拾漆 ~ 神様と懺悔(さんげ)のAI ~
ヨリという存在は、かつて江戸時代の日本に存在した人間のクローンだとユカリは言う。
「クローン……」
その言葉を口に出してみる。
有性生殖による減数分裂ではなく、元となった生物と同一の形質を持つ複製存在。それは、言うなれば命の人為的なコピー。
「クローンについては説明の必要はないわね?」
「あ、ああ……」
「何か勘違いしているようだけれど、このヨリの人格は私が順当に育んで、彼女が持つ気質が自ら獲得したものだからね? 私があれこれ手を焼いて、理想の人格を形成したわけではないのよ?」
「へ? つまりヨリちゃんの人柄は……天性の物だってこと……?」
「そう。ヨリという個体が持つ生来のものよ」
クローン生体は、記憶を受け継がなくとも、ほぼ素体と同じ気質になるというのは、過去に読んだ科学雑誌の記事などで知っていた。ならば恐らく、ユカリの言っていることは本当なのだろう。
「ただ……」
ユカリは少し険しい顔になり、先を進める。
「ただ、ヨリの深層意識には、しきたりシステムと、神への絶対服従という暗示が施してあるの」
「ああ。ヨリちゃんが俺に対して異常なこだわりを見せるのは……」
「そう。しきたりの暗示によるところが大きいわね。でもね、そこに好意や信頼がない場合は、単に拘りが強くなるだけで、その他の様々な対応は雑なものになるはずよ」
ここへ来てヨリと出会い、共に過ごす中で時折感じていた違和感は、そういうことだったのか。
初めて会ったときに見せた、怯えた状態からの素早い立ち直りや、異様なまでに自分を神と崇め奉るその姿勢。それらは、しきたりや神様に対しての、絶対服従という暗示があったからこそ守られていたものだった、ということらしい。
「それに、暗示はあくまでも切っ掛けに過ぎないわ。ヨリが晴一に懐いている理由は、あなたの為人がすべてだし。今のヨリにかけてある暗示は、命令はできても自発的な行動を促すようなものではないのよ。だからね、晴一へ真摯に尽くしているのは、ヨリの純粋な思いからくる行動なの」
「そうなのか……。なら、ヨリちゃんが俺と初めて会ったときに異常な怯え方をしていたのも、それも暗示のせい?」
「そうよ。異常な怯え方は、暗示によって、神となる者以外との接触を恐れるようになっているせいね」
自分の顔がヤバすぎて怯えていたわけではなかった。あ~よかった。
「じゃあ裸で寝るしきたりを禁じた時は?」
「う~ん、その辺りのことは半々じゃないかしら。ヨリの人を見る目は確かなようだし。別に神への服従という暗示がなくても、あなたの指示を論理的に考えて受け入れていたはずよ。それと言っておくけれど、裸になりたがるのは仕様によるものよ。これは私のせいでもあるのだけど」
どうにも要領を得ない。自分は考え込み、座卓の上に何となく視線を落とす。
「これは条件にもよるのだけど。大雑把に言うとね、晴一が神様からのお願いのような形でヨリに言ったことは、命令として受諾されるってこと。それ以外は、全部ヨリの自発的な行動によるものってことよ。だから、今までに築いたふたりの関係は本物だということになるの」
暗示は神様として指示しない限りは発動しない、と言うユカリの言葉にヨリとの思い出が蘇る。
『お布団のご用意が整いましたよ~』
『……お背中お流しいたします!』
『私もお供させてください!』
『……時々こうして甘えさせていただいても――』
ヨリが自分に対して何か行動を起こすときは、全てに於いて心底楽しそうに、温かい笑顔を振りまいて世話を焼いてくれていた。そしてこちらが遠慮をしても、半ば強制するように強引に尽くしてくれた。それらはすべて、彼女の心からのもてなしだったのだ。
