呪いの王とバーサーカー(1)
土曜日の20時更新です…
ピチピチ尾びれを振ってみたっぺ。
久々に水を掻く感覚が気持ちええ三月の川面。
ワイは呪いの王チカちゃん。頭が小魚のキュートな小人のオッサンだぺ。
真っ裸にワカメの褌がトレードマーク。たまにカラスに食べられちゃうけど……不死身だからヘッチャラだっぺさ!
「魚の死骸が流れてキタァァァァァッ!」
仰向きでプーカプーカ浮きながら日光浴してたら。ガリンガリンのパンダが水飛沫上げて、叫びながら走って来た。
ワイをつまみ上げて「きっしょ!」とか言うとる。コロすぞテメ。
何か前にも似たよなシチュエーションあったぺさ。
「えーと、コレは魚でいいのかな? じゅるっ」
「お前は学習能力がないのかパンダ。ワイは呪いの王。趣味はSNSで未確認生物としてトレンド入りするコト!」
「いただいていいかな?」
白黒ヤローの前足の中でジタバタするワイ。
「聞け! 呪いの王は食べモンじゃないからッ。食うともれなく呪われます。ユー、アンダスタン?」
「そんなコト言ってもね君。パン田はもう生魚の口になってるんだ。とりあえず頭だけいただくよ」
「待て待て待て待て待て待て! わかった。わかったっぺさ。契約……契約しまッす!」
この狂ったケモノ、目がイっちゃってるからぁ。
仕方なく契約するっぺさ。呪いの専属契約。ワイを独占出来るヤツね。ヒミちゃん(卑弥呼)とかマサやん(平将門)とかノブっち(織田信長)みたく。
「喜べパンダ、この世界の王になれるっぺさよ」
「お言葉を返すようだけどシーフードくん。パン田は生を受けたその時から玉座に君臨している。それよりも今は食事の話をしよう!」
ケーサツ! ケーサツの人、居ませんかァ?
ここに妄想爆発中のプレデターが生息してるゥゥ。
「ワ、ワイは呪いでお前の敵を倒せるんだぺ。王様なら敵の一匹や二匹、居るんじゃね?」
ぴたと止まるプレデター。初春の川に佇んで食欲と抗争とを秤にかけてる模様。
「……王の剣になりたいってコトかな?」
「イエッス! プレデター!」
「ふむ。どーやって契約すればいいの?」
「ワイの鱗を一枚眼球に張り付けるんだぺさ!」
再び「きっしょ!」て言いながらワイの頭を引き千切ろーとするバーサーカーじゃなくてプレデター。
「コ、コ、コ、コンタクト! カラコンみたいなオシャな感じだぺ。オッドアイのパンダなんか居たら、もうキャーキャー言われるっぺさ〜」
「フフこれ以上人気者になりたくないんだが……唯一無二の絶対王にも戯れは必要。その提案、受け入れよう!」
ウキウキを隠し通せないプレデター。片目剥き出して「カマン! カマン!」はしゃいどるぺ。
こーしてワイはプレデターと契約を交わした。
一個言ってなかったけど。
契約者本人も呪われるぺさ。
それではまた…




