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伊吹山神使VSウサお友達軍団、炎の七番勝負

土曜日の20時更新です……

 ネズミが、いる。

 

 マンションに帰ったら部屋にネズミが一匹。私は近くにあった雑誌を丸めてそーっと身構えた。

 

「イヤイヤイヤイヤ何ちゅるんスか、ご主人! あっしは神使しんしなんでちゅ。ゴキじゃねーんだから、そんなんで叩いちゃダメダメ」

 

 ウチの子もいた。テレビの前に座って昼間のバラエティー番組見てる。

 

「……ウサ、説明しなさい」

 

「おかえりなさいリン。ボクこんなヤツ知らない」

 

 雑誌を振りかぶる私。緑のジャージが躍る。

 

「ウサさんウサさんウサさんて! さっき説明したっしょ? あっしは伊吹山の神様の使いでちゅってえ」

 

「……どゆ事、ウサ」

 

「ちょっと何言ってんのかわかんない」

 

「兎テメ……あ、ご主人! あっしはウサさんの故郷伊吹山の神様にお仕えするモミ蔵言いまちゅ。本日は神様からの伝言をお伝えに参ったんス、だからぶたないでッ」

 

 私、動物の中でネズミが唯一苦手。

 

 気が動転しちゃってつい取り乱しましたテヘ。何かウサに用があんのね。危うく駆除するとこだったわ。

 

 つか、さっきから神様とか言ってるけどこのネズミ。

 

「モミ蔵くんだっけ。その……神様ってホントの神様の事? いるの神様って」

 

「今、赤坂にいまちゅよ」

 

 思わずウサを見る私。 

 

「神様? ただの知り合いだけど」

 

 驚いた。

 

 動物界隈じゃ神様は知り合いレベルの存在なんだ。 

 

「神様がウサに何の用?」

 

「はい、ご主人。神様はこう言いまちゅた。〝山での約束通り、炎の七番勝負を執り行うのじゃ〟と」 

 

 ゆっくりお鼻ヒクヒクさせてるウサ。何も考えてない顔ね。  

 

「こちら側から神使七匹、そちら側からウサさんのお友達七匹。ガチの対抗戦やるッス!」

 

 ふうう。

 

 田舎の神様はヒマ人らしい。ウチの子は何の約束してんだか……ま、平和でいいけど。

 

「そっちが負けたらこの街滅ぼしまちゅ」

 

「は?」

 

「天変地異で。神様ガチなんで」

 

 は、あああああああああああああああッ?

 

「その代わりこっちが負けたら何でも言うコト聞きまちゅって」

 

 よくある設定だけれどッ。この街の存亡を賭けてウサとお友達軍団が戦うの、ムリないかこれ?

 

「ウサ……せ・つ・め・い!」

 

「山で神様と遊んでた時〝やんのかやんのかコラ〟てぶち上がっちゃって。全面戦争じゃボケーって流れだったと思う。僕すっかり忘れてた」

 

 神様中坊のノリなんだ。

 

 今、赤坂に居るって言ってたっけ。こういうのゴメンなさいしたらチャラになんないかな……うん、謝って許してもらうしかないよウサ!

 

「やってやんよって伝えて。ネズ公」

 

 何言ってんのこの子オオオオオオオオッ?

 

「了解ッス。ちなみにウチの神様は昔ヤマトタケルを凹して泣かせた程の荒神なんで。そこんとこヨロでちゅ」

 

 そう言い残してモミ蔵くんは帰ってった。

 

 ウサはテレビの前から微動だにしない。

 

 私はユニットバスで手を洗ってから部屋に戻ると、少し離れて座った。

 

 何となく。

 

 さっき丸めた雑誌に目を通し始める。何これ。アニメの専門誌じゃん。え、八百円もすんの? こんなの買ってんだウサ……あ、古本か。ん? 何かぶつぶつ聞こえてくる。

 

「ロッキーはマスト……あとアライグマのジョーがケンカ強い…………」

 

 七番勝負のメンバー選出しとるゥゥゥ。

 

 ヤマトタケル? を凹す神様相手にムキムキトイプーや特定外来生物で対抗する気なんだ。

 

 正気かッ、ウチの子!

 

「リン。僕ね、神様泣かす」

 

 DB。探さないと。

それではまた……

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