昔はピンクにしてたそうです
土曜日の20時更新です…
『ほっぺた』の六階建てビル屋上。
ペット福祉サービスで、クッキーこねこね作る仕事上がりの僕とモモンガのヨースケ。いつもみたく手摺の下に座って地上を覗き込んでる。ザ・ダベりタイム。
「はああああああああ」
「え、何何? ウサに溜め息つかれるとドキドキすんだけど?」
「イヤ、別に」
「なーん! あんだろ? 言ってみ、溜め息つくよな素敵なヤツ。カマーン!」
「……何かリンがね」
「うん。リンが?」
「朝起きたら」
「オッケー起きた。起きたらば?」
「金髪になってた」
「なってた、なってたから? ほら、カマーン!」
「終わり」
「終わり。……って俺のワクワク返せよ! このときめき泥棒め」
「上手いコト言わなくていいから。何かリンがさー、金髪の話しないの。こっちは気になって仕方ないのに……」
「そりゃアレだな。失恋スわ」
「失恋?」
「人間の女子って失恋したら髪パツキンにすっから」
「じゃあ〝ピーッ〟アキヒロも?」
「アレって黄色じゃん。つか、男だし。人間じゃないし」
「勇気あるねヨースケ。呪いかけられるよ。でも、リンが人と会ってるの見たコトないんだけど」
「ウサが仕事の時、家に呼んでんだわ多分」
「家に?」
「冷凍食品食わせてんぞ」
「冷凍食品を!」
「そりゃフラれるって話だよ……」
「僕、黒髪のリンが好きなんだ!」
「簡単だよ。また男作れば黒に戻るから」
「彼氏いる人って髪黒なの? じゃあ〝ピーッ〟ケンイチも?」
「アレも男。つか、何で際どいセレクトばっかすんだよ! とにかくサ、金髪イヤならリンに男作れウサ」
「どーやって?」
「紹介してやれ。誰でもいーから」
「僕、樽本くらいしか知り合いいない」
「あーアイツか。アイツで大丈夫だ」
「クズだけど……」
「問題ない。人間の女子ってな、失恋の後は誰でもいーんだよ。エビスさんでもイケる」
「マジでかー。ま、やんないけど」
「やらんのかーい! やらんのかいぃ……」
「モモンガに女子の気持ちわかるワケないし」
「超問題発言キター。はい、今世界中のモモンガ敵に回しました!」
「ムササビだったらわかると思う」
「ウサ、聞いて。ムササビはね。でっかいだけ。可愛くないし顔、リアルに怖いよ?」
「ムササビの方がよく飛ぶ」
「ウサ、ウサ。それは違うよ。飛ぶんじゃなくて滑空ね。距離じゃなくて見た目だから滑空。アイツら座布団か風呂敷。俺らハンカチーフよ可憐な」
「じゃ見せてよハンカチーなんとか」
「フ、ね。今、全部言えたよね絶対。言っとくけどここからは飛ばねーし、隣のビルにも飛び移らねーから!」
「やっぱムササビ」
「ウサ! 俺の目、見て。信じるんだ友達を。ムササビ、アカん。モモンガ、最高。言ってみ!」
「モモンガ……最高?」
「イエス! モモンガ最高!」
「モモンガ最高ーッ!」
「イャス! モーモンガー! モーモンガー!」
「モーモンガー、キャッキャ」
何だか楽しくなったんで。
この勢いでお家帰ったらリン、黒髪に戻ってました。
男出来たのかなー?
それではまた……




