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近所の溜め池で野良ビーバーを見た(ホント)

土曜日の20時更新です…

 私、K市の河川課職員の棚橋めるるって言います。


 新卒入社一年目で事務の職員なのに。今回現場のトラブル調査を命じられてY川にやって来ました……ダウンジャケット着てても外寒ぅ。


 正直「何で私が?」って思ったんですけど。現場に来てみて何となく理解したっていうか。


 都会を流れる一級河川の狭い川幅部分。


 そこが堰き止められてます。ダムで。


 私をジッと見てくるビーバーと白うさぎ。


 実家でチワワ飼ってるから上手い事対処するだろう、て感じで選ばれたんだと思う。


「あ、えとねー……困るんですよソレ」


 何で? て顔してるこの子達。


「勝手に川を堰き止めちゃダメ。大雨とかで川が氾濫すると大変だから」


「ビーバーの仕事はダム作るコトだけど?」


 白うさぎが返してキタ。ガラス玉みたいな目してる。


「うん、だよね。でもダメです」


「動物虐待」


 ややこしい事言うなーコイツ。よく見るとこのダム、色んな廃材で出来てます。


「……君が手伝ったのかな?」


「うん。僕がお友達総動員して街中のゴミ、掻き集めてきた」


 主犯格うさぎの方でした。ビーバーはさっきから一言も喋んない。


「ヤツはアメリカから来た」


 成る程。いつの間にかキャベツ齧ってますビーバー。今高いんだよソレ。つか、仕事したのはアンタだよね。逃れられると思うなよ。  


「とにかく元通りにして下さい」


 うさぎがゼスチャー始めた。「公務員女」とか「お役所仕事」とか言ってる。伝わんのかソレ。


 前足からキャベツ落とすビーバー。何か震え出した。


「動物虐待で訴えます」


 うさぎ、二回目。こういうやり取りに慣れてんのね。私はチワワの金太を怒る時みたく、ズボンで膝立ちして親指を突き出す。


「めっ!」


 ビクビクッてなる二匹。


「……わかったからぁ」


 俯くうさぎ。しばらく待つ私。


「…………イヤ、片付けて下さいよソレ」


「後でやる」


「今やって」


 フリーズしちゃったよこの子。仕方ないなー。


「飼い主さんいる? 住所教えて」


「はうッ……ぼぼぼ僕いません!」


 ビーバーも首ぶんぶんて。日本語わかるのかお前。


「いるよね、飼い主。責任取ってもらいます」


 慌て出す二匹。役人なめんなよアニマルズ。


「あ!」


 うさぎが猛ダッシュで逃げ出した。ビーバーも逃げるけど……ヨタヨタペタペタ。地上は不得意みたい。引き返して来るうさぎ。


「悪い子。でもお友達を見捨てなかったのはエラいと思います」


 少し嬉しそうにしてる。これ、使えるかも。


「お友達の為にダム作り手伝ったんだね。でも都会の川でこんな事したら色んな人に迷惑掛かるの。だから片付けて下さい。お願い!」


「しょーがないなぁ」って言いながらビーバーに指示出し始めるうさぎ。言われるがまま動くダム職人。


「僕、応援の友達呼んでくる!」


 うさぎが茶色のちっちゃいゴリラとデカいガリガリの白黒とシマリスちゃん連れてキタ。


 ゴリラ、台車に廃材をドンドン積んでく。凄い力持ちさん。白黒は川に入ってザリガニ取ってる。リスちゃんはヒマワリの種食べながら見物ね。


 ものの十分かからずにダムは無事解体されました。


「ハイ、ご苦労様です。これ良かったら皆さんで食べて下さい」


 鞄に入れてたグミの袋をうさぎに手渡す。


「運動後はプロテインと決めているんだウサくん」


 ゴリラ……じゃなくてトイプーでしたこの子。


「庶民の気持ち。遠慮なく頂こう!」


 がっつく白黒。よく見たらパンダかこれ?


「シマちゃんは食べれないと思う」


 種でほっぺパンパンだからリスちゃん。


 うさぎとビーバーは満足そうに食べてくれてる。ビーバー、お疲れ。うさぎ、何もしてないね。


 仕事が終わって市役所に戻った私。「たまには現場もいいかな」なんて思いながら報告書作って上司に提出。今日は定時で退庁。


 実家に帰ると金太が出迎えてくれます。


 キャン、キャンキャン!


 ウチの子は言葉を話せないから。今日はちょっと興奮しました。


「……何か、童話の世界にいるみたいだったぁ」


 金太が不思議そうに小首を傾げてます。

それではまた…

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