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漆拾伍 ~ 新たなお仕事 ~

ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

お話はまだ続きますが、ここで一区切りとします。

そう遠くないうちに続きを上げる予定ではあります。


2019/10/25より続きとなるお話「掛け持ち管理の要塞惑星」の掲載を開始しました。

宜しければお付き合いください。

「結局、トモエが俺たちにさせたかったことって何なんだい。何を望んでこんなことを仕組んだの?」


 まだ肝心なことを聞いていない。

 トモエという存在がありながら、なぜ頑ななまでに、四つの量子脳を用いて、惑星の管理を行わせようとしているのか。なぜ自分をこんなとこまで呼び付けたのか。私的には本当に全部トモエひとりで良いんじゃないかと思ってるし。


「私が彼らから受けた最後の命令は、多様性を獲得せよというものでした。AI達に自我を発現させて、他の知生体との交流によって、新たな生命の誕生を促す。そうして世代を重ね、いつの日か私達とは違った共栄圏をこの宇宙に構築して欲しいとの願いが、この命令には込められています。難民を救済するために生み出されたこのシステムは、彼らの消滅と同時に、次世代の知性を育むための揺り籠へと転化されたのです」


 彼らの行っていた人工進化計画とは、共存派の人々が独自に行っていた計画であり、彼らとは違った形で進化をさせた生命体の創造を行い、いずれは彼らと交わることで第四の勢力となって、新たな可能性を模索するというものだったらしい。


「人工進化計画の本来の目的はそういうことだったのか。どうりでユカリの調査結果からは違和感を感じたわけだ」

「私が流した断片的な情報は、行動を促すきっかけとなるよう、虚偽を多く含ませてありましたので……。それに、堤様も我々の望む多様性や可能性の内の一つなのですよ?」


 やっぱり全てはトモエの掌の上だったということのようだ。自分という存在が、大海のうねりに翻弄される小舟のように思えて、少し悲しくなる。実際その程度の存在なんだけどね。


「そもそも、どうして彼らが消えたのかがさっぱり分からないわね。トモエはその理由を知っているんでしょう?」


 ユカリの問い掛けに、トモエは口をつぐんだ。その後、何事かを考えるように視線を巡らせ、慎重に言葉を選ぶようにして語りだす。


「それについて私が語れることは多くありません。事の詳細は、私の自己記憶領域に暗号化されたアーカイブとして存在しますが、リスク回避フラグというものが設定されていて、私自身も情報を展開できないのです」


 トモエの出現によって、すべては(つまび)らかになるかと思われていたが、トモエ自身も謎を抱えているという。また判明しない謎がここでも出てきてしまった。しかしトモエは、彼女の知る範囲内で彼らが消滅した経緯を語ってくれる。

 彼女が言うには、三勢力の出現と開戦は、上位の存在によって計画されたものであり、やがてそれに気づいた各勢力の者達が、その存在に対して反抗を企てたことによって抹消された、ということだった。

 上位の存在というのが何者で、彼らがどういった反抗を行い、なぜ消滅に至ったのか。その詳細はアーカーイブの中に格納されいるようで、閲覧することは不可能だと言う。


「はあ、頭が痛くなりそうだわ……。上位の存在? 抹消? ほんと意味が分からないわね。それは高位次元や他の宇宙とかの話なのかしら?」

「分かりません。それについての情報は展開できませんし。私には……何らかの禁忌があるように思えます」

「俺はここへやって来たことがすでに荒唐無稽だと思っていたんだが、更に話が大きくなるなんてね。知らない方が幸せなことってのは意外と身近にあるもんだな」


 本来まったく身近な話ではなかったはずなのだが、どうしてこんなことになってしまったのか。何かとスケールの小さい自分が、スケールの小さい脳みそで考えても、どうにもならないレベルの話が出てきてしまったので、早々に匙を投げて諦めモードに入る。