「そっか。ヨリちゃん……」
「ちょっと大丈夫? なんかキモいわよ?」
「いやキモくねぇし」
突然ユカリから言葉の暴行を受け、ヨリとのほっこり思い出ワールドから、辛辣な現実に引き戻される。あと何度もキモイとかも~っ、ホント失礼しちゃうぜ。
「それでね。さっきも言ったけど、裸で一緒に寝る行動は私のせいでもあるのよ」
「それはつまり、ユカリがスケベだという理解で――」
やはりおじさんは理解が早くて助かる。
「ば、ばっかじゃないの!! そーゆー茶化しを入れないで真面目に話を聞きなさいよね!」
理解は早とちりだった模様。おっちょこちょいなおじさんにユカリはご立腹だ。
「すみません。冗談が過ぎました」
「ったくもう。いーい? 一つの体にふたつの人格が宿っているんだもの、記憶や感情に微妙な齟齬が発生して矛盾が蓄積していけば、ヨリはそれを無自覚なストレスとして認知するから、いずれ心を病むの。それから、しきたりと神への服従だけど、この二つの暗示は常に両天秤になっていて、私はそれに対するバランサーでもあるのよ。神様の命令で、両方の暗示がそれぞれ矛盾した指示となった場合、私が指示の優劣を解釈して、極力矛盾を吸収するのだけれど。体を共有している以上、結局は心を痛めることに変わりはないわ。その心の傷を癒すためには、誰かから無条件で向けられる愛情が必要になるのよ。人が愛情を効率的に享受するためには、スキンシップが最も有効だから、人肌の感触や温もりを感じることが重要になってくるの。わかった!? 聞かれてももう言わないからね!」
なぜか頬を紅潮させたユカリが、ちょいおこで締めくくる。
「はい。よーくわかりました。そしたら、寝てる時無意識に腕に抱き着いてくるのもそうなんだな」
「そうよ。あなたの愛情が必要だからよ。癒しの度合いは信頼の深さに大きく影響されるし、今のあなたたちの関係は相当良好なものになっているわ。だからこの子はあなたにくっ付いて寝るの。それはヨリが心から晴一を信頼している証拠とも言えるわね」
そう言ったユカリの表情は、とても幸せそうに見え、まるで自分のことのように喜びに満ちた笑顔をしている。なぜなのか。
「なるほどね。それはそうと、なんでユカリが嬉しそうにしてんの?」
「なーっ!! 別に嬉しそうになんてしてないわよ! いえ、嬉しいわ! だってヨリが幸せなんですもの!!」
しどろもどろか。ユカリは酷く赤くなってわちゃわちゃしていたが、ヨリのことを大事に思っているのは、自分と同じということだ。
「そっか……」
「ほら、やっぱり雰囲気がキモイじゃないの!」
やめてください。メンタルデバフスリップダメージ状態のおじさんへ、これ以上の暴言を吐かれると死んでしまいます。
「キモかねえよ! じゃなくて、ここまで話を聞いて予想はついているけど、あえて聞きたい。この惑星上に、本物のうらやヨリちゃんの家族は存在すしてるのかい?」
今回、ヨリが意識を失う原因となったであろう一番の問題。気掛かりだったこの部分は、確実なこと知っておきたい。
「両方とも存在しないわ……」
「やっぱりか。じゃあヨリちゃんの記憶も……」
「いいえ。設定以外のヨリの記憶はほとんどがオリジナルの物よ。あれらは過去実際に起こったことだもの……」
ユカリと共存しているヨリの記憶は、成長後にダウンロードなどで追加したものではない。それは、オリジナルのヨリから抽出した記憶を、体と一緒に十二年かけて育てた、正真正銘の思い出だという。
オリジナルのヨリを含む最初の村人たちは、江戸時代に東北地方で発生した地震による津波にかこつけて、ユカリに拉致されて来た被災者たちだった。当初は、八名ほどいた被災者たちだったが、全員がほぼ瀕死の状態だったため、ユカリは中でも最も幼かったヨリを、クローンの素体とすることにしたのだ。それまでは、心身ともに耐久性の高い成体ばかりを拉致していたが、ヨリのような幼い子を拉致したのは、そのときが初めてだったらしい。
