ロボのいる風景
土曜日の20時更新です…
ウサとロッキーとメタちゃん。
この子達を連れて駅前に出てるチュロスのキッチンカーに行ってきた。その帰り道。
みんなお目当てのチュロスに大満足のご様子。私もずーっと気になってたシナモンチュロス食べれてテンションちょいアゲ。
「リン、あれ何?」
トイプーのロッキーと尻尾の触りあいっこしてたウサが叫ぶ。
川沿いの道路。向こうの方からちっこい車みたいなのがやって来る。車? ……つか、赤い台車に赤い人が乗ってる?
「ロボだ!」
小動物達が騒ぎ出した。
うん、ロボだね。上半身が人型ロボットで下半身が台車の真っ赤っ赤なヤツが低速で走って来る。
こないだニュースで見た宅配ロボかな?
前にスーパーでルンバの親玉って感じのお掃除ロボ見かけて。野良猫の気を引く時みたく周りウロチョロしたの思い出した。バカだよね私も……とか考えてたら。
うちの子達、突撃してました。
「あ、コラコラ。メタちゃん猫パンチしないよ! ロッキーひっくり返しちゃダメでしょ!」
「よし! 畳みかけるんだロッキー、メタ」
ウサが攻撃の指示出しとるー。
急いで横倒しになってバタバタしてる台車ロボのとこまで走ってく私。
「乱暴スンナッテー!」
如何にもそれっぽい音声で叫ぶロボ。チビっ子ギャング団、興奮の坩堝。
「ロッキー、車体の裏んトコ。乾電池入ってたら抜いてみて! メタは頭にオシッコかけて!」
おっきいオモチャを前に、好奇心旺盛にアタックする小動物を引きはがしてロボを助け起こす。意外と軽ッ。プラ製だなこれ。
「ア、アリガト。テカ、コイツラノ飼イ主サン?」
よく見ると頭にはちゃんと目、耳、口がついてて喋るとパクパクしてる。
「え? あ、そんな感じかな」
「訴エマス」
一斉に攻撃を始めるチビっ子達。
様観する私。カメラとか付いてるとアレだから片手で口元は隠す。
「ア、ヤメッ……チョ、ゴメンゴメンテェ!」
眉毛も付いてて上げ下げしてくる。芸が細い。
みんなで力合わせて頭、引っこ抜こうと頑張るウサ&二匹。ロボは「ギブギブ! 何デモ言ウコト聞クカラァァッ」て降参してます。
うさぎと脳筋犬と子猫。「歳いくつ」「どこ中」「ジャンプして」とか声掛けしとる。中坊のカツアゲかよ。
「あなた何するロボットさんなの?」
私も質問してみた。
「自分ハ…………アレ? 自分ガ何ナノカ分カンナイ」
どうやらさっきのショックで(頭引っこ抜き)回路がアホになったみたい。「誰ダ? 誰ダ?」って叫びながらクルクル円を描いて回ってる。
「ヒント。ヒント下さい」
クイズじゃないからウサ。
「大抵のコトはプッシュアップで何とかなるロボくん」
あんたが一番ダメージ与えてたねロッキー。
「赤いのがキモい」
うん。まだ攻撃止めないんだメタちゃん。
「何カ……凄イ大事ナ使命ガアッタト思ウンダケド!」
使命って言い出したなー。小動物達がザワついてる。秘密兵器とか宇宙人とか。私は単純にお遣いとかだと思う。
「クッ、駄目ダ。分カラナイ……」
「ロボ……」
「ロボくん……」
「キンモッ」
メタちゃんにハマりそうになりながら堪える私。
「トリアエズ警察ニ連レテッテクレ。暴行デ訴エマス、オ前ラ」
「爆破しかない」
ウサとロッキーが爆竹の準備始めた。
イヤイヤイヤ、あかん。あかんてぇぇ。スイッチ切るとかでいいじゃん! あ、良くないけど。
するとメタちゃんが。
落ちてた木の枝でロボの頭にポコんて一撃!
キュゥゥン…………
電源落ちた!
……ピンピロンロ〜ンピンピ〜ン♪
再起動した!
しばらく「キュゥゥン」て音だけ鳴ってるロボ。
パッて眉毛上がった。固唾を呑んで見守る一同。
「…………ア、急ガナイト」
ロボは何事もなかった感じで低速で走り去ってった。
ウサとロッキーに頭撫で撫でしてもらって目を細めてるメタちゃん。帰りはロボの使命について考察して盛り上がってた。
「ウインドウズのXPだったなアレ」
懐かしい音に月日を想う私。
それではまた…




