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お風呂DEワンダーランド

土曜日の20時更新です…

 僕、お風呂が好き。


 うさぎのクセにって言うヤツはバカ。僕は毛繕い面倒くさいからお風呂に入ります。ユニットバスだけどね。


 リンと入って体洗いっこすんのも楽しいけど……そうじゃなくっても平気! だってその方が都合良かったりするから。


 お湯に浸かってるとサ、聞こえやすくなるんだ。


 神様の声。


 ちょうどリンとこのマンションで暮らし始めてからかな、聞こえるよーになったの。最初は心が病んじゃったのかと思って焦った。


『…………違う違う……』


 とか言ってくる。


 頭ん中で響くの。いつも一言二言。


 前にバクチクで瓶詰めにしたカマキリ爆破しよーとしたら『コンプラ!』とか言ってきた。まぁ、やっちゃったけどね!


 時々言うコト聞くとご褒美もくれる。ほんのちょっとだけいいコトがあるんだ。


 道端でコロッケ拾うとか、晩ご飯がコロッケだとか、里見ィがコロッケ奢ってくれるとか。


 そーいえば神様、里見ィには甘いトコある。だってアイツ絡みだといつも『もっと優しく……』とか『そこ褒めたげて……』とか言うんだもん。


 ウザいからシカトするけど。


「……大丈夫かーい、ウサくーん」


 頭の上の方から声がする。


 僕は目を閉じて湯船に浸かってた。お湯の中なのにふかふかのソファーで寛いでる感じ。


「のぼせたのかな? この玉座の上で」


 パンダのパン田さんのお腹の上。一緒にお風呂入ってたんだった。


「あ、ちょっと考えごとしてたパン田さん」


 ガリンガリンだからスッポリ浴槽にIN出来てる白黒ボディ。その上にお湯、そして僕。お腹に乗っかってるからパン田さんが喋るたんびにグラグラ揺れる。


「パンダのお腹の上で微睡む。こんな至福の時間を邪魔して悪いんだがウサくん。そろそろシャンプーしようと思ってる」


 リンはパンダやキツネの三助みたいな宿無し野郎にお風呂を貸してあげてるんだ。


 ざぱアアアアアッ。


 パンダが身体起こすとお湯が一気に少なくなる。僕は肩がまでお湯に浸かりながら耳を澄ました。


『…………こっから何も考えてない……』


 神様だ!


 考えてないって何を?


『展開』


 イミフ。


『何かオモロい事やれ』


 ええ〜ッ…………じゃ、ウンコするか。


『ウンコがオモロいのは小学生かマニアだけだ』


 小動物もウンコ大好きだけど!


『パンダ、いじって』


 僕はパン田さんを見上げる。頭ゴシゴシ洗ってんな。シャンプーハット被って。それ僕のだけどね。


 目がバキバキでちょっと怖い。


 浴槽の縁に跳び乗ってハットを剥ぎ取る僕。


「アレ? ウサくん? 王冠を在るべき場所に戻してくれないかな。目が開けれないんだ」


「コレ、僕のだからダメ。ゴム伸びちゃう」


「ウ、ウサくん。そか、君の王冠だね。ならば改めて申し込もう。それを王の頭へプリーズ」


「やだ。目、瞑って洗えばいいじゃん」


「イヤ、それはムリ」


「…………ひょっとして?」


「良く聞いて。別にパンダは風呂場で目を閉じてると怖いとかじゃないんだ。その……ほら、アレ。パンダってシャンプーが目に入ると死にます!」


「だから目、瞑って洗えばいいじゃん」


 前足ぶんぶん振り回すパンダ。今、僕便器の上。


「ウサくん? いるの? どこ?」


 トイペ、丸めて投げたみた。


「ひゃッ! な、何かな今の……おば、おば、お化けじゃないよね?」


 無言でトイペ攻撃する僕。いちいち反応するパンダに思わず胸、キュンてなった。


 しばらくキュンキュンて。


 してたけど飽きた。


「パン田さ〜ん。やっぱお化け、怖いんじゃね?」


「ハァハァ…………何を言ってるんだいウサくん」


 パンダは息を整えると胸を張ってみせた。


「◯化けなんて、ないサ!」


 思わずお耳がピコんてなる。何か、知ってるコレ!


「◯化けなんてフンフフ♪」


 僕が口ずさむと……パン田さんも目を瞑ったまま歌い出す!


 フンフフンフフン〜フフ、フフフフンフフ〜フフ、だけ◯きっとだけ◯きっと、フンフフンフフフフフ♪


 スゴく楽しくなっちゃった僕ら。


 神様がボソッて言ったのが聞こえて来る。


『著作権……ギリ』


 何を気にしてんだか。

それではまた…

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