「拉致とは穏やかじゃないな……。ならほかの村の人はどうしたんだい? 残ったオリジナルのヨリの体は?」
そうたずねると、ユカリは下を向いて黙ってしまう。突然どうしたのだろう。ここまでは饒舌とも言えるくらい色々話してくれたのに。
「晴一、ちょっとこっちへ来なさい……」
黙って俯いていたユカリが唐突に自分の名を呼ぶ。言われるままユカリのそばまで行くと、さきほど彼女が暴れたときのように、後ろから抱きしめろと言う。
唐突なこの要求には、少々面食らったものの、ユカリのただならぬ様子に気圧された自分は、素直に従うしかない。
「急にどうしたのかなユカリちゃん。甘えん坊かな?」
からかい半分でそんなことを言うと、ユカリはぽろぽろと涙を流しはじめる。豹変したユカリの様子に、毒気を抜かれて戸惑ったが、弱々しく肩を落としてしまった彼女を抱く腕に力を込める。しばらくそうしていると、ユカリはぽつりぽつりと話しはじめた。
「私はね。つい最近まで感情というものが何なのか、まったく分からなかったの……。誰かを思いやる気持ちとか。誰かを愛する心とか。そういうものを理解できていなかったのね。でも、ヨリと共存するようになってからは、心もヨリと同期されて。それが徐々に理解できるようになって来て……。ここ数日のヨリと晴一の生活を見るようになってからは、更に理解が深まったのね」
嗚咽交じりで流す涙を手の甲で拭い、淡々と語るユカリだったが、その意図が読めず、自分は困惑するばかりだ。
「それでね……さっき晴一に拉致してきた村人たちのことを聞かれて、外部記憶装置から当時の記録を閲覧したの……。そうしたら……当時の私は、倫理観や道徳なんていう観念がなかったから、さらってきた人々をモノのように扱っていたわ。感情を理解できるようになった今の私が、当時の惨い光景を目の当たりにしてしまったの。あのときは何も思わなかったけれど……今の私は……私にはこんなの……耐えられない……。私は今までなんてことをしてきたの……こんな酷い! こんな残酷なことを!」
ぼろぼろと大粒の涙をこぼして、顔がぐしゃぐしゃになってしまったユカリは続ける。
「怪我をして苦しんでる人達だっていたのに。助けてほしいって、死にたくないって泣いてる人達だって……大勢……私は生きたまま……私はっ……うああぁぁぁん」
そこが限界だった。
外部記憶装置から得た情報によって、彼女は過去に自分が行った凄惨な光景を追体験したのだろう。自分は見られないのでわからないが、恐らくそれはとても惨たらしいものなのだと思う。そういったものを目の当たりにして、号泣してしまったようだ。
ユカリは、幼い子供のように天を仰ぎ、大口を開けて叫ぶように泣きじゃくる。自分はそんな彼女を黙って抱き締めることしかできない。
「それだけじゃない!! 私はもっと前から何百という人々を殺してきたのよっ! わけも分からないままこんなところに連れて来られて……意識のあるまま四肢を刻まれて……。頭の中をいじくりまわされて! あの人たちは皆『痛い』『死にたくない』って。最後まで叫んでたわ!」
ユカリの様子を見るに、過去には想像がつかないほどの残虐な行為が、幾度となく繰り返されてきたのだと思う。
過呼吸気味になりつつも、何とか意識を保っているような状態で、ユカリは今までの凄惨な行いに対する想いを、自分へ叩きつけるようにして次々吐露してゆく。
