炎の七番勝負~ザ・フォース~
土曜日の20時更新です……
飢えたパンダって怖い。
お陰で勝ち星が並んだんだけどね。ウチの子達、思ったよりいい勝負してると思う。次、誰が出てくんのかな~。
「……とおおおおうううぅぅッ!」
掛け声と共にぴゅうううて、ちっこいのが公園の真ん中まで飛んで来た。
モモンガのヨースケくんだ。
「リ~ン!」
こっち見て手振ってる。大丈夫? 小動物の中の小動物が出てきちゃったけど。
神様チームの方は……
分厚い胸板に太い脚。
全身黄色に黒の縞模様。
誰もが知ってる超メジャー級の猛獣!
虎さん、キタアアアアアアアアアアアアアアーッ!
本物デカッ、二メートル以上あるわ。尻尾のひと振りだけで小動物即死案件じゃねこれ。
向こうで神様がドヤ顔してんだけど……さすがにこのマッチメークはないだろー。ウサとロッキーは見て見ぬフリで顔も上げれないし。
仮面ヒーローみたく登場したヨースケくんが一ミリも動かない。仕方ないから声かけする私。
「ヨースケく~ん。ギブして戻っておいで~」
勇気を振り絞って「ギブ」てちゃんと言ってから私のとこまで走って来たヨースケくん。あ、泣きながらしがみついて……うん、怖かったねー。ヨシヨシしてあげた。
一旦、場の空気が戻るまで小休止。とりあえず落ち着こうみんな、肉食獣もう帰ったよー。
五分後、試合再開。
ウチのチームからトコトコ歩いてくソイツを見て思わず自分の目を疑う私。
頭が小魚の小人のオッサンがいるー。
真っ裸でワカメ? のふんどしして。
「……アレ。何?」
「チカちゃんだよリン」
「……何?」
「呪いの王なんだって。リンさん」
平静を取り戻した解説席の説明で納得した私。呪われてるよ、どーみたってアレ。
相手側、普通のカラスが出て来た。
エキサイトするウサ。天敵だからね。「やんのか? やんのか?」て騒いでる。ウサをシカトしてじーッと魚頭のちっちゃいオッサンを見てるカラス。
オッサンもイキった感じでまくし立て始めた。
「ワイはチカシラクビリ。この世界で最初の呪いだっぺさよ。趣味は干物になるギリまで頭天日干しするコト」
中身まで変態だコイツ。
「始めに言っとくけどなカラス! ワイを食ったら呪われるっぺさ。つか、食ったらコロすからマジで」
カラス、反応なし。
「イヤイヤイヤ、マジで。聞け。聞けっぺさカラス。ワイ、食いモン、違う。ティスティング、ノー!」
バサ。両翼を広げるカラス。
「わかった! もう本気出す。悪いけど今から呪うっぺさ。三日以内に死にますお前」
バサバサバサ。呪いの儀式か何かでちょこんと正座中のオッサン。そのまま頭からカラスに丸飲みされた。
すん……………………ってなる公園。
皆がただ、黙って時が過ぎるのを待ってた。
神様までベンチでうつむいて足プランプランさせてます。うん、間が抜群だったんだと思う。じわじわ来てたから。
小動物達がクスクス笑いを堪えるのに必死だ。やめてって、こっちも我慢の限界なのよ。
そんな空気を打ち破るウサの一言。
「今、何対何? どっちが勝ってんの?」
「えっと。二対四で…………あ、負けじゃない? ままま負けじゃないのこれ? ウサッ!」
顔面蒼白になる私。街、滅亡確定じゃね?
ヤバいよ! ウチのマンション私がオーナーなんだからああ。保険で何とかなんのこれ? ムズい事わかんない、どうしよー!
「最後に勝ったら百点でいいよねー。神様ー」
「うん、いいよー。兎ー」
い、いいんだ!
ウサがバラエティ番組のお約束であっさり危機を乗り切りました。
とりあえず勝負は最終戦に持ち込まれて。
ウサVS伊吹山の神様。
それではまた……




