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3.私が大賢者として召喚された経緯とは?

それからしばらく、世界の書は私がこの世界、デストーロイに召喚された経緯について語った。

ええ、それはもう長々と。


まあ、簡単に纏めると、つまりは神様の一柱だった女神の恋愛のもつれが起因するらしい。


千年ほど前、まだ神の一柱として存在していた美の女神ネフェルティスがとある邪神(昔召喚された異世界人が創ったらしい)に恋をした(そもそもそこがおかしいよね。神様が邪神に恋って)。

で、恋は盲目とばかりに邪神に入れ込んだネフェルティスは神としての仕事も放棄し、邪神から離れなくなった。他の神々の忠告も無視し、邪神に入れあげたネフェルティスはとうとう神々の怒りを買ってしまったらしい(そりゃそうだろ)。

邪神がいなくなればネフェルテイスも目が覚めるだろうと考えた神々は邪神を封印し、隠した。

盲目的に愛した邪神がいなくなり目を覚ますかと思いきや、ネフェルテイスは神々に激怒し、なんと主体となったであろう創造神に対して邪神を返せと攻撃した。神同士の争いは神界でのタブーのひとつで、それを犯したネフェルテイスは神力剝奪の上(この神力がないと神とは見做されないらしい)、地界(つまりはヒトや動物たちの住む地上)に追放処分となった。だが、神力を剥奪しきる前にネフェルテイスは下界に逃げ、身を潜めた。


神々は神力はほぼ剥奪できていたし、地界に堕ちたのでもう何もできないだろうと処分完了としたが、それから数百年後事件?は起こった。

地界に逃げたネフェルティスは、自分をメインで祀っていた国の神殿に逃げ込んだらしい。そこで神殿のトップの前に現人神(あらひとがみ)として降臨したように見せかけて洗脳し、自分の意のままに動くようにした。そして神殿に神として君臨し、そこから人々の信仰を受け、神力を少しずつ取り戻しつつ、神官たちを操って邪神の封印場所を探していたが未だに見つけることはできないでいた。

そこでまだ探せていない他国の国の宝物庫や他の神を祀っている神殿の深部にも入れるように異世界から聖人や賢者や勇者を召喚する事にしたらしい。召喚術は神のみぞ知る秘術となっていたが、ネフェルティスはその秘術を知る神の一人だったため、ネフェルティスにより神官達に秘術が伝えられ、約千年ぶりに召喚術が行使された。召喚術は世界に歪みを作る。それで神々は召喚術が行使されたことに気付き対処する為に術に干渉した。そしてその影響で私が巻き込まれたらしい。まあ細かく話せばまだ色々あるんだけど、かなりざっと説明するとそういう事らしい。

つか星規模で迷惑掛ける恋愛ってなんだよ!しかも神様だろ!?いい加減諦めて大人しくしてればいいだろうに・・・


しかもあの海華までこの世界にいるとか。マジ勘弁してほしい。


「つまり、海華は聖女として召喚されたって事?」


どこをどう見たらあんな女が聖女足り得るのか甚だ疑問ではあるが、所変われば品変わると言う様な事があるのかもしれないと思い世界の書に聞いてみる。


≪いや、津崎海華は聖女ではなく賢者として召喚されたようだ。しかし神々の干渉により召喚術が行われた神殿ではなく、ファウダー大森林の端に落ち、近くに住む魔族に保護されて、今はその魔族の庇護下にある≫


「賢者!?あれが??いや、確かに頭の回転は悪くはなかったとは思うけど。そこまで頭がいいわけでもないわよ?・・・魔族に保護されたんなら元気に過ごしてるんだ、なんだ残念」


つい、本音が漏れてしまう。奴にはそれだけの恨みが積もっているのだ。悲惨な最期を遂げたとでも言われたら、気持ちは軽くなったのに。

小学生の頃から高校生まで海華の宿題は全て私がさせられていたし、何だったら大学の論文まで書かされた。長年嫌というほど近くで奴の屑具合は見てきたのだ。まあ、学校の成績はそこそこだった様だし、男を(たぶら)かす事には長けていたと思うけど。

あ、でも賢者って聖人じゃないから善人じゃなくてもいいのか?


≪しかし、そなたが同時に召喚された。この世界に落ちた時期は違えど、召喚されたのは同時。そしてそなたが大賢者になったことにより、海華は賢者にはなれず、無職の異世界人となった≫


世界の書から衝撃の言葉が飛び出した。


「・・・ふはっマジで!?あはははは!無職の異世界人とか、マジうけるんだけど!なら、あいつが貰うはずの賢者の恩恵は私が貰ったって事か。あはははは!それは嬉しい事を聞いたわ。ありがとう」


≪賢者としての恩恵どころか、そなたは大賢者だ。賢者程度では与えられないスキルも与えられている。世界の書(ワタシ)も大賢者だからこそ使えるのだぞ≫


「ふぅん、つまり世界の書はスーパーレアスキルって事?そもそも世界の書って」

何?と聞いている途中で神眼が働いてくれた様で、目の前に鑑定結果?が出てきた。


『世界の書:この世界が造られた時に生まれる世界のアカシックレコードの様なもの。誕生から今までのこの世界の全ての物事が綴られている。タイムリーに更新されるが、未来は未定。世界の書の存在を知るのはわたしとフェンディアと一つの存在のみ』


は?わたしとフェンディアと一つの存在のみ??

つまり、神眼と私と神々以外の存在って事よね?え、なにその重大事項・・・

そんな情報知りたくなかったわ。

やだなぁ、この神眼、さらっと情報を出しておきながら、神様にも言うんじゃないぞ!って無言の圧力を掛けてきてる。

もしかして中の人がいるとか?・・・いや、考えるのは止めよう。なんか墓穴を掘る気がする。


ていうか海華の職業を私が奪っちゃったなら、私も賢者になるんじゃないの?

何で上位存在の大賢者になってんの?


≪転移の術の途中から神々の干渉が入ったと言っただろう?その時に調整が難しく、神力をかなり多く注いでしまってな。本来ならそなたも賢者だったのだが、人族として転移するはずが神人族になってしまった影響で大賢者になってしまったのだ≫


あー・・・なるほど・・・

うん、もうそこは考えるのは止めよう。

上位職業で、チートもいっぱいあってラッキーて事にしておこう。

そして今後はどうやってこの世界で生きていくかって事を考えよう。

あと、魔法の練習とこの世界についての勉強だな。

よし!ほかの事は後回しで、まずは自分の事を優先だ!


色々と面倒そうな事は置いといて、取り敢えず私の現状とこれからについて検討しようと、私は世界の書に対して話題転換をするのだった。


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