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醤油の場合は発酵の過程で小麦タンパクが分解されてアレルゲン性が低下するんだって

土曜日の20時更新です…

 小麦アレルギーて何や?


 ワシは最初、事の重大さに気付かんかった。


 ここんトコ体調悪ゥてな。お稲荷さんの信者連中に動物病院連れてかれたんよ。


 ほしたら医者が小麦アレルギーやて。


 原因はわからんけどいきなしそーなった。小麦粉、食ったらアカん。そん時はあんまピンと来てへんから祠に帰って好物のカップうどん食うたけど。


 救急車、乗ったでー。死にかけた。


 キツネがきつねうどん食えんくなってしもた……


「三助〜ッ。お見舞いに来たよォ」


 退院して祠で休んでたらややこしいのが来よった。鼻ヒクヒクさせてからに。興味津々やがな。


「何でワシが病院帰りやて知ってんねん。ウサ」


「シマちゃんに聞いた!」


 白うさぎの後ろからシマリスがひょこんと顔を出す。


「シマちゃんはいつものよーに三助の生活ぶりを観察してたと思う。そしたら一週間前に救急車で運ばれて、さっき帰ってきた」


 コイツかぁ〜。ワシのプライベート監視すんのが趣味のナチュラルストーキニスト。


「コレ。はい、お見舞いのヤツ。コロッケパン」


 ウサがコンビニ袋から出してきたソレ。多分アカンヤツやな。多分やけど。


「悪いけどなウサ。ワシ、パン食うたらアカンねん。ほいでコロッケも何かヤバい気ィする……」


「そか。じゃ僕が食べる。三助コレあげる」


 袋からたこ焼き出てきた。イヤ、大好物やけど。


「すまん。コレもアカンわ」


「じゃコレは?」


 さつまいもの天ぷら。


「ちょ……待て。何か意図を感じる。イジってるやろ」


「何でー?」


 偶然か? 如何にシマちゃんと言えどワシの症状までは知らんハズ……ウサに小麦アレルギーの件がバレるのは極力避けたい。


 ヤツに弱み握られると飽きるまでイジり倒されるからな。


「ウサ、ワシあんま食欲ないねん」


「じゃコレ飲みなよ」


 麦茶、ペットボトルでドーンて!


 麦繋がり? とりあえず麦ってトコだけ辿り着いてんの? 野性の勘か何かで?


 袋の中身、チラッとクッキーの箱も見えとったし。


「……お気持ちだけいただいとくわ」


「そっか」


 コロッケパンを頬張りながら麦茶グビグビのウサ。シマちゃんはたこ焼きのタコだけほじくり返して食うとるがな。さつまいもの天ぷらもカリカリて。


「…………美味そうやなぁ」


「ヨダレ出てるけど三助」


 油断してもた。


 ワシは目の前で繰り広げられる小麦パーティーから気ィ逸らす為、故郷の伊吹山に思いを馳せる。


 真っ白に染まった山嶺。刺すよーに澄んだ空気。


 あぁ、あっちはすっかり冬景色やんなぁ。


 本能のまま、自由に生きて。


 食いたいように食ってた。


 ……好きなもんんんんん、好きなだけ食うたらええんちゃうんんんん…………


 山の神様の幻聴が聞こえてくるー。


 ヤバいヤバい。もう、入院だけはコリゴリや! 注射怖いし。


 厄介な病気になってしもた。


 気付いたらワシ。


 涙出てた。


「三助……大丈夫?」


 ウサがハグしてきた。


「三助は入院して大変だったんだと思う」


 シマちゃんが頭の上に乗っていい子いい子しよる。


 ワシ、何か涙止まらんくなって。もう、泣きながら告白しとった。


「わ、わ、ワシ、ワシな。こむ、小麦粉食べられんよーになってしもてん……うぅ、大好きなうどん食うたら死ぬッ」


 するとウサとシマちゃん。袋から何か取り出してワシの前にそっと置いてくれた。


「コレなら食べれる?」


 いなり寿司…………


 せや!


 ワシにはお稲荷さんがあるゥゥゥゥゥゥゥッ!


 この世で一番好きな食べモン。コレさえあれば超無敵なヤツ!


 堂々とパーティーに参戦するワシ。


 退院祝い。嬉しかった。

それではまた…

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