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アラガミと魔法のオカリナ  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第一章 アリババと1人の盗賊
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第二十八話 作戦会議

 祠からかなり距離を取った場所にテントはあった。ヴィ―ドが張ったテントだ。


「一週間分の食料と飲み物はある。まず上を脱げ。肩の傷を塞ぐ」

「……こんな砂漠のど真ん中に陣取って、アイツらに見つからないか?」

「砂漠は迷路だぜ。目印になるもんがないからな。それに5日後には水霊の儀がある。その準備で五竜星はあまり動けないはずだ。奴らが俺達を探すとしたら水霊の儀のあとさ」


 アラジンは上を脱ぎ、上半身を晒す。


「アイツらは水霊の儀をやる気はないぞ。明日にでもウンディーネを奪う可能性がある」


 ヴィ―ドはアラジンの肩に包帯を巻く。


「明日ウンディーネが奪われることはない。ウンディーネの誓約碑は王の手で王宮地下の祠に管理されている。形は違うがさっきの祠と似たような感じだ。王族の人間しか入れないようになっている」

「じゃあアリババはどうやってウンディーネの誓約碑を奪う気だ?」


 包帯を巻き終えたヴィ―ドは砂漠の地面に腰を下ろす。


「水霊の儀を利用するのさ。水霊の儀は祠の中で行われる。その際、祠に入るのは王と王女様、そして護衛としてアリババも入ることになっている。ウンディーネの誓約碑がある場所までいったところで奪い取るつもりだろ。だから5日後までは通常通りに動くはずだ」

「そんなことさせられるか。早く王にアリババのことを伝えよう」

「ダメだな」

「どうして!」

「英雄アリババ様と俺達、王はどっちを信用すると思う?」


 間違いなくアリババだろう。


「安心しろ。作戦はある。俺達も水霊の儀を利用するんだ」


 ヴィ―ドは一枚の紙を出した。その紙には王宮の見取り図が描いてある。


「祠は王宮の地下1階にある。これに繋がる階段は1つだ。王は地下に入る事すら禁じているため、水霊の儀の部外者であるヨルガオ、バルゴ、キツツキ、フーランは階段の前で待ち構えている。つまり、地下一階にさえ入れればコイツらと戦うことはない」

「階段を使わずにどうやって地下一階に行く?」

「王宮の便所の下に穴を掘って地下に繋がるようにしてある。王女様を笑わせるって理由で何度も王宮を訪れてコツコツ掘った穴だ」

「……お前は金目的じゃ無くて穴を掘るために……ヴィ―ド、アリババの計画を知ってたのか?」

「全部知ってたぜ。それを止めるためにずっと備えてきたんだ。地下一階に入れれば後の問題は祠の入り口扉だ。ここがネックだったが……お前の存在のおかげで問題なく通れる」

「どういうことだ?」

「ここの入り口扉の上にも暗号があるんだよ。王族にのみ伝わる古代文字で書かれたな。お前、古代文字には精通してるんだろ?」

「ああ。古代文字ならいけるはずだ」

「よし。じゃあ説明に戻るぞ。便所から地下一階へ侵入。祠の古代文字をお前に読んでもらって祠に入る。祠に入って、ウンディーネの誓約碑が置いてある場所まで行って隠れる。アリババが本性を晒したところで出て行ってアリババを倒す!」

「アリババは強い召喚士なんだろ? この戦力で戦えるのか?」

「俺1人じゃ分が悪い。王と王女様にも協力してもらう。あの2人も召喚士だからな。なんとか俺&王&王女vsアリババの構図を作る。3人なら倒せるはずだ。アリババさえ倒しちまえばあとはどうにでもなる。事態を収めたらお前の持っているそのペンに適合するやつを探して、ウンディーネを倒す準備をする! これで決まりだ」


 ヴィ―ドは瞳を起こし、アラジンを見る。


「アラジン、お前は暗号を解いた時点で帰ってもいいが、どうする?」

「……」


 アラジンは召喚術を使えないダキだ。戦力にはならない。


「やめておくのじゃアラジン。無駄に命を賭けることは――」

「行くぞ。俺は行く」

「もーっ! たまにはわれの言うことを聞かんか!」


 ヤミヤミの忠告は完全に無視するアラジン。

 ヴィ―ドは「そう言うと思ったぜ」と笑い、テントの中からある物を持ってきた。

 それは鞘に収まった剣だ。ヴィ―ドはアラジンに剣を投げ、アラジンは剣をキャッチする。


「こいつは?」

「霊器でもない、ただの剣だ。丸腰よりかはマシだろう」


 アラジンは大事に抱える。いまアラジンが使える、願い以外の唯一の武器だ。


「最後の問題はどうやって王宮に侵入するかだなぁ。強行突破すれば俺達の奇襲作戦が台無しだ」

「どっかから侵入するしかないだろ」

「つっても儀式の日は警備を固めるはずだ。せめて警備の配置だけでもわかればいいんだが……」

「それなら把握できる」

「本当か!」


 アラジンは隣のヤミヤミを見る。


「おぬし、まさか……」


 アラジンは右手で口を隠し、ヴィ―ドに聞こえない声で話す。


「……お前は俺以外の人間には見えないだろ。簡単に警備の陣形を把握できるはずだ」

「しかしのう。魔神ルールすれすれじゃのう」

「……頼むヤミヤミ」

「はぁ。仕方ないのう! 魔神使いの荒い奴じゃ!」

「……助かる」


 打ち合わせを終えた2人はテントの中で眠りについた。

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