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炎の七番勝負~後日譚~

土曜日の20時更新です……

 大好きな棒きなこを噛りながら商店街を練り歩く。休憩時間、いつもそーしてる。


 ボクの働いてる猫カフェ『肉球の館』は商店街の細くて古いビルの中にあるの。だからボクは休憩時間、いつも商店街をお散歩してます。

 

 エキゾチックショートヘアの子猫、メタトロン。みんながメタって呼ぶ。

 

 棒きなこ食べ終わった……喘息あるからお薬飲みます。行きつけのコンビニでお水もらう。ここはウサ兄ちゃんとよくコロッケ食べに来るから。たまにちっちゃいチョコもくれる。


「ル~ルル~、フンフンフ~ン……」

 

 お散歩の時はいつもキョロキョロしてます。だってお友達とか会えたりするからね。

 

「よぉ、メタ。何してんねん」

 

 こてこての関西弁、キツネの三助だ。

 

 シカトするボク。

 

「ちょ、ちょ、クシャ顔こら。シカトすんなて」

 

 コイツはウサ兄ちゃん達にいつもイジリ倒されてるから。腹いせの為かボクにちょっかい出してくるの。今日の義手は……た、たけのこだ!

 

「お、コレな。よう見とけよ」

 

 三助が右前足を付き出してきた。

 

 ぶいいいぃぃぃぃぃぃん。

 

「たけのこグルグルだー!」

 

「たけのこドリルや」


 ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん…………

 

 しばらく見てたけど。


 回るだけだったからバイバイした。「ア、アカンのかッたけのこ?」て三助。発射出来て爆発とかしないと。子供なめてるよアイツ。

 

 しばらくスーパーの前で日向ぼっこ。あったかー。そしたら黒と白のおっきいガリガリがコソコソ逃げてくのを見つけました。

 

「パンダのパン田!」

 

 ボクは走って追っかけます。逃げるパン田。ガリガリだから足速い。

 

「ケーサツに追われてるんですかァァ……まだ指名手配されてるゥゥゥ?」

 

 ピタッて止まって振り返るパン田。

 

「やぁ、メタくん! こんにちはー。名誉毀損て言葉知ってるかなー?」

 

「ハァハァ……今日も…………商店街の……ゴミ……ゴミ箱荒らしてるの? パン田…………」


「息切らせて何言ってるんだい子猫ちゃん。パン田は街のパトロールをしているんだ。ゴミ箱見れば大抵のコトわかるからね」


 カッチョいい!


「ボクね、パン田が公園とかで虫さん捕まえて貪り食うトコみるの好きです!」

 

「おやおや、表現の自由にも程があるぞメタくん。貪るとか止めて。あと何でいつも呼び捨てなのかな?」


 パン田に会うといっぱいお話したくて。一生懸命質問とかします!

 

「ウサ兄ちゃんがね、パン田が鳩さん食べようとしてて引いたって言ってました。ホントですかパン田?」

 

「ごめんよメタくん。そろそろアイドル活動の時間なんだ。今日のところはコレで勘弁してくれたまえ」

 

 そう言うとパン田はゼンポーカイテンウケミをして行っちゃった……。


 いつもアレの意味わかんないけど。でもパンダに会えて嬉しいボク。そろそろ仕事に戻ろっと。マンチカンの朱美おばちゃんに怒られちゃうからね。

 

 てててって走ってたら……何か視線感じた!


 立ち止まってキョロキョロしてみる。


「あっ!」


 銀行前の植え込みの中に女の子めっけ。

 

「ストーカーの瀬良じゅりあ先生だー!」

 

「ご無沙汰だわねメタ。よく気付いたかしら」

 

 がさがさ出てきたじゅりあ。小三だけどボクの数学の先生なんです。ツインテメガネのストーカーさん。

 

「相変わらずパンダには容赦のない子ね。ウサは元気なのかしら」

 

「うん。こないだ山の神様とガチバトルやって街滅ぼすトコだったって!」

 

「ヒュ~。さすがせらの推しなのだわ。ガッコがあったから見逃しちゃったのソレ」

 

「ボクも仕事で行けなかっ……あ、じゅりあ先生。ボク帰んないと仕事」

 

 じゅりあはボクにいい子いい子して「お乳出る!」て叫びながら次の現場に行きました。

 

 あ~、今日のお散歩は大成功だったなぁ!

 

 だって大好きなパン田とじゅりあに会えたもん。


 ボクがご機嫌でスキップしながら帰り道を急いでると

 

「あ」

 

 八百屋さんで三助が人参を一本買ってます。


「そうじゃないぞ三助……」


 ボクは小声で囁きながら。


 そ~っと素通りした。

それではまた……

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