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元殺し屋の挑戦〜イップスからの脱却〜

土曜日の20時更新です…

 トン平はY市が好きブヒ。


 K市嫌い。思い出すだけでゲポ吐きそーになるから。


 Y市のマイクロブタカフェ。トン平は今、そこで身を隠してキャストやってるんだブー。


 組織抜けるとね、色々ある。あ、トン平は元凄腕殺し屋のミニブタです。〝蠱毒使いのトン平〟で検索したらヒットするから。


 まぁ、ここでの暮らしは気楽だブヒ。


 だって他のキャスト達と走り回ったり昼寝したり人間の膝乗ったりしてるだけでいいんだもん。


 ノーストレスでノーイップスだブー。


 実はトン平、殺し屋時代に酷いイップスにかかっちゃって。それで引退してるブヒ。


 でも、もう平気!


 ヤツに関わる必要無くなったからね。


「あーッ、ブタの赤ちゃんがいっぱい居るー!」


 ピク、てなったトン平。


 新規のお客さんキタ。トン平、机の下で寝てるから見えないけど……ブタの赤ちゃんて言い回し、トラウマなんだブー!


 ヤツを思い出しちゃう。


 あの硝子玉みたいな目をした白うさぎ。


「僕、ブタの赤ちゃん大好き! だってお腹触るとゲポ吐くんだよ」


 ヤツもトン平のお腹、ペタペタ触ってたよな〜。胃の中に仕込んでた蠱毒ぶち撒けてエラいコトなったんだブー。


「アレェェェェ? コイツお腹ペタペタしてもゲポ吐かないや……コイツはどーかな?」


「ブタさんにゲポ吐かそうとしちゃダメでしょウサ」


 ウサ?


 ……………………今、ウサっつったブヒ?


「どいつもこいつもゲポ吐かないよリン。こんなの……僕の好きなブタの赤ちゃんじゃない!」


 トン平の心臓、一回止まる。それでまたドキドキバクバク。


 ヤツだ!


 K市の白うさぎ。トン平をイップスに追い込んだ元ターゲットにして最大の敵!


「ウサ、こっちの机の下にもう一匹いるみたい」


「逃がすかァァァァァァァァァァァァーッ!」


 白うさぎが叫びながらスライディングして来た。


 パニクるトン平。ココから逃げないとッ! でも身体が動か…………アレ?


 動くブヒ。声も出る。


「こ……こんにちはお客さん」


「こんにちはブタの赤ちゃん。接客して下さーい」


 鼻ひこひこさせながら……アゥ、またお腹ペタペタしてくるコイツ! やめッ、やめろ…………アレ?


 全然平気だブー。ゲポ出ない。


 そっか!


 もうお腹に蠱毒仕込んでないしプロとしてのプレッシャーも感じてないから平気なんだブヒ。


 トン平はイップスを克服したブーッ!


「やっぱゲポ吐かないや……僕、つまんないリン」


「あんなに楽しみにしてたのにねウサ。もう帰る?」


 え? え? え? ちょ、まッ。


 お客さんが満足されてないブヒ…………


 カフェのキャストは全てのお客さんを楽しませないといけない。それがプロとしての矜持。


 過去のトラブル引き摺ってたトン平。


 でも、そんなのお客さんには関係ないブヒ!


 今は目の前にいるコイツを全身全霊でおもてなしするのがトン平のお仕事だブヒ!


「ゲポでも何でも吐いてやるんだブー!」


 トン平のプロ魂に火がついた。


 ソッコーでイップス再発。

それではまた…

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