呪いの王とバーサーカー(2)
土曜日の20時更新です…
「どこの誰?」
思わず言っちゃった。だってこんな動物見たコトないもん僕。
商店街のコンビニで仕事終わりにコロッケ買ってサ。コンクリの車止めに座って食べてたら、いきなりソイツが話掛けてキタ。
「パンダのパン田だよーウサくん。お久しぶり」
パン田さん? パンダってこんな真ん丸なデザインだっけ。そういえばテレビで見るヤツはこんなだった気がするけど…………
「ガリガリのパン田さん……どこ?」
「グッドシェイプの時の、てコトかな。元々コレがパンダのデフォなんだ。王としての威厳が増して驚かせてしまったね」
この厨二病コメ、パン田さんだ。そしたら肩に乗ってる小魚も何か言ってキタ。
「パンちゃんはワイと契約したっぺさウサ公。この時代の王になるマジで!」
「知らないUMAと口聞いちゃダメってリンに言われてるから」
僕はプリプリ怒るちっこいのをシカトするとパン田さんを見上げた。前足に指輪ジャラジャラ嵌めて……ん? 右目にゴミみたいなの付いてる。
「長年にわたるコアラとの抗争にケリがついてね。今は絶賛勢力拡大中さ」
ゴミ捨て場(餌場)を巡る争いのコト。そっか、ちゃんとマンマにありつけてんだね。
「ワイが片っ端から呪いかけまくってるぺさよー。パンちゃんの敵は皆、ポンポンが痛い痛いてなる!」
見た目パンダっぽくなった暴走熊猫に魚づらドワーフ(呪い付き)の組み合わせ……何だかオモシロッ!
「せっかくだから裏動物社会統一したらいいと思う。だってパン田さん、ガチの指名手配犯だしィ」
魚づらが「ぎょッ」て顔した。面白いからヤメロ。
「こらこらウサくん、お口が過ぎるゾ。パン田はそんなんじゃありません。拳銃を持ったチホウコームインが顔写真を日本中にバラまいて探し回ってるだけ」
「センシティブなコト言ってゴメンなさい。でも僕、パン田さんにホントのキングになって欲しい!」
「フフ、可愛い友人の頼みとあれば仕方ないなぁ。実はパン田のコト車とか白チャリで追っかけてくる人間共が居るんだけれど」
「ケーサツの人ね」
「連中、パン田が領土を広げる為には邪魔なんだ。まずはヤツらを始末しようじゃないかチカちゃん」
王様の肩の上でモジモジしてるUMA。
「どしたんだい? マイパートナー」
「悪いんだけどォ。もっと、こう……動物ぽい感じでやって欲しいぺさパンちゃん。権力に歯向かってくとかじゃなくてぇ」
「コレは聖戦なんだ。神より授かりし地上の王として宿命を全うしなければならない!」
「パンちゃん……」
「呪いの王に命ずる。街中のポリ公を血祭りに上げェェェェい!」
「イヤだっぺ」
ちっこい魚オジサンが暴君の右目からゴミを剥ぎ取って自分の頭にくっつけた。
あ、鱗だったんだアレ。きっしょ……
「契約解消だぺさ。バッキャロ」
そう言うとチカちゃんはゆっくりパン田さんの身体を伝って下りてから。テテテ走って逃げてった。
コンビニの駐車場には僕とパン田さんだけ。
するといきなりでんぐり返しを決めてみせるパンダ。
見事な一発だった。でも僕は知ってる。真ん丸のパン田さんはコレで見納めなんだね。
コロッケを半分こしてあげた。
それではまた…




