小動物の来襲〜黒山羊さん篇〜
土曜日の20時更新です…
この公園には何度も来ている。
もはや真っ昼間でもこーやって訪れてしまっている。
暇つぶしには丁度いい。漆黒の翼を折りたたんで街灯を背にして立つオレ。
まずは黒のコートからシガレットケースを取り出して一服。
こうやって待ってるだけでヤツはやって来る。
そう、あの白うさぎ。普段は面倒なだけだが暇な時には絡みたくなる。クセ強のアレみたいな……何だっけ、ホラ食ってみると「意外とイケんじゃん」的な、えと。
「…………羊人間さァァァァァァん!」
もう来たか。今日はリスを連れているな。
オレは携帯灰皿にタバコを始末する。公園での喫煙にうるさいんだアイツ。
「こんにちは〜羊。昼間っから何してんの? 僕、空飛びたい!」
「シマちゃんは逆上がり出来るようになりたいと思う!」
相変わらずだなうさぎ。オレは黒山羊だし空飛ぶサービスはやってない、と心の中で突っ込む。
シマリスの方は……いい子だ。鉄棒頑張れ。
「今日は僕、ミミズを缶に入れてバクチクで爆破しました。悪い子だから銃ください羊!」
「シマちゃんはいつもユキオが朝起きれないから起こしてあげてると思う!」
うさぎはいつも悪い子アピして報酬を求めてくるんだが。そーゆーサービスも受け付けてない。
シマちゃんはそのまんまでいいと思う。ユキオって誰だ?
「僕には夢があります羊。それは空を飛ぶコトと本モノの銃を撃つコト!」
どっちも叶わないなうさぎ。オレはサンタじゃない。つか、いつもスゴい銃に固執してて怖いコイツ。
「シマちゃんはヒマワリの種とヤ◯ルトがあればいいと思う!」
この子には契約抜きで出してやりたい種とか乳酸飲料とか諸々。
「ぼくはシマちゃんがいればだいじょうぶです!」
誰だこのじいさん。いつの間にか参戦してるけども。
「ぼくユキオです!」
ユキオか。シマちゃんに朝起こしてもらってるヤツ。じじいは朝起きが得意分野じゃないのか?
「実はさっきウサくんと一緒にミミズを爆破してしまったんだが……メロン味のプロテインください!」
コイツ見覚えがある。うさぎの相棒の脳筋トイプーだな。そーゆーシステムじゃないって理解出来ないのかこの界隈は。
「とぅおおおおおおおおおおぅぅぅ!」
モモンガが威勢良く飛んでキタ。の割りにはモジモジして目も合わせて来ない。様子見してんのか?
「お、ヤバそうなヤツおるやーん。魂と引き換えに願い事叶える系? ほしたら願い事一億個叶えてぇや!」
最後にまともな人間が来たな。コイツも知ってるゾ、金髪のヒゲ男。前に子猫から小銭を巻き上げていたヤツだ。
やっとちゃんとした悪人を見つけたんだが……今日は仕事する気分じゃないのサ。
ぶぅわササァァァァァァーッ!
オレは翼を広げると一気に舞い上がった。
「自分だけズルいズルい羊ーッ!」
うさぎが癇癪を起こしてゴロゴロ転がっている。シマちゃんも一緒になってゴロゴロ〜って。
フフ、いい暇つぶしにはなった。
それではまた…




