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複数のスキル持ちの男

土曜日の20時更新です…

 不審者が公園のベンチに座っている。


 バーコード頭で黒縁眼鏡の中間管理職て感じの中年サラリーマンが。何も持ってないのに忙しく手を動かしながら「う〜ん」とか「ハイハイ」とか。


 舗道のマンホールにバクチクを投下しようとしてたウサくんの手が止まっているね。オジサンに釘付けかな。


「あーゆーの僕見たコトある! ロッキー」


「え? そーなのかい。ウサくん」


 ベンチまでダッシュする白うさぎ。


 私はバクチクを回収すると仕方なく後を追った。念の為、心拍を上げて筋肉に血液を送り込んでおく。


「オジサァァァン、ステータス画面の操作してんの?」


 バーコードが驚いたようにウサくんを見る。


「よくわかったねウサちゃん。君にもこれが見えるのかい?」


「見えないけど。アホな異世界転生アニメでお決まりのシーンだもん」


「ハハハ手厳しいなぁ。でも、あれは事実を描いてるんだよ。ワタシはバイストン◯ウェルとこの世界を自由に行き来する事が出来る冒険者なんだ」


 ヤバいおとなの人だった。ウサくんの大好物。筋肉警報は解除しておこう。


「魔法とか使える?」


「残念ながら。そっち系で女神様の加護はなかったよ」


「ザコキャラ」


「これまた手厳しい。ワタシは情報系のスキルに優れていてね。収集とか分析とか」


 IT関連のお仕事かな。ウサくん全く反応していないね。


「あ、でも本来は肉体強化系なんだよ」


 スーツの内ポケットから銀色のスプーンを取り出すオジサン。


 柄の部分をコスコス擦り始めた。


 五分。十分。


 その間私達は砂場でネコのうんちを探し出してバクチクで吹っ飛ばしたり、オヤツを食べたりしてた。


 コロン……


 スプーンの頭が取れた。ウサくん、またダッシュ。


「ふうう。指先からオーラを放出して金属を腐蝕させてみた。念能力ってヤツさ」


 肉体強化どこ行った? ステータス画面とかバイストン◯ウェルとか念能力とか。設定ブレブレじゃないかコイツ。


「スゴッ! 他に何出来んの?」


「一応魔眼持ちです」


 内ポケットからカードを取り出すオジサン。宴会芸見せられてるのかなコレ。


「一枚引いて……うん、そう。ワタシに見せないでね」


 ウサくんがこっちに見せてキタ。星印のカード。


 オジサンが目を瞑って手をかざしたりしてる。またまた五分。十分。


 とりあえず二匹で相撲取ったり金玉の蹴り合いっこしたりして遊んだ。すると汗ダクになったオジサンが手招きしてきたんでダラダラ集合。


「…………多分、星だと思う」


「スゴッ! 他に何出来んの?」


 即おかわりするうさぎ。このやり取りが気に入ったみたい。


「滅多にやらないんだがね……やってみせようか。瞬間移動!」


 そう言うとベンチの上で瞑想を始めるオッサン。


 大丈夫? 眼の下隈出来てるけど。


 普段の公園遊びにおける「トカゲ見つけた!」程度の位置付けだと気づいてくれればいいが。


 五分。十分。三十分。


 ハゲのコトなんかすっかり忘れてキツネの祠を襲撃中のウサくんと私。


「ロッキー! 三助が水鉄砲撃ってキタ。冷たァ!」


「当たると風邪引くかもだぞ、ウサくん!」


 その時。


 視界の片隅に映った。オジサンがパッ、て一瞬で消えるところ。


 ウサくんも見てたようだ。


 トカゲが逃げた、程度のテンションで。


 力を合わせて水鉄砲に立ち向かう私達。

それではまた…

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