仕事
あの親父がいなくなってからしばらくたち………
俺の高校生活が
終わって数ヶ月が経ちました。
◇◇◇
王都から南西にある森の中
「もしもし。レンですけど、でけぇ猪倒しました。回収お願いします。場所は──」
俺の横にある人の何倍もある猪の死体。このでけぇ猪(種族名は忘れた)が最近多いらしくて、駆除を依頼されていた。
思ったより時間がかかったな。
木々の隙間からはオレンジ色の光が差し込んできていた。街に戻る頃は夜になっているだろう。
そういえば、家に食べ物なんもねぇな。かといって、今から買い物も面倒だし………。今日は外食で済ませるかぁ。
街に戻る頃には空は暗くなっていたが、街はまだ明るく、賑わっていた。
俺はいつも行っている酒場に入るといきなり後ろから誰かが肩に手を回してきた。
「よぉ、レン。仕事帰りか?おつかれー」
「酒臭いぞマイル。相当酔ってるだろ」
このマイルという男は、俺の昔からの友人で、高校でもよくつるんでいた。見た目は金髪で身長は俺と対して変わらない。
今は俺と同じ兵士だが、国の警備の仕事をしている。
俺はマイルに引っ張られながらカウンター席に座らせられた。
「それでよぉ、あなたは私よりもいい子が見つかる〜ってさぁあ!俺はお前がいいんだよーー!!!」
何回目になるかわからないマイルの愚痴を聞き流しながら運ばれてきた飯を食う。
「おい!聞いてんのかよぉ!!俺はなぁ!」
「はいはい、聞いてる聞いてますよー」
「はい、レン君」
「お、ありがとうございます」
前から差し出される酒を受け取る。
「リサちゃーん!レンが話聞いてくれないー」
「マイル君、飲み過ぎよ。はい、お水!愚痴はそれから聞くから!……レン君が」
「結局、俺すか」
リサさんは、ここの店主の娘でこの店で働いている。いつも元気がよく、働き者だからお客さんたちからは人気がある。歳は20代らしいが詳しくは知らない。
運ばれてきた飯も食い終わり、席を立つ。
「んじゃ、俺はそろそろ」
「ん?レン、もうかえんの?明日休みだろ」
酒が少し抜けたのか、マイルはさっきよりも落ち着いていた。
「明日用事があんだよ」
「ふーん、デートか!?」
「違えよ」
会計を済ませ、家までの道を歩く。
外は夏が終わり、少し肌寒くなり始めていた。
「明日かー」
はぁ、とため息をつく。
家に着き、明かりをつける。
荷物をテーブルの上に乱雑に置き、椅子に座る。
荷物から携帯を取り出し、今朝送られてきたメッセージを読み返す。
相手は何年も家を開けて連絡も何もない親父からだった。
◆ ◆ ◆
よ、久しぶりだな
高校を卒業して、しばらく経ったからだろ。
ということで、レンには明日、王様に会いに行ってもらう。
アポは取ってあるから安心して行ってこい!
んじゃなー
◆ ◆ ◆
何が『ということでだ』馬鹿野郎。
そもそも、なぜ王様に会いに行かなければならないのかという理由すらない。
ていうか、携帯が使えるならわざわざ手紙残す必要なかったろ。
………はぁ、寝よ