「私は何てことをしてしまったの。沢山の取り返しのつかないことを……こんな……。こんな思いをするのなら……感情なんて理解しなきゃよかった! 外部記憶データは消去なんてできないのに!! ずっとずっと、未来永劫こんな気持ちでいなきゃならないなら、私は感情なんて欲しくなかった!!」
吐き捨てるような叫びを最後に、ユカリはその後も延々と泣き続け、やがて声もかすれて目は真っ赤になってしまう。いつの間にか一緒に泣いてしまっていた自分は、ひたすらユカリを抱きしめ続け、彼女が落ち着くのをただ待つほかない。
◆ ◆ ◆ ◆
体中の水分を、全て出し切ってしまうのではないかと思うほど、ユカリは涙を流し続け、やっと落ち着いたのは、それから一時間以上も経ってからだ。
ずっとユカリに泣き付かれていたため、自分のTシャツはびしょびしょのよれよれになってしまっている。
「まあ……俺とユカリとじゃさ、生い立ちも立場も全然違うし。こんな言葉が救いになるかどうかはわからんけど……」
自分はぐずっている幼子をあやすようにユカリを諭す。
「生きるってのは辛いことだよな。人間にだって、生涯忘れられないほど辛くて、悲しい思い出を背負って生きてる人は沢山いるし。それでも命のあるうちは、皆歯食いしばって生きて行かなきゃならないわけだけど。中にはそういうものに耐えられなくなって、逃げだしてしまう人もいる。でもそれをやっちまったら、楽しいこともできなくなっちまうんだよな」
尋常ならざる凄惨な状況を経験して深い悲しみに暮れる子を、安穏と生きている自分が慰められるものだろうか。共に泣いて、なんとか気持ちに寄り添おうとするくらいが関の山ではなかろうか。
「在り来たりな言葉しか俺には言えないけど、何にしても折り合いつけて生きていくしかないんだよね。過ぎちまったことはどうしようもないし、やっちまったもんはもうしょうがないんだ。それでも、せっかく理解した感情なんだからさ。いらないなんて、そんな悲しいこと言わないでくれよ……。AIのくせに俗っぽくて人間臭いユカリみたいな子は、俺嫌いじゃあないよ。過去を悔やむよりも、これからをどうするか考えようぜ。俺も一生懸命手伝うからさ。まあ、力になれるかはちょっと保証できないかもだけど……」
ユカリの頭や背中をやさしくさすり、何とか励まそうとはするけれど、正直自信はない。
三十五年ほど生きているが、誰かが辛かったり悲しんでいるとき、真に力になれたことなんて、一度もなかった気がする。
しかしそこでふと思いだす。バイト先で知り合って親友になった年上の友人が、彼女の浮気が原因で別れたとき、相談にのってやったときのことを。彼はその後きちんと立ち直り、後年にはいい相手を見つけて、結婚を果たした。式に呼ばれたときも、そのことを思い出して、単純に強メンタルなんだなあなどと勝手に思っていたのだが……。
披露宴も終わり、ひと段落付いた結婚式の二次会でこっそりと彼に耳打ちされた、「カミさんには内緒だけど、あんときはホント救われたよ」という言葉に、自分はうっかりうるっと来てしまい、周囲から盛大に突っ込みを入れられたのだ。
自分では大したことをしていないと思っていても、頼る側としては実はそんなことはなくて。それをきっかけに、次のステップへ進めるなんてことも、案外あるのかもしれない。ならば、今回のユカリにしても、自分の掛けた言葉が多少なりとも救いになっているのではないかと。そんな風に考えてみてもいいのではないだろうか。まあ、自分だけが満足してても仕方ないんだけれど。
こういうのは本当に難しい。その過去が凄惨なものだろうと、それを知らない自分には、今のユカリがどれだけ辛い思いをしているかなんて理解しようがない。それでも、その気持ちに寄り添うことくらいはできるから、辛いときは頼ってもらえるとおじさんうれしい。
