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総理の退陣表明に関する◯◯

土曜日の20時更新です…

 マンションの玄関開けたらゴキの死骸が五匹。丁寧に並んで置いてあった。


 ヤツが来てる……


 もしかして近くにいるかも、と念を送る白T黒短パンの私。


『えーと。いづなのゴンちゃん、いづなのゴンちゃん、居るなら顔出しなさい』


 すると廊下奥の階段からピョコン、て顔出す虹色の毛並みのネコちゃん。みたいな小動物。


「ゴンちゃん。こっちこっち」


 手招きしたら挙動不審な感じでキョロキョロそわそわしながらやって来た。細っこいけど尾っぽは太い。


「こっこっこっこんちは、リ、リ、リンさん!」


「ハイお早う。これ、何?」


「て、て、手土産! リンさんにッ」


 だろーね。前は蛾の死骸を毎日並べてたっけなぁ、お礼だとか言って。でもゴキは勘弁してぇ。


「暑いから中入ってゴンちゃん。いつから居たの?」


「きょっきょっ今日の丑三つ時から! ヘヘッ」


 ニ時頃って事? だとしたら六時間も待ってたのか。私、八時起きで良かったよー。


「お〜、お、お、お邪魔しまふ……」


 イカ耳で部屋に上がるゴンちゃん。寝てるウサを見てビビる。


「昨日頑張って深夜アニメ観てたから。多分起きて来ないと思う」


 コップに水入れて出したげると今回は素直に飲んでくれた。フフ可愛い。


「今日はどしたの?」


「あぷ、えッえとえとえと」


「落ち着いて」


「よ、よーし! うぉぉ〜、ハイ。えと、自分、その……飯縄山に帰るコトになったから」


「え、ホント? それで挨拶に来てくれたの?」


 コクコク頷くカラフルな毛並みの子。


 いづな。飯綱。確か先祖代々飯綱使いって通力を持つ主人に仕えてて。占いや呪術の手伝いをさせられてるんだっけ。


 人の心を読む事も出来る。


「良かったじゃーん。何か酷い主みたいだったし」


「じ、じ、自分、メンタルが不安定で使えないって……でも、でも、最後のお仕事上手くやれたからッ。ご褒美だってヘヘ」


「上手にやれたんだね」


「う、うん! 総理大臣のヤツ」


 そ、総理? まさか、あの退陣した件?


 ……何か闇感じたんで触れないでおこ。


「イシバ」


「うん! 石……ウオッ?」


 いつの間にかウサが起きとるー。


 お腹にタオル乗っけたまま天井見上げて「イシバブッカタカイシバブッカタカ」て念仏みたいなの唱えながら……また寝ちゃった。


 物価高とか気にしてたんだね。せちがらー。


「そ、それじゃ自分そろそろ行く。い、行くゾー!」


 私はドアを開けると細くってキレイな毛色の体をぎゅてハグしてあげた。


「色々大変だったと思うけど……これからは山で自由に生きて」


 スルスル走って階段下りてくゴンちゃん。


 少しセンチな気分で部屋に戻ろうとすると。ウサがドアの隙間から寝惚け眼でジッ、とこっち見てた。


 眠そうな子を抱き上げてハグする私。


「ふあぁ、僕は伊吹山には帰んないからリン……」


 旅立ちを見送って尚、孤独じゃないんだと思える。朝から私、セロトニンどばとば状態。


 とりあえずウサを部屋で寝かせてから。


 勢いでゴキの死骸を片付けた。

それではまた…

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