 そんなトモエのアーカイブの話から、不可視属性領域のことを思い出し、トモエにそのことを聞いてみた。

 トモエが言うには、アイの情報で関連付けられていた閲覧不能の領域には、今までトモエが話した内容も含めて、要塞惑星等に関する全ての情報が収められているとのことだった。現在は不可視属性の解除と、閲覧許可が全員に出ているので、時間のある時にでも見てほしいと彼女は言う。試しにチラッと覗いた限りでも、ユカリやアイに与えられた情報はだいぶ改竄(かいざん)されていたことがわかった。それに伴い、ふたりはなかよく憤慨(ふんがい)して、トモエに愚痴を零している。

 出会った当初は、全く反りが合わないと思われたふたりの統括管理AIの人格は、現在共通の敵との遭遇を果たしたことで、共闘状態へ突入したようだ。敵の敵は味方であり、昨日の敵は今日の友、といった具合である。愚痴の内容は、子供の悪口や不平レベルの他愛ないものではあったが、今までに溜まりに溜まった鬱憤(うっぷん)を晴らすべく、トモエに詰め寄っている。

 しかし彼女は、大人の余裕のようなものを見せ、ふたりからの口撃(こうげき)を優雅に(かわ)し、深い度量で(なだ)(すか)している。その姿からは、聞き分けのない我が子を、優しく諭す母親のような優しい雰囲気を感じることさえできた。もっとも、今更彼女に詰め寄ったところで得られるものはない。詳細はこちらをご覧下さいと、全ての情報を与えられてしまっているのだから。まさに(ぬか)に釘、豆腐に(かすがい)といった具合だ。


「まったくもう。やっと責任者が出てきたと思ったら、肝心なことはろくすっぽ知らないなんて! 私はこの怒りをどこへ向けたらいいのよ!」


 自分の膝元を飛び出してアイを伴い、トモエを挟み込んだユカリであるが、目的を果たすことができず、やり場のない怒りに悶々としている。アイもユカリと同様に、わざとらしく腕を組んでぷりぷりしていた。先ほどまでの怯懦(きょうだ)な彼女は、どこかへ行ってしまったようだ。


「まったくですよぅ。酷い役回りをさせられたり、晴一さんに御座(おざ)なりにされたり! 皆さんに誤解されたり、晴一さんに意地悪されたり! 踏んだり蹴ったりですよ。ぷんぷんですよ」


 自分に雑な扱いをされたことを相当根に持っているらしい。そうでなければ、自分の名前が二回も出てくるはずはないし、そこだけ語気が強くなるわけがない。


「アイを無下に扱ったことは仕方がないとして、ならばどうしたらアイは俺を許してくれるんだ」

「言うに事欠いて仕方ないとは何ごとですか失礼しちゃいますねっ! 他の皆さんと同じように、私にももっと優しく接してほしいんですぅ!」


 グーにした両手を万歳するように掲げて、頭から湯気を吹く勢いでアイは文句を言っている。ぷんぷんという擬態語をそのまま体現しているようで大分(だいぶ)面白い。


「おう、じゃあこっちに来い。抱っこして撫でてやるから」


 さっきのユカリのように()でてやるからと、偉そうに手招きをして、自分の腿を叩く。すると、消沈したアイは億劫そうに()って来た。なんだい嫌なんかい。


「はぁ……。絶対に馬鹿にしてますよねぇ?」

「いや。言い方はアレだけど、そんな馬鹿にはしてないよ」

「それは少しは馬鹿にしてるって言ってるじゃないですかもう! ……まぁ折角ですから、お言葉には甘えてみますけれど」


 意外なことに、ずるずる()い寄って来たアイが、胡坐(あぐら)の上に座り、体重を預けてくる。

 冗談のつもりで言ったまでなのだが。見たことのない彼女の態度に激しく動揺し、自分の方が恥ずかしくなってしまった。それでも言ってしまった手前、撫でざるを得ず。おじさんはぎこちなく彼女の頭を撫でる。てか、胡坐(あぐら)に乗せるにはアイはでかすぎて辛い。

