トイプードルという生き方~ロッキーの場合~
土曜日の20時更新です…
ピポーン。
「ウーサーくーん。あーそーぼー」
派手派手のピンクスウェットで寝転がってた私。
玄関ドアを開けてみて驚く。
ウサのお友達トイプードルのロッキーが、しっぽ振り振りでこっちを見上げてたから。
「こんにちはー、リンさん」
「あ、ロッキー……だよね。ウサね、今お使い行ってて居ないの」
ロッキーとはウサのお誕生日会で会った事ある。ちょっと、トイプーにしちゃおっきい子だなーて思ってたんだけど。
今日は明らかに驚かされた。
何か…………前よりデカくなってね? イヤ、明らかに筋肉がムキーッてなってるこれ!
テディベアカットての? せっかく可愛いらしくしてんのにサ。首とか足とか肩、胸の辺り。ふわっとした毛並みの下から盛り上がってるよ筋肉がッ。
「リンさん。待たせてもらっても?」
「え? あ、うん。どうぞどうぞ」
確か犬カフェに勤めてるんだよね。
部屋に招き入れると「失礼します」とか言ってる。スゴく礼儀正しい。ムキムキのクセに。
「シュークリームあるから食べる?」
「糖質はたんぱく質と一緒に摂るようにしてるので。御構い無く」
ムキムキ発言キター。
「えとえと、じゃあ何か飲む?」
「それではプロテインの抹茶味でお願いします」
「イヤ、ないから……」
「じゃ、大丈夫です」
行儀良くお座りする姿が小岩みたい。これはこれで、かなり癒しポイントかも。
「いつもサ、ウサと何して遊んでんの?」
「駆けっことか相撲とか金玉の蹴りあいっことか」
……最後の何だ?
ウサはキックボクシングを〝インローで下腹部蹴りあう競技〟って認識してるみたいだけど。それの事?
「駆けっこじゃウサくんに敵わないから。相撲と金玉の蹴りあいには絶対に勝ちたくて、体作ってるんです」
マジかー。
相撲はまだわかるんだけど……その、金の蹴りあいでムキムキって。アレじゃないの? ぐちゃって。ならないのかな、わかんないけど!
つか、ウチの子たちはどんな遊びしてんだか。心配なるわ。
ガチャ。あ、ウサが帰って来た。
「ただいまー」
「お邪魔してるよ。ウサくん」
「ロッキーだ! ロッキーだ!」
買い物袋を私に渡して部屋中駆け回るウサ。
トイペ四ロール買ってきてもらったんだけどな。ポテチも買っとる。少しはロッキー見習いなよ。
「今日は何して遊ぶ? ウサくん」
「爆竹!」
男の子が好きそうなヤツ。女子はまずやんないこれ。でも爆竹ってどうやって遊ぶんだ?
「いいねー爆竹。最初は何からいこうか?」
「マンホール。穴から落として鳴らす!」
音が面白いのか……
「響くねーワクワクするよ。お次は?」
「缶かんに虫入れて爆破!」
若干引いたわ……
「生きてるか死んでるかワクワクだねー。そして?」
「締めはウンコ爆弾!」
え? う、う、ウンコ?
「ロッキーがウンコして、それに爆竹差して火つける」
「どっちがギリまで逃げずに我慢出来るか。チキンレースってワケだ」
「逃げ遅れたらウンコまみれ!」
「エキサイティーング! この勝負は勝たせてもらうからね、ウサくん」
「僕、絶対逃げない。例えこの身がウンコだらけになったとしても!」
両手広げて天を仰ぐウサ。どっかで見た映画のワンシーンのよう。
イヤ、逃げなさいよ! 家に入れないからねウンコうさぎは。……うわ、何か凄い盛り上がっとる〜。子供と小動物はウンコ大好きなんかな。
「よーし! 駄菓子屋さんで爆竹買うぞロッキー」
「オッケー! お邪魔しましたリンさーん」
嵐のように部屋から出てく二匹。
一人ぽつんと取り残されて私。
「ムキムキ。必要ないじゃん」
少しほっとした。
それではまた……




