……

 私、姉妹たくさん居たんだよね。

 多分。


 何人かとは会ったことがある。

 その時は何も知らなかったから、特に関わろうとも思わなかったけど。

 知ってたら何か変わったのかな?


 軍でも、こんなふうに……


 詳しくは知らないけど、今では結構少なくなっちゃってるんだろうな。

 どれぐらい生きてるんだろう。

 いつか、本物のおねぇちゃんに会えたりするのかな?


 私への今回の対応を見るに、今は滅多なことじゃ処分されたりしなさそうだ。

 今は戦争も終わってるし。

 だから、もしかしたら……


「どうしたの?」


 ヴィーナの顔が横からひょこっと出てきた。


「もしかして、一緒にお風呂入るの嫌だった? だったら……」


「うんん、何でもない」


 今更、後悔しても仕方ないか。


 そもそも、姉妹だって知らなかったってだけの理由で関わらなかった相手だ。

 軍じゃ子供なんて珍しいんだから、それだけで共通点なのに。

 だから、知ってたところで案外関係なかったのかもしれない。


 ヴィーナもおねぇちゃんみたいなだけで、別に私のおねぇちゃんじゃないしね。

 本物の姉は案外冷たいのかもしれない。

 本物の親の博士がアレだったんだから。


 ヴィーナは家族じゃない、でも家族以上に私のために色々してくれている。

 私にはヴィーナがいるんだ。

 だから、別に寂しくなんてない。


 ……


 もともと寂しいなんて思ったことなかったんだけどな。

 それも、これも、ヴィーナのせいだ。


「リーリアちゃんの肌、綺麗」


「そう、かな?」


「うん」


 ヴィーナがそう言いながら私の背中を撫でる。

 少しくすぐったい。

 考え事をしてる間に、いつの間にかすっぽんぽんにされてしまっていた。


 と言うか、私だけ一方的に脱がされてるの納得いかない。


「ヴィーナの服は私が脱がせるからね!」


「本当? 嬉しい」


「……むぅ」


 ヴィーナが嬉しそうな、どこか余裕ありそうな笑顔を浮かべる。

 私は恥ずかしかったのに。

 実に不公平だと思う。


 ヴィーナは部屋着だったからあっという間だ。

 上と下を脱がせて……


 これ、ブラジャーだよね?


 大人っぽい下着だ。

 私がつけてた肌着とは違う。

 ちょっとエッチなやつ。


「どうしたの?」


「何でもない」


 博士がだらけていた時に、たまにこんな格好をしていたことがある。

 その時は、堅物のくせにそんなのつけてるんだなって感想しか出てこなかったけど。

 思い返してみれば、男だらけの職場でなんてことをしていたのだろうか。


 そんな記憶は置いておいて、つまり私はそれぐらいしかブラジャーを見た経験がない。

 触れた経験なんて全くない。

 要は、


 これ、どうやって外すんだろう?


「うーん」


「……? あ、そっかリーリアちゃんはまだ着けてないもんね」


「あ、いや」


「大丈夫、大丈夫。誰にでも初めてはあるから。そんなのすぐ聞いてくれればいいのに」


 私が手を止めて悩んでいると、あっという間にバレてしまった。

 気を遣ってくれたんだろうけど……同い年なのに、これが敗北感。

 大人の女と私の差か。


 容姿には自信あるんだけど、いかんせん私はスレンダーなのだ。

 博士はそれなりにあるし、未来には期待できるははず何だけど。


「これはね、前の所がホックでとまってるだけだからこうやって」


 胸の谷間の部分を軽く捻ると簡単に外れた。


 そして、私とは違って女性らしい胸が露わになる。

 これは目の毒だ。

 さっと視線を逸らす。


「もう、女の子同士じゃん」


「うるさい」


 咄嗟に視線を逸らしてしまったせいで余計恥ずかしくなってきた。

 裸の自分がヴィーナの服を脱がしている光景を想像してしまう。

 それは酷くよろしくない光景に見えた。


「あれ? 下は分かるでしょ、脱がせてくれないの?」


「……ヴィーナのバカ」


 それだけ言い残してお風呂場に逃げ込んだ。


 多分笑われている気がする。

 私のやたら優れた聴覚が、扉を一枚挟んでいるのに衣服の擦れる音を拾ってしまう。

 ヴィーナはもう一枚しか着てなかった。


 つまり……、うん。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

感想、評価、なんでもいいので反応もらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