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自分の価値を主張するための、ただ一つの権利  作者: Coppélia
Convictions are more dangerous enemies of truth than lies.
8/24

The snake which cannot cast its skin has to die. As well they cease to be mind.

現在から過去を振り返ってみれば「彼」はこの「午前中」でピークを迎えるアーティストであった。


「彼」はこの「午前中」の終わり近くに国外へ移住する。世間的には今こそ「旬のアーティスト」。「名刺代わりの一枚」からは、既に3枚のシングルを発売しており、絶好調に近い。


私生活のイベントとしては第三子が産まれている。

普通の神経なら、ここで国外移住の手は打たない。


「彼」の非実在感が酷いのは、博打に近い選択肢を選択するというのが多分にある。そして、成功するのだから、凄まじい強運の持ち主かはたまた非実在か、である。


ナポレオン・ボナパルトの生まれ変わり、とかを信じるよりは、非実在の方がまだマシな回答だと思う。


左隣が「彼」に会いに行っているのもこの時間あたり「午前11時20分」ぐらいである。


そして「午前11時30分過ぎ」に「彼」は日本から消える。そのまま「夕暮れ」を迎え、今に至る。


そう「彼」はバンド時代もそうであったように、絶頂期前後でまたしても、姿を隠す。


一般大衆には「絶頂期」の「彼」しかイメージが残らない。だから「彼」は「Charisma」足り得る。


この時間から「夕暮れ」になるまで、下降していく姿を「彼」は見せない。


また、日本にいない以上、ゴシップ屋はいない。「彼」はやらかしてファンを幻滅させるなどはしない。見せない。


よって「彼」のイメージはそのものはここから「夕暮れ」に向かうまで、あまり変わらない。今持ってしても変わっていないだろう。「綺麗」なまま。


「彼」は、新天地に馴染み始めた直後「彼」自身の中では「最高傑作」につけるつもりだった、という名前のアルバムを出している。


この時期から楽曲、歌詞や歌い方がまた、変化していく。


彼はソロデビューしてから何故か曲を作る側になり、歌詞は大部分において他に任せている。


「彼」は歌詞の持つ力について話をしているが、同時にこだわりが強いようで、代表曲の作詞家と途中で喧嘩別れに近い形で終わりにしていたりする。


なので、この時期の作詞は全盛期とは別の、というより右隣が「チャートに挑んだ時期」の作詞家である。


普通に何故、その選択肢を選択するのか?

疑問でならない。


しかし、ゴシップ屋が書き散らかしたように「彼」の音楽への一般大衆の関心は急速に薄れていく。


テレビもラジオも出ない、音楽雑誌のインタビューが精々で、曲の制作スピードも遅い。それは完全に過去の人扱いだろう。


ただ、この時間には珍しい本人出演のCMがある。

「彼」は音楽以外の露出を好まない。製品紹介の本人出演のCMは4つしかない。うち3つが「夕暮れ」時であることからも、珍しいCMである。


この移住から「正午」過ぎ、1997年頃の楽曲から2003年前後の楽曲に向かうにつれて、一般大衆受けからコア向けに変化していく。


僅か6年。

「彼」は「彼」のファン以外の視界から消えた。


この「正午」前後に「彼」は9枚のシングルを出しているが30万枚を超えたのはドラマとゲームのタイアップがついた1曲だけである。


CD全盛期の1999年、「彼」のほぼ「正午」。

この楽曲以降「彼」にはいわゆるヒット曲がない。


この時間以降「彼」はヒット曲は生み出せなかった。しかし「彼」の辿ってきた軌跡と向き合い飲み下すことで「Charisma」であり続けた。


バンド時代からピークを迎えるまでの5年。

ピークを迎えてから「彼」自身が日本から「消滅」するまでの5年。


「彼」は何人もいるかのように、変わり続けた。

人生の「正午」を過ぎて、なお。


シングル曲自体はまだ大衆受けを考えていると推察されるが、楽曲自体は様相を変えている。


私の記憶では、24時間TV初期の司会者が司会していた音楽番組で「第8位「彼」のX X X」と紹介されていたのを覚えている。


それは「彼」のソロデビュー15周年。「彼」の「古巣復帰記念」曲だった。統計上不利な月曜日とはいえ、あまりに寂れた結末、であるかのように思えた。


しかし「彼」は、また賭けに出る。

「午後」には「午後」の戦い方があるとでもいうように。

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