表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

111/229

アライグマジョーの腰痛ライフ

土曜日の20時更新です……

 やってしまいました……。


 私、荒ぶる特定外来生物ことアライグマのジョーと申します。いつもお世話になっております。


 いえね、ついにやってしまったのです。


 仕事先の主任をめん棒でぶん殴る? いえいえ、そんな些細なコトではございません。私の生死に関わる問題、とでも申しておきましょうか。


 実は…………腰をやってしまったのです。


 ええ、元々腰痛持ちでして私。腰周りの筋肉をハードトレで強化するコトで、ここ数年は何とか抑え込めていましたが。


 ちょっとした油断。


 なってしまったのです仕事中に。


 まぁ仕事自体は一日十分アホみたいにクッキーを作るだけなので何とかなりました、が。


 問題は今から根城に帰り着くまで。


 何故なら私には敵が多いのです。プライベートでは街中で多少ヤンチャしておりますから……常に誰かに狙われている状態でございます。


 こんな時に襲われでもしたら、もう一溜まりもありません。格好の的ですね。


 私が仕事場のビルを出て暫し立ちすくんでいると


「どしたのジョー? がに股で突っ立ってるけど」


「あ、ウサさん。お疲れ様でございます」


 職場で大変お世話になっている先輩のうさぎさんがお鼻ヒクヒクで話かけて来られました。


 鋭い方なので既に何か面白案件としてロックオンされたようです私。敵に狙われるどころか刺激に飢えた草食動物に捕獲されてしまいました。もうジ・エンドでございます。


「コロッケ食べて帰ろジョー。いつもみたくコンビニまで、かけっこで競争だー!」


「大変申し訳ありませんが本日は所用がありまして。そもそもしたコトありませんよね、かけっこ」


「んだジョーのケチぃぃぃ。もう、いいよ! バイバイ」


 じっ……とこちらを見ているウサさん。今バイバイされましたけど。


 仕方なく一歩一歩踏み出す私。


 竹馬で歩くみたいに右、左、右、左。


 ウサさんも私の横でマネしてついて来ます。


 残念ながら楽しそうなご様子。さっさと飽きて帰って頂ければよいのですが……すると上空からモモンガのヨースケさんも飛んで来られました。


「何してんの? お前ら」


「しっ、ヨースケ。ジョーが今、何かやらかすトコ」


 やらかすに反応したヨースケさんも並んで歩き出します。


 右、左、右、左、右、左、右、左。


 何でしょうかコレ。端から見るとイキった小者が幅利かせてるよーな感じになっています。小動物参上、みたいな。


 商店街に入ると人間共が道を開けて下さいます。フフン、何だかいい気分。


「パパンパンパン!」


 ウサさんが口でマフラー音鳴らし始めました。ヨースケさんもオラッてる。いいですね、小動物愚連隊。保健所が来たらソッコー捕まります。

 

「こん中にィ、ひよってるヤツいる? いねえよなーッ!」

 

 何かウサさんが言ってきます。ひよってはいないけれど腰パンパンです私。

 

「はぅわッ」


 突如愚連隊から、ひより声が上がりました。


 前方に腕組みして立っていらっしゃる女性の姿が……ミニスカサンダルにいつもの緑ジャージ。で、手には買い物袋。

 

「……何してんのウサ。と仲間達」


 この星で唯一ウサさんが言うコトを聞く絶対神の降臨です。

 

「リン。あのね、あのね……横並びで歩くオバサンごっこしてた!」

 

 ヨースケさんもコクコク頷く。

 

「オバサンのマネ、ダメ。周りが迷惑するでしょ?」

 

「うん!」

 

 皆でお返事しました。

 

「ジョーくん歩き方変だね。具合悪い?」

 

 答えられないでうつむく私。だって、これまで人に心配をしてもらった経験がありません。弱味を見せるよな生き方、したコトないので。

 

 しゃがみこんで私の顔を覗くリンさん。

 

「ポンポン痛いの? うんち出そう?」

 

 首を横に振ると大きな瞳で見つめてくるのです。私は少し泣きそうになりながら呟きました。

 

「…………腰……痛い」

 

 すると。

 

 リンさんは私をだっこして動物病院に連れて行って下さいました。


 ウサさん達もついてきてくれます。「やっぱり!」とか「気づいてた!」とかのたまってましたが。まぁ愚連隊、ちょっぴり楽しめたので良しとしましょう。

 

 帰りも皆さんで根城まで送って頂いて。大好物のキャラメルコーンまでリンさんが買ってくれたのです。

 

 今日一日、甘やかされてしまいました。

 

 悪くはなかったのでございます。

それではまた……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