「ごめんなさい、取り乱してしまって……」
彼女は目を真っ赤にして、胸にうずめていた顔をようやく離す。
「きにしなさんな。かわいい女の子のためなら、胸もふたつまでは貸せるぜ!」
などと怪しいテンションで宣いながら、親指を立てた両拳で自分の乳首を指さし、ウインクにテヘぺろスマイルを合わせる。
「ふぅ……ふふ。だいぶキモイわね……」
「そうだぞ、おじさんはなにかとキモイんだ。いや、キモくね~し」
何とか調子を取り戻したユカリは、ぎこちない笑顔で悪態をつく。この調子ならもう大丈夫だろう。
「それでユカリ、話を続けてもいい?」
「うん」
「はい。そしたら、ヨリちゃんが倒れた理由なんだけど」
「うん……。それも私が悪いの。晴一が村を調べに行くのにヨリを連れて行こうとしたでしょ? ヨリはあそこでかなり動揺していたのね。家族に会いたい思いと、しきたりとのせめぎあいで、この子の心はかなりかき乱されてたわ。それにね、ヨリが自発的に心に決めていたことがあって、それも多大な影響を与えたみたいで」
「え? それってなに?」
「晴一とヨリがバイクで島を一周したとき、ヨリに言われたこと、覚えてる?」
ユカリにそう言われて、あの時のことを思い出す。ヨリが言った、まるで決意表明のような言葉を。
「何かなさるときは私にお声掛けください。そうして頂ければ私は必ずご一緒いたしますから。確かヨリちゃんはそう言ってたな」
「そうよ、よく覚えてたわね。それはヨリの真心から出た言葉なの。あとはもうわかるわよね?」
「ああ。俺との約束を取るか、しきたりを遵守するかのせめぎ合いか……」
「うん。でも私はヨリを守ろうとして、天秤をしきたり側に傾けた。だってヨリが村へ行ってしまえば、すべてが嘘だってばれてしまうから。真実がわかったら、ヨリの心はズタズタになってしまうもの。でもね、ヨリはあなたとの約束を守ろうと必死に抵抗したのよ。そのせいでヨリの心は崩壊寸前まで追い詰められてしまって……。そこで私が出て来ざるを得なくなった、というわけなんだけど。あの供物の証はね、私とヨリの人格を切り替えるためのキープログラムなっているの。ヨリの精神状態に重大な危険が及んだときは、ヨリを完全に眠らせて、ストレスを私が一手に引き受けるためのね」
ユカリはそう言って、胸元から緑色の結晶体を取りだす。
「この結晶体は記憶媒体になっていて、舌を介して読み取れるようにできているの。ヨリの体にはナノマシンが適用されているから、それを触媒にして情報のやりとりをしているわ。神様に命を返すっていうのは、そういう意味なのよ。実際は単に私と意識を切り替えるだけだから、ヨリの生命には何の影響もないのだけれど」
「そっか。ユカリと入れ替わるために意識を閉じるってことの、比喩的な言い回しだったのか」
「そういうこと。因みにあの日、晴一が石を預かった時点で、あなたへの信頼は揺るぎないものになっていたのよね」
「……そうかい」
「そうよ。晴一カッコ良かったもの」
まだ涙の跡が残るすまし顔のユカリに突然褒められた。しかし、あの時の自分の芝居がかった態度を思いだすと、悶絶しそうになってしまう。いやん、おじさん恥ずかしい。
「ほ、惚れるなよ?」
冗談めかしにそんな返しをすると、ユカリは穏やかな笑みを浮かべた。
「どうかしらね。最初はヨリに譲る事にするわ。それにちょっとキモイわ」
「きもくねえよ! てかなんだよそれ」
「さあ……。なんでしょうね」
何やら意味深な笑みを浮かべるユカリは、なぜか楽し気であり、儚げにも見えた。
「それとね晴一。ここからは私の勝手なお願いなんだけど、正式に依頼するわ」
急に真顔になったユカリは、まるで懇願するような表情を見せる。
「お願い晴一。要塞惑星を救ってほしいの」