ててんててんてん天天音(あまね)
土曜日の20時更新です…
「今、僕的にバンパイアきてます。ババンババンバンバン!」
黒耳白うさぎが熱く語ってくるラ。普段は全否定してくるクセに吸血鬼関係。
どーせまたアニメとかでやってんだラー。
「でもね、女のバンパイアはウケない。ここんトコ勘違いしないで欲しいんだ天音」
屋台の前でウサがしつこい。
あ、正確にはリヤカーだけど。天音は今、おむすびの移動販売やってる。自己資金で開業したんラ。
「バンパイアはコメディならギリ通用する。そこんトコ意識して天音、もっとオモシロ可笑しく!」
おむすび屋にオモシロさ要求してきやがるコイツ。
駅前のスペースにリヤカー止めて販売中。年明けてからこの商売始めてもう二カ月ラ。天音は見た目おぼこいから皆が気にかけて買ってってくれる。
「店の前で何言ってんラお前。仕事の邪魔してっとおチンチン縦に引き裂くゾ」
「お客なんですけどー。リンに言われて、おむすび買いに来たんですけどー」
「らっしゃせー」
リンとは去年のクリスマス会で仲良しになった。
数十年ぶりに血を吸いたくなった女の子。まだ手は出してないけど……ウサが邪魔なんだラ〜。
「リンが〝じゃこネギ〟の買って来いって。僕はコロッケひとつ」
「ねーわコロッケ。ウチはおむすび専門店なんラ」
「じゃカツ丼ひとつ」
「じゃこネギはリンにサービス。さっさと帰れウサ」
おむすび受け取っても帰らない小動物。リヤカーをペチペチ触りながら溜息ついとるラ。
「何?」
「僕ね、異世界モノってずっとバカにしてた。でも今信じらんない位ハマってる……ソロレベリング」
またアニメの話け? ジッとこっち見てくるけど知らんし天音アニメとかわからん。
「毎週放送が待ち切れないです」
「そ、そか。じゃ帰れウサ」
「バンパイアはレベルアップ、する?」
「え? まぁ……長く生きてっと人に近くなるラ。天音は四百歳だから別に血ィ吸わなくてもイケるし、お日様も平気」
「ソロレベリングゥ?」
だから何ソレ。キラキラした目で見てくんな……こら、エプロンにしがみつくなって!
「あ、らっしゃせー」
お客来たラ。ウサが接客しとる。影の軍団です、とか言うてるラー。
何かわからんけど天音の下僕になったらしい。
ちょうどいいラ。天音の変わりにおむすび売れ、ウサよ。
「おむすびー、おむすびー、ネクロマンサーの作ったおむすび。いかがスかー?」
お客が集まってキタ。凄い売り捌いとるラ。ちゃんとお釣り渡せてんのかアイツ? ネクロマンサーて誰?
……でも皆笑顔で買ってくラ。
「マナが切れないよーに気をつけてッ、マスター!」
「りょ、ウサ。全力で売りまくれぇぇぇい!」
十分程で全部売り切れたラー。
満足そうに静かに消えるウサ。これが影の軍団てヤツの力なんか! 一匹だけど。
今度ソロ何とか、観てみるかな。
吸血鬼のコメディもついでに。
それではまた…




