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続・優しい世界

土曜日の20時更新です…

 公園のベンチにキツネの三助、めっけ。


 コロコロ走ってくボク。アレ?


 日傘なんか差しちゃってキツネの三助。右前足の義手に付けたブラシで毛並み整えてるし。


 何か変。


「日向ぼっこしてんの? キツネの三助」


「お、そのクシャ顔。エキショーのメタか、久しぶりやのォ」


 近くで見たら毛先がカールしてる。やっぱ何か変。


「雰囲気変わったねキツネの三助」


「そか? やっぱわかるかー。オーラ出とったかフフ」


 喜んでる。別に褒めてないけど。ウサ兄ちゃん呼ぶか?


「実はワシ、小麦アレルギーからヴィーガンなって腸活にハマってしもてな。その流れで美容に目覚たんやー。今、時代はジェンダーレス」


 何言ってんのかなコイツ。ウサ兄ちゃん呼ぶゾ。


「じぇんだって何?」


「綺麗やろワシ……この毛並み見てみ、ツヤっツヤやん。保湿用のオイル使ってんねん。紫外線は敵!」


 じぇんだ。いい毛皮目指してるってコト?


「…………何かお化粧してる?」


「うん、流行りのタレ目メイクやでー」


「ふーん」


 隣に座るボク。何か変だけどキツネの三助は三助だから。別に問題ないよ。


「コレ食うかメタ。グルテンフリーのクッキー」


「うん」


 ポリポリポリポリ。美味しい。


 グルテンフリーが何味なのかわかんないけど。


「ちょっとブラシかけたろかー」


 義手のブラシでコスコスしてくる。くすぐったいけど気持ちいー!


「お前変な顔やからお化粧したるわ」


 ウサ兄ちゃんにもいつも言われる。エキショーだからクシャって顔はデフォなんだけど。


 ツケマつけた! とか笑ってるキツネの三助。


 お目々がバッサバッサしてて面白い。


「どや? 少し気分ええやろ美容系アニマル」


「美味しくって気持ち良くって面白い!」


「え? あ、うん、そか。満足出来たらええねんこんなもん」


 美容系アニマルズで商店街練り歩いてみた。


 皆んなが優しい目で見てくるからボクも嬉しくなっちゃった。


「三助くんとメタちゃんだー!」


 コンビニから出て来た白T黒短パンのリン。ツツツって駆け寄って来てボクらをジッと見てる。


「……何かステキ」


「やろー? ワシら美容系やから」


「うん、ボク大満足。あっ!」


 コロッケ噛りながらウサ兄ちゃんがコンビニから出て来た。


「ウサ兄ちゃーん!」


 ボクがコロコロ走ってくと硝子玉みたいな目でジッと見てくるゥゥ。


「……………………」


「ウ、ウサ兄ちゃん?」


「メタ可愛い……」


「ワシがお化粧したんやでウサ。時代はジェンダーレスやからなー」


「三助も可愛い。どっちもイジり辛い」


 イジり辛いってよくわかんないけど。いつも変な顔って言うウサ兄ちゃんが褒めてくれてボク、嬉しい!


 ……ん?


 ウサ兄ちゃんがハグしてキター。


 キツネの三助にもしてる。どしたのかな?


「何か頑張ってると思ったらサ……愛おしくなっちゃって」


 ぽろぽろぽろぽろ!


 ボク、自分でも知らないうちに涙出てた。


 キツネの三助もウサ兄ちゃんもつられて涙出たよ。それを見てた通行人の人達も涙出て、皆涙出た。


 リンがボクらの頭ポンポンしてくれて、また涙出た。


 よくわかんないけど。


 優しい世界。

それではまた…

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