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間違えてしまった男

土曜日の20時更新です…

 あ、ども。グルホ職員の里見洋介。元漫画家です。

 

 あれから色々と頑張ったんですよー。奥手のボクにしては珍しく。もぉ、ガンガン行きましたね。アタック、アタックしました。

 

 憧れのボクの天使。須藤リンさん。

 

 まぁ、ウサを通して。ですけどねぇ。戦果ですか? フフン、マジビビりますよー。

 

 何と! ライーン! GETしましたッ!

 

 これから記念すべき初ライーン送るとこです。


 夜の八時半。うん、いい時間帯だと思う。ボクはトレパンで汗ばんだ手フキフキすると気合いを入れました。


 第一声はもう決めてます。


 元漫画家のスキルをフル活用して練りに練った懇親の一発。それが、これ!

 

『こんばんは』

 

 いっけぇぇぇぇッ! 画面を凝視するボク。

 

 一分、二分……


 何だ、このプレッシャー。漫画家デビュー作の読み切りが出た時の、あのヒリヒリ感を思い出します。

 

 読者にどう届くんだろ? ひょっとして「ウンコ」で終わるんじゃないかって不安と恐怖……


 それでもだ!


 自分の漫画は世界で一番面白い。だってボクの漫

 

『既読』

 

 ついたあああああああッ!

 

 記録は五分三十七秒。上出来じゃん。  


 彼女に届いたんだボクのこんばんは。さぁ、こっからが本番です。最初のハードルを難なくクリアした後は超難関に挑みます。

 

 レスをいただく事ッ!

 

 正直これは誰でも成し遂げら

 

『こんばんは』

 

 キタアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

 

 無敵。正に今、無双状態。


 この世界で唯一、天使と交信する事が許された孤高の存在。それがボクです!

 

 少し震える指で打ち込みを。

 

『ボクの単行本、読んでくれてありがとうございます。モノ凄く感激しました!』

 

 血みどろ鎖ガマ京子と首無し地蔵のグルメ旅日記。

 

 最大の武器を使います。


 ええ、使いますよそりゃ。ミュージシャンだって好きな子に弾き語るでしょ? 


 元ですけど漫画家が漫画使って何か問題あります? この想いが達せられるんならボク、何だってやりますよハイ。

 

 恋愛カースト最下層の住民だから。これしか……これしかないんだボクには

 

『まんがおもしろかたです』

 

 ん?

 

『きょうこはなんでちみどろ?』


 んんんん?

 

 ……………………ウサだなこれ。

 

 でも万が一って事もあるしな……どうすりゃいいんですかね。

 

『なんでちんこ?』

 

 ペンネームいじりにキタ。


 ちんこじゃなくて、てぃんこだから! 


 ウサで決定ですコイツ。確かスマホ共有してんでしたっけね。このままだとウサとライーンしてるだけになります。


 何だこの時間。

 

『地蔵の首は何で取れてしまったんですか?』

 

 こオオオオオオオオオオオオオオオオ……

 

 こ、こ、これはッ! リンさんだッ!

 

 一緒にやってんのか…………


 ボクは大幅な作戦変更を余儀なくされながらも「とにかく続けるんだ」って自分を奮い立たせました。

 

『地蔵の首は旅に出る前、屍博士の作ったゾンビ人形と間違われて京子に切り落とされたんです。※二話のセリフにヒントあり』

 

『えがへた』

 

 絵が下手っつったな! それだけは絶対許さんからなウサ。今度会ったらその鼻へし折

 

『こないだうちでへをこいた』

 

 こ、この白いのを何とかしないとォォ。


 いらん事までリンさんに暴露されてしまふ! 


 確かにこないだ屁こきましたよ……だって、せっかくお家にお呼ばれしたのにリンさん居ないんだもん。


 ボクは光速でレスします。

 

『ウサ。変な事言うのはやめましょうね』 

 

『よく屁をこくんですか?』

 

 やべぇぇぇぇーッ……。

 

 ボクの天使が変なとこ食い付いたぁぁぁぁッ。

 

 最悪。最悪、最悪、最悪~。

 

『あの日は繊維質のモノ食べ過ぎまして……』

 

『けーきおいしかた』

 

 ん? 


 あ、手土産で持ってったチーズケーキ。動物達に大好評だったヤツね。

 

『私も食べたかったです』

 

 ウソーん。

 

 この展開ウソーん。

 

 恋愛偏差値底辺のボクでもどう返せばいいか、わかるんですけどこれ。

 

 ナイス……ナイスフォローだよウサ! 


 グッジョブ! お前、抱きしめたいッ。愛してるよー黒耳。コロッケ死ぬ程食わせてやっから、この野郎!

 

『じゃ、今度お持ちしまーす!』

 

『大丈夫です』

 

 死ぬ程。

 

 落ち込んでから。

 

 ボクは落ち込んだ……。

それではまた……

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