表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

126/229

拾ったお金を使っただけ(三百万円)

土曜日の20時更新です……

  ちょっとした旅行に来ているよ。

 

 先程ホテルの部屋で朝食をいただいたんだけどね。フフ、従業員達がこっそり何回も見に来てる。

 

 だってパン田は本物のパンダだもの。

 

 動物界の頂点に君臨する王がやって来たんだから。彼らもその幸運に身震いしているんだろう。パン田は十八番のでんぐり返しを披露しようとして壁にお尻をぶつけてしまった。

 

「あいたた。少し狭過ぎやしないかい、このホテル」

 

「何やってんのアンタ」

 

 部屋には頼んでないのにカワウソのコンシェルジュが居るんだけれど。今アンタとか言ってなかったかな? 空耳?


「警察の留置場ってこんなモンだからパンダさん」


 カワウソがヌルっとした感じで言ってくる。面白い顔して。


「ホテルの間違いじゃないのかな? コンシェルジュくん」


「ドアに鉄格子のあるホテルないから。あと、ぼくはコン何とかじゃなくて。川田です。前科七犯」


 せっかくの旅行気分が台無しさ。


 パン田は昨晩ついに捕まったんだ……ポリ公共にね。とりあえず旅行の設定で平静を装っている。

 

「ところでパンダさん。担当さんから聞いたんだけどアンタ指名手配されてたってホント?」

 

「何のコトかな? パンダに生まれたコトが罪と言うなら甘んじて受けるが。コンシェルジュくん」

 

「何言ってんのかわかんないけど。色々大変だったと思う。ガリガリだし。あんな美味しそーに官弁食べてたもん。川田です。前科七犯」


 よく喋るカワウソだなー。


 でも確かに食事が出るのは悪くない。昨日も冬眠前のザリガニ取るのに夢中になってて捕まってしまったワケだし。パン田の唯一の弱点かもね食事。


「……」


 何か急に黙っちゃったカワウソ。


 信じ難いコトだけど。パンダに背を向けて寝っ転がってる。


 おーい、目の前にパンダがいますよー。

 

 この奇跡の一時をムダに過ごしていいのかなー。パンダとお喋り出来るんなら人生棒に振っても構わないって人間、いっぱいいるけどー。

 

 うーん。パンダ光線を振り撒いてもびくともしない。ひょっとして死んでるんじゃ……あ、生きてる。

 

「コンシェルジュくん。そろそろパン田はチェックアウトしたいんだが」

 

「へ? あ、寝てた。えーと、多分これから取り調べとかあります。パンダさんは指名手配犯だから検察行って起訴されると思う。だからチェックアウト無理」

 

 川田ですって言わないんだ。前科七犯。

 

「そうか。了解したよ」

 

 それからパン田は毎日取り調べを受けたんだ。カワウソのアドバイスで黙秘って権利を貫いて。

 

 20日間くらいかなー。


 勾留が続いてね。パン田はすっかり健康なパンダボディを取り戻したんだ。


 だって毎日三度のご馳走が食べれるんだもの!


 そしてクマさんパワー全開で留置場のドアをぶち破ってさ。


 チェックアウトしました。

それではまた……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