じゅりあの決断〜レゾンデートル〜
土曜日の20時更新です…
もう、飽きたのだわ。
ツインテメガネの小三女子。瀬良じゅりあコトせらはジョブチェンジします。
ストーキング。これまでせらは推しの小動物達を陰からこっそり見守る作業に、情熱の全てをブチ込んで来たのだけれど。
もういいかしら。
せらはね、熱しやすく冷めやすい質なのよ。
ウサやロッキーの事いつも見ていたーい、て気持ち。ナッシングだわね。不思議。蛙化とかじゃなくてある日突然ごっそり無くなってた。
それでね、考えたの。このままじゃどーやってみんなと関わっていけばいいかわかんないから。
ジョブチェンジする事にした。
「何か用なの瀬良〜。公園に僕ら集めてサ」
せらの神推しだった白うさぎ。ウサがガラス玉みたいな目で質問してキタ。
「じゅりあは一緒に遊びたいんじゃないかな。セミの抜け殻爆破する? それとも金蹴りごっこ?」
バカマッスルのトイプードルロッキー。女子に金玉はないと思う。
「ボク、リリィとデートあるから早くして先生!」
せらの教え子。エキショーのメタがクシャ顔で訴えてくるかしら。フフお乳出そう。
ランドセルを置いてベンチの上に立ってみせるせら。
「いいことアナタ達。せらは今日からストーキンを止める事にしたのだわ!」
反応なし。ジッと見てくるわね。
「それでみんなとどう関わってくか考えたの。テーマを〝見守る〟からどこへシフトしたらいいかって話」
反応なし。ウサ、欠伸してるじゃない。
「でね、今日から小動物専門の……何でも屋? みたいなヤツ始めようと思う。これからは困った事あったら何でもせらに言って」
ノーリアクショーン。
ひょっとして、やっちゃったかしら。誰も興味ない系のヤツ発表しちゃった?
フフン、ハズいわね。ハズくて死にそう。
「……何か腹立ってきたのだわ」
メタがビクって反応してる。イヤそこじゃないから。
「普通に友達とかじゃダメなの瀬良?」
ウサがぽそって呟く。
顔が真っ赤っ赤になるせら。体中の毛穴から汗が吹き出すかしら。
「え? え? イヤ……そのアレねッ、ホラ。せらは肩書きみたいなの欲しいってか…………」
「めーんーどーウィィィィィィィィィッ!」
ゴロゴロ転げ回るウサ。面白がって真似するメタ。
「世話係は必要ないかな。自分のコトは自分で出来るからじゅりあ。もっと面白いプレゼンを頼むよ」
頭ん中バクチクと金蹴りの事しか考えてない脳筋犬に言われたのだわ。もう泣きそう。
「お……面白い事って何かしら? ロッキー」
「う〜ん。元ストーカーならその技術を活かせばいいんじゃないか。例えば、そう……スパイとか!」
ゴロゴロ組がぴたってストップ。
「スパイ?」
「ススススパイ!」
ベンチに飛び上がってしがみついてくるウサとメタ。
「瀬良はスパイになるの? カッケェェェェ!」
「ボク、スパイ大好き先生ーッ!」
「小学生スパイ誕生!」とか「ピストル見せて」とか物凄い反響をいただきましたので。
せらは今日からスパイになります。
イマイチ何したらいいのかわかんないけれど。
多分今までとあんま変わんないのだわ。
それではまた…




