オオタニサーン!
土曜日の20時更新です…
「オオタニサーン!」
「オオタニサン? ノンノン。オオタニサーン!」
義手に付けてる拾った香水の瓶をイジりながら。公園の木陰でひっくり返って空見上げてるキツネ。
そのワシの耳にベンチの方から白うさぎと脳筋トイプーのアホなやり取りが聞こえてくる。多分言い方がオモロいだけなんやと思う。
「三助〜ッ、オオタニサーン!」
ウサがワシにフッてきよったけど。何がオモロいねんコレ。誰がのるか。
「オオタニサァァァァァァン! とぅおおおおおおおうッ!」
モモンガのヨースケが嬉しそーに飛んでキタ。アホ三兄弟の揃い踏みやん。
「オオタニサーントオオ!」
何か皆で爆笑しとる。
「アハハハ……オ、オタニサーン。頭パーン!」
イヤそれ樽本やろウサ。オオタニは頭大丈夫やわ。つか、今頃オオタニて。イヤ今も活躍中らしーけど。
ワシ野球見いひんからなぁ。スポーツはフィギュアスケートくらいしか知らん。アレはくりくり回るからメッチャオモロい。
「オオタニサーン、テ何?」
ヨースケが基本的なコトぶっ込んだ!
「オ……オオタニサーン。デカイ」
見たコトはあるみたいやな脳筋犬。
「オオタニサーン金蹴リ上手」
違うゾ、ウサ。躊躇なく言うたけど。野球は金蹴りないと思うで……玉は使うけどな!
「…………一平チャーン?」
奇跡、起きた。
ウサが関連ワードにいきなりヒットしよった! 多分NGワードやと思うコレ。
「一平チャーン!」
「一平チャーン! 一平チャーン!」
アホ三兄弟に新しい流れが生まれた。オオタニから一平へ繋がる皆が忘れたがってる感じの。
「一平チャーン、頭パーン!」
うん、合ってるんちゃうかウサ。一平は何かで頭パーンてなっとる人やんな確か。
「一平チャーン……デ、デカイ」
ハズレやでロッキー。不安そうな顔的中です。
「一平チャーン、テ何〜? 三助〜」
またまたヨースケがぶっ込む。しかもワシに。お前ん中じゃアホ四兄弟になってんのか? ソワソワするわ。
「一平チャーン。ドジャース」
奇跡パート2起きた。
ウサが球団名にこぎつけよった。とっくにクビになっとるけど。
「ドジャースッテ。クスクス……ドジャースッテ」
小動物的にオモロいらしいドジャース。三兄弟がお腹抱えて笑い出した。どこがツボ? え、そんな要素あるドジャース?
「ドジャース! ドジャース! ドジャース!」
公園にドジャースコールがこだまする。
知らんヤツ見たら野球大好き小動物トリオやでコレ。実際には野球のやの字も知らんねんけどコイツら。
「オオタニサーン!」
「一平チャーン!」
「ドジャース!」
楽しそーに連呼しながら輪になって踊る三兄弟。
ずっと木陰から様子見守ってキタけど。何か、こう〜ちょっかい出したなった。
別に羨ましいとか仲間外れとかじゃなくて。キツネの小動物に対する本能的なアレやと思う。いっつもイジられてるしな!
連中に一発ぶっ込んでみたんや。
「ダルビッシュユゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」
時が止まった。
こっち向いたまんま動かんくなった三兄弟。
「ダ、ダル?」
ザワつく小動物達。ちょっと長かったかな、文字数。いたたまれん気持ちになったワシが思わず呟く。
「何とかヌートバー……」
「ヌー?」
「ヌートバ?」
またザワついとる。半身になって逃げ出す準備をするワシ。
しかしそれは。
湖に投げ込んだ石がゆっくりと波紋を広げてくみたいに。
小さいけど、でも確実に広がってったんや……
「…………ヌートバ、ヌートバ、ヌートバ、ヌートバー、ヌートバー、ヌートバー、ヌートバー! ヌートバー! ヌートバー! ヌートバー! ヌートバー!」
ワシは静かに前足を突き上げる。
それではまた…