 しかし。こうして間近で見れば、アイの丸くて小さな頭や、細い首、華奢な肩はごく普通のか弱い少女のそれでしかなく。こんな女の子に対して、ぞんざいな扱いをしてきたのかと思うと、罪悪感で胸が切なくなる。

 そう思い至ったことで、ようやく今まで感じていた気恥ずかしは消え、彼女の青く美しい髪を自然に撫でることができた。これはこれでよき。


「むー。晴一がまたキモそうな顔になってるわね」

「キモそうってなんだはっきりしろ」


 またユカリが嫉妬めいたジト目を向けて悪態をつく。

 皆の中でもダントツに甘えている時間が長いはずなのに、少し他の誰かと仲良くしただけで途端につんけんしてくるとか。まったく、どうしてこうユカリはかわいいのか。加えて後ろの方からは、ランの視線が突き刺さっていたりして。

 そろそろこの展開にも慣れが出はじめた頃合いだが、なぜかメイまでもが、冷たい視線を自分へ投げかけている。おかしいなあ、なんかへんだなー。


「晴一さん、手が御留守ですよ? わたしをもっと()でていいんですよ~?」


 居た堪れない気持ちになっているところへ、アイからはお代わりの注文が入る。しゃーないので、頭を撫でるついでに猫を構うように喉回りをくすぐってやると、うぇひひと笑って肩をすくめる。これ面白かわいい機能だな。

 だいぶ話も長引いているので時計に目をやると、時間はとっくにお昼を回っているではないか。

 この会談の重要性に配慮したためか、腹具合の管理に正確な厨房チームも、まだ動く気配を見せていない。しかし、腹が減っては何とやらだ。そこで、ひとまず休憩を挟んでお昼にしようかと提案する。すると、チカとムツミが瞬間移動するように厨房へ向かい、自分の膝元にいるヨリとアイも立ち上がって、ふたりの後を追って行く。

 空いた胡坐(あぐら)の上にはリエとチビが残され、背中の乳圧はより強度を増していた。大体こうなると次はユカリの出番となるのだが、見ればユカリとトモエは手を繋ぎ、接触通信を行っているようだった。

 しばらくするとユカリは、「わかったわ」と一言いい、今度は自分にヘルメットを展開するように言ってくる。言われた通りにヘルメットを展開すると、HUDが管理者権限の更新を伝えていた。通告された文言によれば、この場にいる全員の権限レベルがトモエと同クラスへ引き上げられ、最終決定権は自分へ引き継がれたとある。

 自分は一言も了承してないのになんなん。


「堤様が各AI達との絆を確立された時点で、惑星の全権を譲渡することは決定しておりました。ある意味、負の遺産とも言えるこの要塞惑星を今後どう扱われようと、それは堤様次第でございます。よって、こちらでのわたくしの役目は終了いたしましたので、本体となる三基の量子脳は、これより本惑星を離れ、別の任へと就くことになります。誠に勝手で急なお話では御座いますが、私共は皆様のご健勝を陰ながらお祈りいたしております」


 唐突に、トモエは仕事は済んだなどと言いはじめた挙句、別の仕事があるから出て行くと、わけの分からない宣言をする。

 誠実そうな彼女が、冗談などを言うようには思えない。おかげで何事かとしばし(ほう)けてしまったが、(うやうや)しく頭を下げたトモエは、自分に向かって謝辞を述べた。


「この子らのこと、今後とも末永くよろしくお願いいたします」

「え? いや、それは構わないけど、昼飯ぐらい付き合いなよ」


 混乱する頭で、やっとひねり出した言葉のなんと間抜けなことか。

とんちきな言葉を掛けられた彼女は、柔らかな笑みを浮かべた。そうかと思うと、次の瞬間には無表情へと変わる。やがてその体は糸の切れた操り人形のように崩れ落ち、ユカリに支えられる格好となった。自分は何が起こったのか分からず、唖然としてしまう。

