留学生ＪＫが語る日本、その愛
土曜日の２０時更新です…
不思議の国ニッポン。
本のタイトルじゃアリマセン。ニッポンはワタシにとって、世界中の人達にとってそーゆー存在デス。
今から９０年前、渋谷の忠犬ハチのクールな一言からスタートしたカンブリア大爆発的動物界の一大変革。ハチは言いマシタ。
「……いつまで待たせるんだワン」
Ｂ.Ｈ元年。以降、ニッポンの多くの動物達が言葉を話すよーになりマス。
しかもコレはニッポンに特化した出来事デシタ。世界中の動物はごく一部しか話す事が出来マセン。不思議の国ニッポン。ワタシの憧れ。
そしてセブンティーンになってようやく掴んだニッポン留学のチャンス！
今、アタシは聖地巡り（ハチ公銅像前）を終えホームステイ先のお家まで帰ろうとして。見事に迷いマシタ。
見知らぬ駅にそばかす顔の赤いクセ毛女子。
浮いてマス。ジャケットのポッケに両手突っ込んで歩く。デニムのパンツだけだと寒い。
気付いたら駅前のアーケードに出てマシタ。ショッピングセンターかな。ココどこ？ 少し泣きそーになってキョロキョロ。
「オゥ……」
アンビリバボー！ 目の前のうさぎが、クロケット食べながらアタシの方ジッと見てキマス。
うさぎがクロケット食うとるゥー。マイガー。
「顔についてる点々は何？」
「ウワァオ！ あ、ソーリー……ついテンション上がってしまいマシタ。えと、そばかすデス」
「ふーん」
ワタシにキョーミなくなるうさぎ。せっかく話し掛けてくれたのにィ。
喰らいつけワタシ！
「エマっていいマス。アメリカから来マシタ。特技は……えと、コンバットシューティング」
「えっ……ピストル撃てんの？」
素早くウィーバースタンスで構えてダブルタップ！ タン、タン。
「カッコいい！」
ウケた。うさぎ、擦り寄って来マス。
テキサスの片田舎でパパに仕込まれた射撃。人生で初めて役立ちマシタ。
「リコリス？ エマはリコリスですかぁ！」
何ソレ。ＧＵＮの事かな。
「ＣＺ―７５使ってマス。パパのお古」
「何言ってんのコイツ？」
ミスったー！ 微妙に距離を取り出すうさぎ。このままじゃここでジ・エンド。絞り出せッ、絞り出せエマ。
「えと！ えとえとえと……ＵＳＰＳＡの大会でチャンピオンになった事アル」
「ふーん」
「女子の史上最年少チャンプ」
「ふーん」
マイガー。そばかすのテンション再び。
このうさぎから、そこはかとないアンチスピリットを感じマス。こーゆー相手にウケる鉄板のネタ。
「小学生の時、イキって学校にＧＵＮ持ってって」
白うさぎの黒耳がピコーん。
「逮捕されマシタ」
「何かスゴ！」
しがみついてキター！ オゥフ、幸せデス。
憧れの国ニッポンで今、ワタシはうさぎとお話してマス。この為に日本語頑張りマシタ。何か夢みたい。
それからワタシ達はコンビニの駐車場でＧＵＮとアニメの話をしまシタ。ウサ（名前教えてくれた）の言うアニメキャラはデトニクスのコンバットマスターを使ってるそうデス。ちっちゃくて古いＧＵＮ。
途中で合流したトイプードルのロッキーから教えてもらいマシタ。
ニッポンには八百万の神がいて、それでハチ以外の動物達も会話が出来るよーになったと。ワタシはＳＮＳでロッキーのフォロワーだったので会えて感激デス。
不思議の国ニッポン。
これからワタシの留学生活がスタートしマス。
それではまた…
