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働く猫は常在戦場

土曜日の20時更新です……

 商店街の古いビルの中にある猫カフェ『肉球の館』


 そこでボクは働いてます。エキゾチックショートヘアの仔猫、メタトロン。みんなメタって呼んでる。


 今、夜中の一時過ぎ。


 接客フロアの奥にあるドア。の下についてるキャットドア。ここ通ると楽屋があってボクらキャストは普段そこで生活してるの。


 ここはカンケイシャ以外立ち入り禁止です。


 ウサ兄ちゃんでも入れないよ絶対。入ったらマンチカンの朱美おばちゃんにシャーッて言われちゃう。猫はプライベート空間命だからね。

 

 この時間キャストの半分は何となく起きてる。皆特にやるコトもないって感じで。

 

 でもボクは違う。

 

 テレビでアニメが見たいんだ。深夜アニメ。見ないとウサ兄ちゃんが遠い目になっちゃうから。それだけは避けないと!

 

 ボクはそ~っとリモコンでチャンネル変えてみる。

 

「今のヤツ見てたんだけどメタ……」

 

「えッ、見てたのモミ姉ちゃん?」

 

 館の女王様、メインクーンのモミ姉。長毛でスゴくおっきい猫さん。


 バコバコ何とか見てたって言うんだ。

 

「バコバコ、見てるの?」

 

「見てるねぇ……バコバコ」

 

 いつもはテレビなんか見ないクセにィ! ヒマだからボクに意地悪してくる、モミ姉のバカ。


「アニメが見たいんだボク」

 

「お断りだね。おやおや? 顔がクチャてなってるじゃないかメタ」

 

 クチャてなってないよ! 何かイジってくる。ボクまだ仔猫だから、おとなの猫に助けてもらおっと。


「モミ姉がいじめるうぅ」


 み~んな寝たフリ。


 三毛猫パイセンさっきまでアホみたいにクリクリ回ってたじゃーん。アメショーのハチさんはずっとお股ペロペロしてたし。

 

「バコバコ。メタ」


 まだバコバコ言ううぅ。スゴいヒマなんだ女王様。

 

「モ~ミ~姉ぇぇぇぇ~。何でも言うコト聞くから、お~ね~が~い~」

 

「そーゆーのいらない」

 

 容赦無いいぃ。他の猫は遠巻きに見てるだけだし。もおおお、誰でもいいから助けてよーッ!


 ん?


 今何かウサ兄ちゃんの声が聞こえた(気がした)


 な、何て?


『…………ぇぇぇ』


 はい?


『た……ぇええッ…………』


 た?


『たたかええええええええーッ!』


 た、戦え?


「ふう~」


 思わず溜め息。ウサ兄ちゃんなら、そう言う。


 いつもボクのコトでサ、ボクのお客さんと、ボクのお店で、喧嘩するもん。


 でも正直、社会の一員としてアレはどーかなって。暴力じゃ何にも解決しないと思う。てか苦手、そーゆーの。


 だからボクはボクのやり方で。


 仔猫らしくモミ姉にアプローチしてみます。


「モミ姉だ~いしゅき」


「キショ」


 戦闘準備だ!


 このデカババアを沈める。


 アニメ始まるまで後二分くらい。それまでチャンネルキープ出来たらボクの勝ち。つまりリモコンを死守したらオケ。


 ボクとモミ姉との距離一メートル。うん、逃げても瞬殺されちゃうね!

 

 どーしよ…………


 こんな時ウサ兄ちゃんだったらどーすんだろ。何となくリモコンを見つめてみる。


 ん?


 ……そっか。


 とりあえず問題は解決しちゃいました。テヘ。


 でもそれはそれ、これはこれ。もっかい「ウサ兄ちゃんだったらどーやって戦うのか?」想像してみる。


 ……そだ。ボクにはアレがあった!


 ウサ兄ちゃんから仕込まれた対巨人用の必殺技。


「死ねやぁあモミ姉ッ!」

 

 寝っ転がってる女王様に飛びかかるボク。

 

「目潰し」

 

 わしっ。

 

 突き出した前足ごと。抱きかかえられる感じでキャッチされた!

 

「離せ……離してようモミ姉ェェェッ」

 

 クッションみたいなお腹の上で必死にもがく。何だか楽しくなってきてお口が開いちゃう。や、やめろよう! くすぐったいキャッキャッ!

 

 じゃれてる内にアニメ、始まったけど。モミ姉もボクもやめないよ。

 

 だって、こっちのが面白いもん!

 

 それから走り回って追っかけっこしたり、キャットタワーでマウント取り合ったりして遊びました。モミ姉はおっきいから迫力スゴ。


 あ~楽しかったなぁ。疲れたんでお水飲んでから一緒に寝ちゃったボクら。


 明日もお仕事あるしね!

 

 アニメは録画しといた。

それではまた……

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