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殿様と無礼なうさぎ

土曜日の20時更新です……

 コンビニ前のコンクリ車止め。


 その上にぺたんて座ってコロッケかりかり食べてる。


「そこのうさぎ」


 声のする方をチラ、て見てみる僕。


 駐車中の自転車のカゴにチワワが一匹。小刻みに震えてた。


「余の前で飲食とは無礼であろう」


「……殿様?」


「如何にも。余はこの世で一番偉い」


 プルプル震えてるけど。


「何で犬なのに自転車乗ってんの?」


「この世で一番偉いからじゃ。余は歩かん」


 すっかり興味無くなった僕はスルーしてまたコロッケかりかり。


「それは何と言う食べ物じゃ?」


「コロッケだよ殿様」


「……美味いのかそれ?」


「うん」


「……味見がしたい」


 千切ったコロッケをチワワ目掛けて投げてやる。ビクゥ、て感じで固まる殿様。コロッケは下に落ちた。


「無礼者!」


 何事もなかったかのよーにコロッケかりかり。


 殿様はしばらく落ちたコロッケと僕を震えながら見比べてから。


「……まぁ、良い。下下のやるコトだ。余が本気になればすぐ伸してしまうからな」


「ホント? 殿様強いの」


「ワンパンで牛倒せる」


 こんなチビ助が牛より強いってええええ!


 僕のラビットキックでも人間を倒す(膝カックン)のが精一杯なのに。


 ま、うさぎなら即死だけど。


 無敵のクセにまだ震えてる殿様。「何ブルってんスかー」って聞きたいけど可哀想だから聞かない。


「……殿様の飼い主さんてどんな人?」


「無礼者! 余は飼われてなどおらん。余が飼っておる、余こそ真の飼い主じゃ!」


「マジで! 殿様ヤバ」


 ヤバい。別の意味で。


 こーなると俄然キョーミ湧いてきた。僕のお鼻がヒクヒクだ!


「殿様はお城に住んでんの?」


「じゃな。マンションの十階」


「スゲ。ウチ五階だから倍だね!」


「自転車も電動じゃ」


「ホントだ! 鍵もかけてないよ」


「鍵などいらん」


 その時、道路からツツツと走って来た男が電動自転車に跨がるとパァーッて乗り逃げカマした。


 チャリパク。チャリチワワパクだーッ!


 カゴの中で硬直してるチワワ。


 一瞬目が合ったけど…………うるうるしてた。つか、泣いてた。


 僕はコンビニに入ってくと飼い主さんを探して報告してあげた。そいつは話を聞いてすぐ「とっ……殿おおお」ってパニくりながら出てった。


 まんざら嘘じゃなかったんだ殿様。


 後は任せた家来。

それではまた……

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