「坊やだからさ」
土曜日の20時更新です…
メタちゃんが溜め息ついてる。
さっき商店街で久々に会ったからお茶誘ってみたの。エキゾチックショートヘアでグレー系の仔猫。
「どしたメタちゃん。何かあった?」
「リン。ボクね、おかしくなっちゃった……」
クシャてお顔をさらにクシャてする。
「リリィのコトなんだけど」
「あ、マンチカンの仔猫だっけ。メタちゃん付き合ってんだよね」
「うん。ボクの彼女」
まだ仔猫なんだけどね……メロンソーダのアイスぺろぺろしちゃってサ。彼女いるんだとー。店の窓から見える青空と白い雲のコントラストをジッと見つめる私。
「リリィのコト考えると……何かおかしくなる!」
「うん」
「いつもハグしたりチュッチュしたりしてるんだけど。それだけじゃ足りないってゆーか」
「へぇ」
「お股の辺りが熱くなる。よくわかんないけど……ボクらには次のステージがあるんじゃないかって。それで頭モヤモヤしてて…………もう、気が狂ううううッ!」
発情しちゃってんじゃーん。
仔猫のくせにコイツゥゥ。おませな頭に身体がついてってないのね。
「ウサには相談したの?」
「した」
「何て?」
「公園の登り棒。登ったり降りたり繰り返せって」
よくわかんないけど。具体的なアドバイスしてんだと思う。
「面白いからやってる!」
あくまで『面白い』だよね? ちょっと安心した。
ココア飲みながらシュミレーションしてみる私。メタちゃんに性教育するか否か。
した場合。
彼女とトライすると思う。
まだ全然身体の準備が出来てないけど。気が狂いそうだっつってんだもん。とりあえずヤってみるよね〜。
しなかった場合。
悩み苦しんだ末にいつか自力で辿り着く。
それが自然。身体の準備も出来た頃ね。そん時はもう狂ったようにサ、近所の人に水掛けられます。
「彼女さんの方はどんな感じなのかな?」
「何かね……プッ。ボクにお尻コスコスしてくる。や〜め〜て〜って言ってんのにィ。変なの!」
彼女、次のステージに凸しとったァァァァァ。
呑気に笑ってないで。女に恥かかせてんじゃないよ、この子はもう〜!
「あっ!」
メタちゃんが窓の外ガン見してる。茶系の仔猫が商店街をブリブリ歩いてた。
「リリィだーッ!」
すっ飛んでくガキんちょ。
ヤダ、リリィちゃんてムッチャ可愛いんですけどー。マンチカンの仔猫、まるで天使じゃん!
お、メタちゃんがバックハグ。彼女が振り返って……いきなりゴロゴロ転がり始めた! 二匹でゴロゴロ。ここ商店街のど真ん中ですよー。
そしたら彼女、デカい声で鳴き出したの。
あぁーん、ああああああッて。おキャワ!
ちょ、ウケてんじゃないよメタちゃん。ガキだなーホント。まぁ、ガキなんだけどね。
あ…………
お尻コスコスやってるー!
でも可愛い仔猫がやると全然エロくないわー。メタちゃんヨロけちゃって……アンタ男なんだからしっかりしなさいよ!
ん?
今、偶然交尾の体勢になってない?
メタちゃんフリーズして考え込んじゃった。あ……こ腰! 腰ヘコヘコ振っとるゥゥゥゥ!
自力で正解に辿り着く気かコイツはああああああ!
あ。
笑っとるがなー。リリィちゃん怒って逃げてった。
お顔をクシャクシャにして戻ってくるメタちゃん。
「リン、ボクね! 今、何か……スゴく面白かった!」
「追っかけてってハグしなさい!」
私の方を三度見位しながらコロコロ走ってく仔猫。
窓から流れる雲を見ながら。リリィちゃん推しになると心に決めた。
それではまた…




