吸血鬼の自立〜天音の場合〜
土曜日の20時更新です…
「アレー? 吸血鬼の天音だアアア!」
昼過ぎの駅前商店街。
天音は公衆の面前で個人情報を暴露してくるそれを思いっ切りスルーしたんラ。今急いでるし。
「こーんにーちはー。人間の生き血を吸うヒトーッ」
舌打ちしてUターンする天音。黒耳ひこひこさせてる白うさぎの前に仁王立ちラ。
「……アニマルセラピーのウサ。今度人前で吸血鬼っつったら耳引きちぎるラお前」
「大丈夫だよ天音! 吸血鬼なんて誰もキョーミないから。時代は魔法使いのエルフ一択」
ヒソヒソ言ってきてムカつく。
コイツは天音が世話んなってたこの街にあるグループホームのセラピスト。セラピストなのに心に余裕のある時しか関わりたくない相手なんラ。
「どしたのそんな真っ赤な……ハデハデのカッコして。それハッピ? うわ、背中に〝吸血上等〟て書いとるー」
「天音は今、地下アイドルのグループやっててな。〝僕の妹がこんなカワイイ吸血鬼なわけがない〟担当ラ」
「設定弱ッ」
言うと思ったラー。
四百歳の吸血鬼が妹なら兄は江戸時代の人限定スか? とか追撃してくる。でも今日はお前の相手してる時間はねー。ショートボブの髪を翻して天音は先を急ぐラ。
「プライベート切り売りしてるクセに僕に怒るのオカシイと思う。謝って下さい」
何かイチャモンつけてキター。
「天音は企画として吸血鬼やってるだけです。切り売りなんかしてませーん。お前が言うヤツはリアルだからダメです」
これから商店街のライブハウスでステージがあんの。今ビラ配り終わったとこで。リハに遅れたらリーダーの魔法使いエルフキャラの女がキレるラー。
「何やってるぞな妃菜ちゃん。うさうさ相手に」
ヤベ。
ビラ配り中の魔法少女キャラおフィリアさんラ。
ウチのグループはリーダーと副リーダーが魔法被りで対立しててサ。天音は入ったばっかでまだ派閥に属してないから微妙な立ち位置……。
「妃菜だってー。ヤンキーで吸血鬼キャラなんてWオワコンじゃね天音」
「ぞな」に食い付いたウサが捨てゼリフ残しておフィリアさんの方に凸してった。
グルホを出て天音は色々と考えたんラ。お金はある。この四百年の間資産運用してきたかんな。世界恐慌や二度の世界大戦も乗り越えたんでバブル崩壊やリーマンショックなんかへのかっぱだったラ。
見た目は中坊の女の子。それだけでしぱらく生きてみようと決めた。
最初はパパ活とかやる気マンマンだったけど。
今の事務所にスカウトされてとりあえず地下アイドルやってる。色んなとこで給料搾取されてっけど。天音はお金あるから平気ラ。
人生の折り返し地点。残された時間(約四百年)ちゃんと生きようと思う。
ライブハウスに戻ってリハする。
軽くご飯してからライブスタート。何か……最前列にウサがいるラ。お金持ってたんかアイツ?
ライブ終了。特典会、天音の隣おフィリアさんの列にウサが並んどるラ。グッズ持ってないかアレ。お金大丈夫?
チェキ撮ってお話……ちゃんと自己紹介してるラ。時間キッチリ守って。行儀良くね?
あ、こっち見た。
「ガンバレよう、天音!」
楽しそうにしてんなぁコイツ。
天音もちょっぴり嬉しくなって。
神対応頑張ったラ。
それではまた…




