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ウサ、悪夢の職務質問 ~絶対絶命~

土曜日の20時更新です……

「この陰キャ野郎!」

 

 コイツ、このポリ公め。

 

 僕はピンチに立たされてたんだ…………。


✳✳✳ 

 

 夜中の三時にリンが『アレガキタ』って言うから。僕は〝夜でも安心〟的なモノをコンビニに買いに行くコトになった。

 

 マンション出てすぐの川の手前で自転車に乗った警官に呼び止められた。眼鏡の若いヤツ。

  

「こんばんはー。どこ行かれるんです?」 

 

 何だコイツ。

  

 リンを早く安心にさせたくて僕は少しイラつく。


 でもリンからいつも『知らない人とお話しちゃダメ』って言われてるコトを思い出してスルーした。

  

「あの、スイマセーン」

  

 警官が何だか慌てて自転車から下りて来る。

  

「お話いいですかぁ」

  

 よかないわ。

 

 無視してトコトコ歩いてくと、横にくっついてきた警官。銃提げてる。

  

「お仕事何されてます?」 

 

 うさぎだけど。

 

 ペットって言葉知らないのかお前。僕は無視して歩き続ける。

  

「ポケットの中、見せてもらっても?」

  

 服、着てないけど。

 

 どこにあるんだポケット。お前にだけ見えてんのかソレ。心の声で突っ込む。

  

「身分証とかありますか?」

  

「ないよッ! うさぎだから!」

  

 足ダン!

 

 ついつい声出ちゃった……。何だか嬉しそうな警官にイライラ。

  

「えーと、うさぎさん。どこ行かれるんですか?」

  

「コンビニ……お使いだよッ!」

  

 足ダン!  

 

「お仕事は?」

  

「ペットだよッ! うさぎだから!」 

 

 足ダン!

  

「何か武器的なモノ持ってます?」

  

「!」

  

 ピタ、と止まる僕。

  

 実は。買い物に行く時、いつも縦長のちっちゃい財布を左耳の中に隠してる。これはカツアゲされた時の用心の為。

 

 でも右の耳には……。

  

 ミニチュアのカスタムナイフが仕込んであるんだ。

  

 故郷の伊吹山にいた頃、山嶺で猟師さんによく追われたから。銃器とナイフには詳しいよ僕。特にナイフ。カラスとやり合う為に今でもケータイしてる。

  

 このナイフは放浪の旅に出る前、山で仲良しになったナイフメイカーさんが「餞別」で贈ってくれたの。ハーフサイズで特注シースのまんま耳に収まるようになってる。『にゅーよーく・すぺしゃる』ってモデルだ。

  

 ただ、僕は知ってる。

 

 銃刀法で六センチ以上のブレードのナイフは街中で持っちゃダメ。このナイフは四センチ。でも軽犯罪法に違反してる。武器ならカンペキアウト。

 

「この陰キャ野郎!」

 

 コイツ、このポリ公め。

  

 ふと、しんどそーなリンの顔が浮かぶ。

 

 早く安心にさせないと。こんなトコで、こんなヤツ相手にしてるヒマないんだ!

 

 僕は耳ピーンてなると。


 体中の毛、逆立てて身構えた。

それではまた……

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