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元漫画家、ストーカー女子に出会う

土曜日の20時更新です……

 何かガラスに映ってる…………

 

 電柱に隠れてこっちを凝視してる人の影。

 

 これ……ボクの事見てんの? ランドセル背負ったツインテールにメガネの女の子。すこんぶ食いながらムッチャ見てきます。

 

 ども、元漫画家でグループホーム『おだんご』の支援員やってる里見です。

 

 今日は休みなんで一日中家でゴロ寝して。腹減ったからスーパーでフラフラ買い物してたんですね。夕暮れの商店街。

 

 店を出て、自動ドアのガラス見ながらボサボサ頭をいじってた時に気づきました。

 

 そこに映る子供の視線……

 

 あ、動いた!

 

 つか、腰に手を当てて。すこんぶ食いながら堂々と出て来ます。思わず振り返るボク。

 

「クチャクチャ……月曜の憂鬱をストーキングで解消しようと網張ってたら。とんだ小者が引っ掛かったきたのだわ」

 

「こ、小者?」

 

「瀬良じゅりあ。ウサとその周辺をストーカーする小三女子、とでも言っておこうかしら里見洋介」

 

 なるほど。確かにストーカーさんスね。ボクの名前フルネームで知ってる。「リリース!」とか叫んでますけど。魚じゃねーから。

 

 あんま関わんない方がいいか……背を向けたボクに彼女が長~い一言を投げ掛けてきました。

 

「血みどろ鎖ガマ京子と首無し地蔵のグルメ旅日記」

 

 マジかああああああああああッ!

 

 担当編集以外でこの作品タイトル言えたヤツ、初めてかも。しかも噛まずに言い切ったし。

 

「漫画……読んでくれたの?」

 

「情報収集の為、と言っておこうかしら。屍博士、嫌いじゃないキャラだわ」

 

 ゾンビ人形の生産者屍博士。マニアックなとこついてきますこの子。

 

「首がないのに地蔵がグルメレポートする回。呪いで便秘になった京子の気持ちとリンクしてると思う!」

 

「おぉ、考察してくれるんだ。ありがとね」

 

「ふん、ストーカー活動の一環としてかしら。別にファンとかじゃないし……」 

 

「そか。でも嬉しかったマジで。それじゃ」

 

「し、質問あるかしらッ!」

 

「ん? 何?」

 

「えっとね……ずるむけ赤ティンコってペンネーム。赤ティンコってどーゆー意味ですか? せらはね〝赤いインコ〟の事だと思う!」

 

 それなー。

 

 若気の至りでつけちゃったヤツ。

 

 無邪気に鳥の羽ばたきパタパタやってる彼女。下手に伝えたら防犯ブザー鳴らされかねません。

 

 ペンネームまで一生懸命考察してくれる。ひょっとして人生最後のファン、違。ストーカーかもしれないのに……あぁ、嫌われたくねーなー。

 

 と、その時。

 

「……里見ィと瀬良じゅりあだぁぁぁ」

 

 遠くから聞き慣れた小動物の声。

 

 ウサが商店街奥の方から走って来ます。前足ブンブン振りながら。食べかけのコロッケ持ってる。

 

「こんにちはー。何やってんの? ケーサツ呼ぶ?」

 

「いかがわしい事してねーわ。ファン……ストーカーの子に話し掛けられてただけ」

 

「こんにちはウサ。赤ティンコについて作者と議論してたかしら」 

 

「赤ティンコ? あー、赤いチンコのコトね」 

 

「あ・あ・あ・あ・赤いチンコ?」

 

 オワタ。

 

 今、この世界で見つけた最後のファンが消滅しましたー。 

 

「……じゃあ、ずるむけって何よ?」

 

 意外と食い付く小学生。

 

 おもむろに自分ので剥いてみせるウサ。

 

 む、剥くなよこんなトコでえええええええええッ! ここ、商店街のど真ん中ですけどおおおおおッ?

 

 ……………………。

 

 ま、うさぎだからいっか。ずっとおっぴろげてるんだし。

 

「わー。何だかカワイイのだわー」

 

「触っちゃダメー」

 

 キャッキャ言ってて楽しそうです。

 

 グッジョブ、ウサ!

 

 明日も仕事頑張るかな。

それではまた……

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