表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/229

アニマルウォーズ《後編》

土曜日の20時更新です……

 圧倒的運動不足ううううッ!


 近所の公園までたったの五十メートル走っただけで、死んだ。


 息も絶え絶えの私。視界が霞むその先には……


 ウチの子達のちっちゃな背中と奥のベンチに群がる十数羽の黒い軍団。でも、待って。カラスどものセンターに何かがいる!


 足組んでベンチの縁でブーラブーラして……小人?


「あぁ〜。アイツね」


 頭だけ小魚の真っ裸のオッサン(昆布のパンツ付き)自称呪いの王ことチカシラクビリ。チカちゃんだ。


 最後に会ったのは……カラスに食べられてウンコになって、復活したらまた食べられちゃった時以来かな。に、しちゃ態度デカくね? 真ん中で踏ん反り返っててサ。


「チカちゃーん! 何やってんのー?」


 ウサが気付いて声掛けてる。小人、立ち上がった。


「……ボショボショ…………ボショ」


 気取って喋ってるらしい。聞こえんわ小さいから。


「聞こえなーい! このチビ助ー!」


「もっとお腹の底から声出すんだ、小魚野郎!」


 ムッチャ言われとる。ロッキーのフルフェイスメット姿、怖ッ。


 焦った様子でエラの辺りに手をあてて叫ぶ小魚。


「ワイは呪いの王ぅぅチカシラクビリだっぺさぁぁ」


「知ってるわー! このウンコ人間ー!」


「カラスの餌がそこで何してんのか、ウサくんは聞いてるんだぞー!」


 すごい言われようだなぁ。項垂れてんじゃんチカちゃん。あ、目が合ったかも……手振ってキタ。


 とりあえず手を振ったげる私。何か嬉しそう。


「ワイはお前らに復讐する為にぃぃ地獄から舞い戻ってきたっぺさぁぁ」


 元気出たのね。言ってる事、物騒だけどね。


「ワイのコト騙して酷い目合わせやがってぇぇ今やカラスはワイの下僕でぇ…………」


 ハァハァ言ってる。顔が魚だからわかりにくいけど肩上下してるもん。ウサとロッキーが「騙したっけ?」とか言いながら待ってあげてるの。優しいね。


「がんばれー」


「ファイトだチカくーん」


「うん、えとぉぉ。ワイの……ワイの趣味はぁぁ」


「趣味はー?」


「趣味は何だーい?」


 ぐっ、て踏ん張ってみせる呪いの王。


「趣味は下克上のリスクを楽しむコトですぅぅ」


 その瞬間にバクッ、て。


 チカちゃんの小魚部分がキレイに齧り取られた。


 パタと倒れる小人。


 カラスが群がって来てツンツンついばみ出す。下克上リスクってこれかぁ。軍団はチカちゃん食べ終えるとメンチ切りながら飛んでった。


 バツが悪そうに振り返るウサ&ロッキー。すがるよーな視線でジッとこっちを見てくんの。


「……今回は大目に見たげる。被害も出なかったし」


 両手を広げると、わーッて飛び込んでくる小動物コンビ。


「僕の吹き矢。せっかく作ったのに使うトコなかったよリン」


 ウサがジャージのズボンに顔をコスコスしながら言ってくる。いいんだよ、それで。私は心底ホッとしてんだから。


 今日は陽射しがあるせいか公園も寒くはない。


「またウンコスタートだね。チカちゃん」


 今度復活してきたらウチに誘ってココアを飲ませてあげよ。


 手を振る呪いの王を思い出しながら。


 今晩のおかずは魚でいくと決めた。

それではまた……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