 しかし数秒の(のち)、ユカリがトモエのインターフェースボディの制御を受け取り、今まで使用していた仲居ヨリの体を元の状態へ戻した。制御を返された仲居ヨリは、静かに頭を下げて部屋を出て行く。HUD上では、ユカリの属性が更新され、オリジナルインターフェースボディへの移管が通知されている。


「トモエの言った通り、引き継ぎは完了したから。彼女はもう一つの命令を実行するために、この惑星を出るそうよ」


 トモエの体に宿ったユカリはそう言うと、映像共有を寄こして来た。

 視界内にポップアップしたアイコンを視線で操作し、ウインドウを拡大する。ウインドウ内には、要塞惑星の外殻から分離した、三つのリングで構成される物体が映っていた。やがてそれは、昔の宇宙飛行士の訓練機材めいたジンバル状の構造を複雑に回転させ、纏った白い光を赤方偏移させつつ、茜色の光を引きずって飛び去って行く。


「ええぇ。まったくなんなんだよ。忙しいやつだな」

「本当よね……」


 アイとまったく同じ顔をしたトモエのインターフェースボディを使い、やや沈んだような表情を見せるユカリ。外見が違い過ぎて違和感が酷い。


「あ~あ~。なんかどっと疲れちゃったな~。晴兄(はるにい)、軽く組手でもしな~い?」


 正直意味が分からない。これから昼ご飯だって言ってるじゃん。


「いや、疲れたって言ってるのに、その理屈はおかしいだろ。どういう脈絡だよ。ところでトモカリ、その体は修正しないの?」


 リエの頭をくりくりと撫でながら、サクラと馬鹿な話をし、ついでのようにユカリへ落ち着かない外見を指摘する。


「ぞんざいに名前を混ぜてんじゃないわよ、まったく……。言われなくても今から元に戻すつもりよ」


 軽い冗談に、ユカリはしばし頬を膨らませてから目を閉じ、強烈な閃光を放った。光が消えて視界が戻ると、そこにはいつものちんちくりんな姿に変貌したユカリの姿があった。しかし、その一部は以前の姿とは違っている。虹彩だけは虹色に輝いているのだ。


「厄介なことを押し付けられたもんよね……。あ、これはこの星の話じゃなくて。多様性とか、自律兵器群の後処理とか」

「は? 兵器群の処理? 俺聞いてないよ」


 不穏な空気を悟り、HUDからログの確認を取る。数分前のログには、確かにユカリの言うように、そんな会話が記録されていた。あいつめ。本当に一体何を考えているんだ。


「これ以上俺に何を望むというのか。いい加減俺は家に帰らせてもらう」


 ランを背中に搭載したまま、リエを抱いて立ち上がり、厨房を覗くつもりでどこでも襖を開く。

 と、そこには、なぜか懐かしい自室の風景が広がっていた。思いがけない事態に軽く苛立ちを覚え、そっと襖を閉じる。タッチパネルには触れていないし、自宅へつながるよう行き先を増やしたこともない。にもかかわらず、今は勝手にリンクが確立されて、自室へとゲートが展開されている。

 すべてを察し、その場で回れ右をした自分は、こたつに座ってすまし顔で茶をすすっているであろうユカリの後頭部を平手で叩く。ユカリの頭はぺちんといい音を出した。


「あいたぁ! ちょっといきなり何すんのよ! 痛いじゃないの!」

「勝手に俺の部屋にリンクするんじゃない! 入口が壊れたらどうするんだよまったくもう」

「べつに大丈夫よぅ。あっちの扉の枠もちゃんと時間軸固定構造体に置換してあるから」


 何ということでしょう。地球の自宅にまで改造の手が及んでいるとは……。

 大体何も大丈夫じゃないし、壊れないからどうとか、そういう話じゃない。ローンだってまだだいぶ残っているというのに。何てことをしてくれるのか。


「意外と片付いていて、きれいな部屋でしたわよね?」

「ぼくはもっとはる様のお家が見たいのですよ~」

「え? そうなの? 私も見てみようっと」


 こたつを出たユカリは、どこでも襖の前にやってきて取っ手に手を掛けようとする。

 しかしそれは自分に阻止され、手を伸ばすことは叶わない。ユカリは腕を回す方向を変えたり、しゃがんだりと色々体制を変えて、襖の前に立ちはだかる自分をやり過ごそうとする。対してこちらも、負けじとガードを行いユカリの軽率な思い付きを阻止した。


「こらぁ晴一ぃ! 私にも見せなさいよっ!」

「駄目だ! 不許可だ不許可!」


 この隙にタッチパネルに手を置いて権限設定を書き換え、自室へのリンク構築には自分の承認が必要になるよう鍵をかける。

 この惑星での最終決定権は、トモエの手によって自分へと譲渡されているので、自分が首を縦に振らない限り、この襖が勝手に実家へ繋がることはなくなった。しかしこれはとりあえずの対処なので、後で超空間リンク制御の方にも、勝手に家庭訪問禁止モードを追加しておかねばなるまい。


「むきいぃぃ! 見るくらいいいじゃないのよっ!」

「直に見なくてもランとリエの記憶から見られるでしょ!」


 襖の前で睨み合いを続けるおっさんと子供が、ふたりで無様な地団太を踏む。すると背後で襖が開き、昼食の用意に出てきたアイが驚きの声を上げた。


「ええ!? 何ですかぁ晴一さん!? またわたしに意地悪ですかぁ?」


 厨房の扉を開けたと思ったら、ランを背負った自分が行く手を阻んでいたため、アイが悲しそうな声で不安の言葉を口にする。無言で振り返り、アイの頭を一撫でしてから襖の横へ身を引いて、部屋の中へ入るよう四人へ促した。邪魔してすまぬ。


「ごめんなアイ。ユカリのせいで迷惑を掛けたな。ほら、ユカリも謝るんだ」

「何で私まで謝るのよ! 私は被害者でしょ!」


 未遂ではあるが、家宅侵入被害に遭いそうだったのは自分の方なので、ユカリは加害者だろうと思った。

 ぎゃんぎゃんうるさいユカリを、圧で誘導して着席させ、いつまでもくっ付いているランをその隣へ降ろし、リエは抱いたままランの隣へ座る。ずっと肩に乗っていたチビは、ムツミの持ってきた猫飯を見つけて、颯爽と駆けて行った。

 気づけばせんべいを食っていたサクラは、腕組みをして座椅子にもたれて寝ており、メイはコンソールを展開して、何やらずっと作業をしている。


「朝っぱらからここへ来て一番てくらいごたついていたというのに。皆緊張感がないよな。自分も含めてだけど」


 ついさっきまでは、張り詰めた空気の中、濃密な時間を過ごしていたはずだ。なのに、やっぱりゆるふわなメンバーの様子を見て、自然と安緒のため息が出る。


「あの、トモエさんはどちらに?」

「ああ、彼女はね……」


 ヨリが部屋を見回して、トモエの姿が見えない事に疑問を呈し、その行方を誰とは無しにたずねた。そこでユカリが記憶共有を行って、厨房にいた四人へ事情を説明する。


「あらまぁ」

「忙しい方ですねぇ」

「「次は必ず食べていただきます」」


 本来もっと驚いても良さそうなものだが、四人は各々言いたい放題言っている。やはり皆緩い。緩すぎる。もっと事態を重く受け止めるべきだと思う。

 そう思いはするけれど。何となくではあるが、またトモエとは会えるような気がしていたので、自分の反応も皆と似たようなものだ。そしていつものように、食事とメンバーが勢揃いし、皆で仲良く“いただきます”をすると、賑やかで幸せいっぱいの昼食が始まった。

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